日本の文学賞

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世界から守ってくれる世界

暮らしの小説大賞

世界から守ってくれる世界

塚本はつ歌

不仲な両親のもとで傷つく薫子と、性的違和を抱えセーラー服で登校し始める中鉢。互いの戸惑いに共鳴した二人が、暗闇の中でありのままの自分を受け止めてくれる居場所を探す青春小説。

思春期ジェンダー家族不和居場所

作品情報

傷ついた二人が、自分を守ってくれる居場所を探す。

第7回暮らしの小説大賞受賞作。体と心が裂かれるような痛みを抱える中学生たちが、互いを通して自分の居場所を探していく。産業編集センターから2020年刊行。

レビュー要約

  • 複雑な感情をほどきすぎずに言葉へ移す繊細さが評価されている。家庭や身体への違和感を抱える若者の痛みを、重さだけでなくユーモアも交えて描く点が印象に残る。

書籍情報

出版社
産業編集センター
発売日
2020-10-14
ページ数
248ページ
言語
日本語
サイズ
18.8 x 12.8 x 2.5 cm
ISBN-13
9784863112735
ISBN-10
4863112734
価格
1540 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

第7回暮らしの小説大賞受賞作! 誰かに認められたい。でも自分は自分— 不仲な両親の間で、体と心が2つに裂かれるような痛みを味わう薫子。 性的違和を感じ、ある日突然セーラー服で登校し始めるクラスメイトの中鉢。 それぞれが抱える戸惑いに互いにシンパシーを覚え、心友となった2人が見つけた「居場所」とは……。

塚本はつ歌(Hatsuka Tsukamoto) 1983年生まれ。岐阜県瑞浪市出身。 大阪芸術大学卒業後、職歴を重ねながら小説投稿を続ける。 現在は神奈川県在住。子育てをしながら執筆を行う。 好きなことは散歩と読書、料理の本を眺めながら寝ること(実際に作るかどうかはまた別の話)。

レビュー

  • 薫子、とてもがんばって、あっぱれ!

    中二の主人公薫子や友人中鉢、 薫子の両親の心理変化がよく表現されています。 自分の気持ちを少しずつ分析・理解していく過程が素晴らしいです。 薫子がとてもがんばって、 あっぱれだと思いました 近藤薫子は、両親の不仲でとても辛い思いをしています。 クラスで仲がいい中鉢章雄は、 ホームルームで突然カミングアウトします。 そしてセーラー服で登校しようとします。 クラスメイトは表面上受け入れても、 どうしていいか分からない状態になります。 一方、中鉢は 「ボクは男にも女にもなれない」 と思い始めます。 私はLGBTの方と接する機会はとても少なくて、 考えさせられました。 中鉢は父から坊主にされました。 そして薫子のおかげで父からの暴力が発覚します。 幸いにも保健室の先生がシェルターに隔離してくれました。 薫子の 「痛めつけられることをあたしたちが許可しているときがあります」 という発言が印象的です。 子どもにそう発言させる状態はよろしくないです。 薫子の最後の決断は、 シェルターからの中鉢の手紙がきっかけでした。 勇気を出して父にお願いしたことで、 父が動き、母の心も動き、 中鉢の居所ともども、 治まりが良い方向に進みそうです。 主題の 「世界から守ってくれる世界」 に落ち着けるかもしれない希望があります。 薫子の祖父は不思議な遺言を残しました。 そこかしこに出てくる現象は、 祖父が見守っている証拠で、 薫子のピンチには姿を現します。 薫子の誕生に際しては、 光の粒が母に飛び込んできました。 中鉢が思うようにエンジェルなのでしょう。 奇跡のような世界がちりばめられています。 また薫子はへその緒を両親に結びつけたり、 両親の中の子ども(インナーチャイルド)を感じたり、 心理学的要素も表現されています。 最後の中鉢が体育祭に飛び込み登場するシーン、 走っている短い時間の中で 薫子がいろいろな事象を目にして行動するのは、 少し無理があるかなと思いましたが、 最後にコミカルに締めてくれ希望を感じました。 表中鉢、裏薫子のイラストがいいです。

  • 読んでほしい

    良い作品です

  • 2人に幸あれ

    LGBTや虐待、家庭内不和など重ためなテーマを取り扱っていながら、軽やかな文章で読みやすくぐんぐん引き込まれます。 多様性への理解について、主人公が知らず知らずのうちに【受け入れて『あげてる』】という事に気づく描写があり、ハッとすると同時に非常に考えさせられました。 世代問わず幅広く読まれて欲しい作品です。

  • 面白い!

    独特の文章の書き方で、すぐに引き込まれて最後まで一気に読めます。とにかく面白かったです。

  • 守ってくれる世界がありますように

    爽やかだけど辛い記憶を呼び起こすお話し。 私も親が不仲で家の中に暴力と怒号が渦巻いていた。何十年経っても癒えることはないのだな。親が子どもの心と体にバラバラになりそうなほどの苦しみと哀しみを植え付けてしまったんだな。平気な顔していても、気付いてほしい。死にたいほど辛いんだよ。 今、死にたいとか消えたいとか思って過ごしている子たち。どんなささやかな世界でも守ってくれる世界がありますように。 そしてこれから先には素敵な友や先生が待っていますように。 あらためてそう願った。

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