日本の文学賞

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ブラック・ジャック・キッド

日本ファンタジーノベル大賞

ブラック・ジャック・キッド

久保寺健彦

無頼の少年が活躍する、痛快な冒険ファンタジー。

冒険無頼成長痛快

作品情報

無頼の少年が活躍する、痛快な冒険ファンタジー。

無頼の少年が駆け抜ける、荒々しさと痛快さを前面に出した冒険譚。

書籍情報

発売日
2019-10-29
ページ数
198ページ
言語
日本語
価格
990 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/評論・文学研究/日本文学研究

本作は2007年に日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞を受賞して いる。作者の久保寺健彦は同年に同賞を含め、三つの文芸の賞を受賞し ている。ほかのふたつは第一回ドラマ原作大賞選考委員特別賞と、第一 回パピルス新人賞である。破格のデビューと言えるだろう。 『ブラック・ジャック・キッド』は少年小説の紛れもない傑作である。 おそらくこのジャンルの最高レベルにある作品だろう。そして驚くべき ことに、日本ファンタジーノベル大賞の受賞作品には、少年小説の最高 峰と呼べる作品がほかにも二作ある。銀林みのるの『鉄塔武蔵野線』と 小田雅久仁の『増大派に告ぐ』である。同賞は少年小説の特異点と言う べきだろう。 学校、親、友人、孤などさまざまなことが少年を、あるいは翻弄し、 あるいは力づける。そしてつねにともにあるブラック・ジャック。切な さとユーモア、恐怖と勇気、電子書籍で永遠の命を得た少年小説の傑作を、ぜひ手に入れてください。 原稿用紙換算約320枚。 【抜粋】 服装だけじゃなく、髪型も似せた。ブラック・ジャックの頭は、黒と 白が入りまじった、片目をおおい隠す長髪だ。行きつけの床屋に本を 持っていき、表紙のブラック・ジャックを示した。こういう風にして、 と言ったら、店のおじさんは本を手にとり、難しい顔をした。「どうなってんだこれ、長くてギザギザで。あ、うしろっかわもこんな 跳ねてんのか。不思議な頭だなあ」 おじさんはおれに本を返し、真顔で言った。 「白髪にすんのは無理だよ」 「知ってる」 自分のことを棚にあげて、なに言ってんだ、とあきれた。そのまま じゃ長さが足りなかったので、髪を伸ばしっぱなしにすることになり、 カットしてもらったのは、その年の冬。全体にシャギーを入れ、片目を おおい隠してうしろ髪を跳ねさせ、ヘアリキッドで形を決めてヘアスプ レーで固定すると、驚くほど見事なできばえだった。以後、おれはヘア リキッドとヘアスプレーを買い、練習を積んで、自分でこの髪型をつく れるようになった。三年生でヘアリキッドとヘアスプレーを常用してい たのは、学校でおれしかいなかっただろう。 おれはさらに完璧を期し、ブラック・ジャックのトレードマークとも 言うべき、顔の大きな傷跡を再現しようとした。拾ってきた先のとがっ たアルミ片で、額からあごにかけて斜めに引っかき傷をつけたのだ。夕 食のとき母親に見つかり、こっぴどく叱られた。あせもの件をはじめ、 ブラック・ジャックがらみのなにやかやで、おれは母親に三回叱られた が、これがその二回目だ。

レビュー

  • 最後の一行に、胸がじんわり。

    某新聞の書評で久保寺さんの経歴に触れていて、 気になって読んでみました。 なんてったって、2007年に3つの賞をさらった時の人です。 (「すべての若き野郎ども」で第1回ドラマ原作大賞選考委員特別賞を受賞。 「みなさん、さようなら」で第1回パピルス新人賞を受賞。 「ブラック・ジャック・キッド」で第19回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞!) 手塚治虫の「ブラックジャック」に心酔して、 彼のように振る舞う男の子が主人公で 小学校時代のさまざまなエピソードで構成されていますが、 自分が小学生のときも似た感じだったなぁーと 懐かしかったり、微笑ましかったり。 とはいえ主人公達をとりまく現実はけっして甘くはなく 子供は親を選べない、という切なさが、物語の根底にあります。 だけど、その胸苦しさが、エンディングで 春の雪のようにやわらかく溶けていきました。 子供を抱きしめるということは、子供時代の自分も一緒に 抱きしめることかもしれないな、と思ったら 胸がじんわりとしました。 ぜひ、いろんな世代の人に読んで欲しいと思います。

