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お供え (大活字本シリーズ)

川端康成文学賞

お供え (大活字本シリーズ)

吉田知子

「お供え」は、日常の境界がふいに揺らぎ、人が周囲の視線や習俗の力にのみこまれていく不穏な短編である。吉田知子らしい乾いた筆致で、供えるという行為に潜む異界性と、人間存在の輪郭がほどける瞬間を描く。

日常と異界視線自我の揺らぎ

作品情報

平穏な日常は、供えるという小さな行為から異界へとずれていく。

平穏な生活が、ある一線を越えた瞬間に異界と交錯する。社会の規範や自我の輪郭が溶け出すような場面を通じて、人間の奥底にある不安と孤独を浮かび上がらせる短編である。

レビュー要約

  • 不条理な状況を過度に説明せず、読者をじわじわと不安に導く構成が評価されている。静かな文体の奥に、人間の存在理由を問い直す怖さがある。

書籍情報

出版社
埼玉福祉会
発売日
2001-06-01
ページ数
348ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784884190736
ISBN-10
4884190734
価格
1650 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

底本:ベネッセコーポレーション刊 お供え

レビュー

  • 不思議な世界

    程度の非常に良い、帯付きの本で満足してます。表題の「お供え」は何度読んでも不思議な世界に引きずりこまれます。吉田知子さんの最高傑作の一つだと思います。

  • 面白いですよ。

    短編なので直ぐ読めていいですよ。

  • いつの間にか非日常へ。

    どの作品も、日常から始まって次第に雲行きが怪しくなり、いつの間にか、日常と重なっていながらそうではない非日常に着地している。 解決されることのない終わり方に何かもやもやするものを感じさせられながら、「ああ、そういえばこれは、夢を見たときによくある感覚だ」と気付いた。夢の世界も、日常に近いものがありながら次の瞬間には違う場所、違う人物、違うストーリーに移り変わっていく。でも起きるまではそれが不自然だとは感じない。この「お供え」のそれぞれの作品を読んでいて、その感覚と同じものを覚えた。 本を閉じて、「ああ、これが作品世界の話で良かった」としみじみ思った。そんな怖さを秘めた作品集だった。

  • 不安になっていく

    吉田知子の小説をはじめて読んだのですが、驚愕でした。読み進めるにつれて不安が増していく、息が詰まっていく、闇が増していく。 どの短編も、徐々に立ち上がってくる不安が終盤のある時点で急激に深まって、それがこわいと同時にとてもおもしろかったです。 現実と過去や目に見えないものが混じりあって、もやもやとした興奮のうちに読み終わりました。 巻末の〈著者から読者へ〉というところで本人が書いていましたが、まさに「迷う」小説です。 刺激的でおもしろかったです。

  • 無理やり拵えた「異界」(迷妄界:著者の言う)

    どうしても、無理やり拵えた感が付き纏いました。 「異界」を無理やり拵えている。 「迷妄界」と著者は後書きで言っています。 登場人物の小説的リアリティーが薄く、視点が飛び、・・それは、「迷妄界」だからか? 読者にはあまり居心地はよくありませんでした。 「門」は多少視界が開けていました。

  • シュールレアリスティック・ホラー

    7編の短編が収録されている。表題作が川端康成賞を受賞したと言うので、渋い私小説的なものを予想していたら、これには驚かされた。 どれもシュールレアリスティック・ホラーとでも呼べそうな作品なのである。不条理で不気味な出来事が起こり、どうにも合理的な収拾のつかなくなった状況で幕切れになる、というパターンだ。またシュールと言えば西欧的なイメージがあるが、日本の土俗的な雰囲気がある。表題作はその中でもシンプルな構造で、あまり目立たない事件が徐々にエスカレートしていくところがおもしろく、また怖い。最初の『祇樹院』だけは説明不足すぎるように思ったが。各作品のタイトルがまた、どう読むのかわからないものが多い。『迷蕨』(めいけつ)、『海梯』(かいてい)、『逆旅』(げきりょ)等。 最後の『艮』(うしとら)は他作品とはちょっと違うタイプだが、いずれにせよ奇妙な味の作品群であった。

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