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評伝 北一輝〈1〉若き北一輝

毎日出版文化賞

評伝 北一輝〈1〉若き北一輝

松本健一

北一輝の若き日を、佐渡での生い立ち、恋、詩歌、思想形成の過程からたどる評伝。後年の国家改造思想だけでなく、青年期の挫折や文学的感性に光を当て、危険な思想家として固定されがちな人物像を立体的に描く。

評伝北一輝近代思想佐渡革命思想

作品情報

恋と詩歌と革命の予兆から、若き北一輝を読み解く評伝。

松本健一の『評伝北一輝』第1巻。岩波書店から2004年に刊行された。1971年刊『若き北一輝』とは異なる、構想・執筆を重ねた評伝シリーズの一冊として ISBN を確認した。

レビュー要約

  • 北一輝の思想を青年期の生活史から読み直す構成が評価されている。政治思想史の対象を、恋や詩作を含む人間の成長の物語として読ませる点が特徴である。

書籍情報

出版社
岩波書店
発売日
2004-01-23
ページ数
281ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784000264761
ISBN-10
4000264761
価格
4864 JPY
カテゴリ
本/社会・政治/社会学/社会一般

日本近代史上最も危険な思想家の少年時代

レビュー

  • 魔王の萌芽

    二二六事件の主謀者として銃殺刑に処せられた北一輝。 様々な形容をつけられているが、著者は”革命的ロマン主義者” の観点から北一輝の佐渡在住時代を描いている。かつての自由民 権運動に憧れつつ社会主義に影響され、恋い慕った”輝”と別れ た後、革命を夢見る青年へと変貌する。”恋慕”から”ナルシズム” へ到る経緯が鮮やかに描かれ、ある種の”殉教者の心境”が伺える。 ”三十三年の夢”ではないが、著者が最初に北一輝を論じてから三十 三年になり、多分に著者の意欲が感じられる。このシリーズが完結し た後、今日”魔王”を論じる意義が生まれるかもしれない。日露戦争 から今年で100年。戦争を知らないわたしにも、”日本近代の意味” を考えさせられるかもしれない。

  • 足掛け30年の労作

    足掛け三十年以上にわたり、丹念に資料を渉猟し考量を重ねた上での大変な労作である。以後、北一輝を論ずる研究者は本書を無視することはできなくなるであろう。 北一輝はもともと中江兆民や自由党へ強い思い入れを持っており、社会主義者として出発したが、次第に社会主義的変革を、国家権力を強化し、上からの統制として成そうとした「国家主義者」として見なされている。しかし、北の一筋縄ではいかないところは、天皇機関説に近い思想をも持っていたことだ。つまり、単純な右翼的国家主義者ではない。そういう時代に図抜けた見識を持ちえたひとつの理由として、自らを天皇よりも優れた存在と位置づける自負があったことの指摘は大変興味深かった。 他にも、社会主義を標榜していた似て非なる思想との北の理論的な論争、交友関係、中国での足跡など、他の著作ではみられない豊富なエピソードも紹介されている本書は、戦前の超国家主義、日露戦争から北支事変に展開してゆく昭和思想史、そういう問題に関心のある方には見逃せない著作であろう。 また、岩波現代文庫から同じ著者による「大川周明」が出版されている。こちらも注目すべきである。

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