  • 小学生っていいな〜

    ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。 どっちかというと、ファンタジーではなく青春小説かな? しかし大変面白く読めました。 「小学生男子って、ほんとバカだよね〜」と笑ったり、懐かしかったりするエピソード満載。 ブラック・ジャックに心酔する主人公はじめ、 登場する子どもたちがみんな、生き生きとして魅力的です。 「大人から見た子ども」ではなく、作者が子どもの目線になって書けているからでしょう。 私も小学生に戻ったような気持ちで、ハラハラドキドキ、一気に読んでしまいました。 最後にはほろりと、切ない気持ちにもさせられて……。 若い人たちよりも、それなりの年齢層(30代、40代)の方が感慨深く読める作品かもしれません。 一つひっかかりを覚えたのが、主人公が出会う、謎めいた少女の存在。 小説の主題から微妙に外れているような、他の部分と整合性が取れていないような……。 もしかして、ファンタジー色を出すために無理やり入れた? この少女なしでも大丈夫だったんじゃないかな? その部分だけ残念なので、☆は一つ減らさせていただきました。 しかしその部分を含めても、非常にクォリティの高い作品です。 「近頃、心がカサカサしてしまっている…」という大人の方向け(笑) 無駄に元気でやかましくて、わけのわからない情熱でいっぱいだったあの頃の気持ちを取り戻しましょう〜。

  • 甘酸っぱ&ゆるゆる

    ブラックジャックを一通りは読んでいたので、それなりに浮かぶのですが、読んでいること前提の話。 甘酸っぱい少年時代って感じで、ドラマ原作大賞も取っているという割には起伏や牽引力のない乏しくゆるい話。 椎名誠を思い出す作風です。 (東野圭吾や重松清と書かれている方がいますが、この作品はかなーりゆるーいので違うかと。。)

  • こういう作家がデビューしてきた期待感

    団地を舞台にブラックジャックになりたいと思った主人公織田和也の、 小学校3年から卒業までを描いた1冊だが、 真っ直ぐでどうしようもない馬鹿さと、環境を選べない子供が成長してゆく姿に、 爽快になりながら感動も味わえる。 第19回ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作がこの本だが、この作家はこの本以外に2007年に新人賞を受賞してる新人なのだ。 重松清や東野圭吾を思い起こさせる作風と、作品から余力を感じるので、今後に期待感が高まる。 子供の逞しさを爽快に描けたのは、土台がしっかりした力があるに他ならないので、 この作家がこの本の1ヶ月前に新人賞を受賞した本も是非読もうと思っている。

  • 子どものころを思い出した。

    ブラックジャックになりたかった小学生、和也の成長物語。 小学生の頃って○○のようになりたい、というより ○○になりたい、と思ってた。 ○○そのものになりたいって。 大人になれば、そんなことはできない、と言えるけれど、 小学生の頃はまったくそんなことも思いもせず、 純粋に○○になれる、そう思ってた。 そんな和也が少しずつ、ブラックジャックになりたい、という 想いから現実的に、ブラックジャックにはなれないんだ、って 気付く精神的成長が自分には愛おしく思えた。 そうやって大人になって行くのは 寂しいことかもしれないけれど、 大人になっていく過程としては、非常に大切。 それを間接的に直接的に気付かせるのが、転校した学校でできた 友だち、というのも良かったかな。 ファンタジー的要素も残しながら 現実をリアルに描いてる作品で 読後感はとても良かった。

  • 団地系、第二弾。可もなく不可もなく。

    一作目に続く独特の風味。 しかし、ブラック・ジャックを知らないと 魅力半減(というか多分、意味が分からないのでは?)。 一作目のようなドッシリ感がない。 習作のつもりで書いたものか。 但しこの作家、今後は大いに期待できるだろう。 キーワード 公団、給水塔、小学校の仲間達、演劇、泉、 愛すべきお釜君、読書、図書室、ファミレス、川の精霊、急逝する才能。

  • 人生の半分を過ぎた人が読むと感慨もひとしお

    だと思う。 おそらく若い人の評価は辛いものが多いのでは? 私も人生の半分をとっくに過ぎていますので、最後は自然と涙腺が緩くなってしまいました。 過ぎ去った少年少女時代を回顧させてくれる本です。

  • ファンタジーって?

    何か賞を取ったらしいので読んでみました。 ストーリーはぶつ切りで、場面や時代の変化がしっくりきません。 急に大人になったかと思うと、○○は早くに亡くなっていたなど 展開が「は?」です。 これは私だけかもしれませんが、どうも風景というか情景の描写が上手くないと思います。 すんなり頭の中でイメージ出来ない感じです。 私には、他の著作も読んでみたいと思わせるような本ではありませんでした。

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