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第17回(1977年) 受賞受賞作: 蒼龍の系譜
木々康子の小説作品。家系や血筋を示す「系譜」を題名に置き、個人の生を一族の記憶や歴史の流れの中で捉える。
一族の流れをたどることは、個人の孤独と選択を見つめることにつながる。
家系女性の生記憶歴史
木々 康子
きぎ やすこ
Kigi Yasuko
プロフィール
- 性別
- 女性
- 生誕
- 1929-01-01 (三重県津市)
- 国籍
- 日本
- 言語
- 日本語
- 居住地歴
- 三重県津市 → 東京都
経歴
- 職業
- 小説家, 美術史研究者
- 活動期間
- 1969年〜2022年
学歴
| 学校 | 学部 | 学科 | 学位 | 期間 | 国 |
|---|---|---|---|---|---|
| 東京女子大学 | — | 歴史・哲学 | — | — | 日本 |
受賞歴
| 年 | 賞名 | 対象作品 | 部門 | 主催 | 結果 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1976 | 田村俊子賞 | 蒼龍の系譜 | — | — | 受賞 |
受賞・候補エディション
作品
代表作
曼殊院から
1969年 小説敗戦直後を舞台に、マルクス主義を信じ実践しようとした若者たちの苦悩と挫折を洛北の曼殊院での恋を軸に描く長編小説。戦後世代の思想と歴史的現実を題材とする作品。
蒼龍の系譜
1976年 歴史小説幕末から明治初期にかけて、越中高岡の蘭方医・長崎家の四代にわたる家系を中心に、蘭学・国学・尊王攘夷・開国など多様な思想に揺れる人々の生活と思想の変遷を描く長篇。
陽が昇るとき
1984年 歴史小説(続編)『蒼龍の系譜』の続編。1878年、パリで再会した長崎家の血を引く二人の孫(磯部四郎と林忠正)を中心に、法と美術が交差する近代日本の歩みを描く。磯部四郎の法曹としての活動や林忠正の美術商としての活動を対照的に描写する。
林忠正とその時代―世紀末のパリと日本美術
1987年 評伝・美術史林忠正の生涯と、世紀末のパリにおける日本美術の受容やジャポニスムの動向を年代記的に整理した評伝。林の美術商としての活動や印象派との関わり、日本における浮世絵流通の史的意義を論じる。
敗戦まで
1999年 小説(自伝的要素)16歳で敗戦を体験した少女期の実体験に基づく作品。戦時下の国民意識やプロパガンダと個人の経験を描き、刊行時には評価と批判の両方を受けた。後年、新資料の発表によって記述の妥当性が再評価された。
林忠正宛書簡・資料集
2003年 資料集・編著1884年から1906年に林忠正宛てに送られたフランス語で書かれた書簡約700通と関連資料を収めた資料集(訳は曾孫の高頭麻子)。ジャポニスム研究や林忠正研究に資する重要な一次資料を公開する編纂。
林忠正コレクション(全5巻)
2000年 資料・図録林が収集した西洋絵画や1902-1903年のパリでの競売図録などを復刻・収録した全5巻。本文は主にフランス語で、解説や別冊を付す復刻版の大著。
林忠正
2009年 評伝林忠正の生涯を総合的に描いた評伝。新資料を用い、林の美術商としての活動、印象派との交流、浮世絵の扱いとその文化史的位置づけを論じる。
春画と印象派 "春画を売った国賊"林忠正をめぐって
2015年 美術史春画(春本)と印象派の関係、ならびに林忠正にまつわる議論を扱った論考・書籍。春画をめぐる評価や流通、近代の美術市場に関する再検討を行う。
美術商・林忠正の軌跡 1853-1906
2022年 編著・資料解説高頭麻子(娘)との共編著。林忠正の生涯と業績を再検討し、19世紀末のパリと明治日本の間で引き裂かれた活動を復元する研究書。
磯部四郎断章(『磯部四郎研究』所収)
2007年 研究収録・論考磯部四郎の生涯と業績を掘り起こす断章的研究。司法省留学、法学出版、陪審制度実現の努力などを論じる。
全著作
- 曼殊院から
- 蒼龍の系譜
- 陽が昇るとき
- 林忠正とその時代―世紀末のパリと日本美術
- 敗戦まで
- 林忠正コレクション(全5巻)
- 林忠正宛書簡・資料集
- 林忠正
- 春画と印象派 "春画を売った国賊"林忠正をめぐって
- 美術商・林忠正の軌跡 1853-1906
作風・主題
- 文体
- 緻密な史料調査に基づく長編歴史小説評伝的な筆致を併せ持つ文体事実とフィクションを丁寧に織り交ぜる記述
- 頻出モチーフ
- 明治期の知識人日仏関係(特にパリ)法と美術の交差戦争と個人の記憶
評価・遺産
木々康子は、緻密な資料研究に基づく長編歴史小説と林忠正や磯部四郎といった近代史人物の評伝・資料編纂によって、近代日本の文化・法制度・美術流通の理解に貢献した。特に林忠正研究の第一人者として評価される。
資料所蔵先
- 林忠正宛書簡・資料集(信山社出版)
- 林忠正コレクション(ゆまに書房 復刻)
豆知識
- 義祖父にあたる林忠正を研究対象とし、林についての評伝や資料集を数多く刊行している。
- 東京女子大学で歴史・哲学を学ぶ。
- 『蒼龍の系譜』で田村俊子賞(最終第17回)を受賞している。
- 公式ウェブサイト(http://kigiyasuko.c.ooco.jp/)を運営している。
- 戦後の体験や近代化に対する視点を長編で構築する作風が特徴。