作品情報
戦時下に芽生えた言葉への衝動から、塚本邦雄の表現の核へ近づく評伝。
塚本邦雄の初期像を、故郷、戦争、短歌への目覚めという複数の線から描く。小説家であり弟子でもある楠見朋彦の距離感が、伝記的事実と詩人への敬意を結びつけている。
レビュー要約
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資料を丹念に読み込み、若き塚本の感情の鋭さと時代への反発を浮かび上がらせる点が評価される。短歌史に関心のある読者には、作品以前の精神形成を知る手がかりとして受け止められている。
書籍情報
- 出版社
- ウェッジ
- 発売日
- 2009-02-01
- ページ数
- 362ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784863100411
- ISBN-10
- 4863100418
- 価格
- 880 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/詩歌/詩論
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レビュー
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「評伝」ではないが、塚本短歌の原点を垣間見ることができる
現代短歌を変えたとも言われる塚本邦雄の青春時代を中心に 主に作品解説をメインに筆を進めていく。 その意味では、「塚本邦雄はナニモノだったのか」という人物評伝ではない。 個人的には、たとえば寺山修司の評伝が無数にあるように、 没後3年、塚本邦雄の評伝が出てもおかしくはないと思うし、 出版されたらぜひ読みたい。 本書は、「水葬物語」でデビューする以前が、メイン。 いわば「歌人・塚本は、いかにして誕生したか」を探る本である。 総合的な評伝としては物足りないが、 塚本邦雄の原点を垣間見ることのできる得難い1冊かも知れない。 難解と言われる塚本短歌だが、気合(?)を入れて読み込めば 何とも言えない世界が見えてくる。 塚本邦雄は歌人である前に「詩人」だったと痛感させられる1冊でもある。
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複雑な軌跡
いつも米原駅の新幹線の待合室の売店のところで見かけていた作品でした。歌人の生涯といわれても関心がなかったのですが、どういうわけか今回の近江旅行の帰りの際に購入することになりました。近江との関わりという観点に惹かれて読み始めてみた。しかし初めての現代短歌への挑戦でしたので、思った以上に時間がかかってしまいました。 青春というテーマが示唆するとおり、作業は戦前と戦後を含む時代の作品の解読ということになります。著者の解読作業はさまざまな資料の渉猟と膨大なうずもれた作品の再解釈です。短歌の解釈については素人はただただ著者の説明を追っかけていくだけです。その軌跡は、地理的にも、呉、松江、倉敷に渡っていきます。1920年生まれでありながら最後まで徴兵されることなく、戦後を迎えた塚本の軌跡は複雑なものです。ひとまずは著者による再配置の作業をじっくり味わってみてください。
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現代短歌の巨人の青春時代
謎に満ちたというよりは、虚構の年譜を生きてきたと思わせる孤高の歌人の青年時代を描く得がたい1冊。 評者は読んだことはないが、1972年生まれの著者・楠見朋彦は塚本邦雄に師事していたのだという。 筆致は禁欲的であり、素っ気無いくらいで、エンターテインメント作家の手になるものとは思われぬくらいだが、難解、鮮烈な塚本の歌を解明するよすがとなるかもしれない。 京都新聞の滋賀版に連載されていたものをまとめたこともあり、淡々としているが、読みやすい。 それにしても塚本の歌のむずかしいこと。鮮烈なのだが読めば読むほどむずかしい。どこかで読む者の解釈を拒むところがある。それこそが文藝かもしれない。
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- 前川佐美雄賞 第8回(2010年) ・受賞