作品情報
小さなカタツムリのらせんから、進化論の大きな物語が立ち上がります。
岩波科学ライブラリーの一冊として刊行された本書は、陸貝研究を通じて進化のしくみを解きほぐす入門的でありながら奥行きのある科学読み物です。木村資生やグールドらの議論にも触れ、らせんの形、交尾、種分化をめぐる謎を、研究の現場感とともに紹介します。
レビュー要約
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研究史とフィールドの描写が一体となり、専門的な話題を物語として読ませる点が評価されている。科学の厳密さと著者自身の探究の熱が両立しているとの反応が目立つ。
書籍情報
- 出版社
- 岩波書店
- 発売日
- 2017-06-14
- ページ数
- 208ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 12.8 x 1.5 x 18.2 cm
- ISBN-13
- 9784000296625
- ISBN-10
- 4000296620
- 価格
- 1097 JPY
- カテゴリ
- 本/ノンフィクション/科学/動物・植物
なんだか地味でパッとしないカタツムリ。しかし、生物進化の研究においては欠くべからざる華だった。偶然と必然、連続と不連続……。木村資生やグールドらによる論争の歴史をたどりつつ、行きつ戻りつしながらもじりじりと前進していく研究の営みと、カタツムリの進化を重ねて描き、らせん状の壮大な歴史絵巻を織り上げる。
千葉 聡(ちば さとし) 東北大学東北アジア研究センター教授,東北大学大学院生命科学研究科教授(兼任). 1960年生まれ.東京大学大学院理学系研究科博士課程修了.静岡大学助手,東北大学准教授などを経て現職.専門は進化生物学と生態学. 大学院修士課程でカタマイマイに出会い,小笠原諸島を出発点に,北はシベリア,南はニュージーランドまで,世界中のカタツムリを相手に研究を進める. 著書に『生物多様性と生態学』(朝倉書店,共著)など.
レビュー
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とても良い状態でした。
とても良い状態です。
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カタツムリから見る進化論争
カタツムリから進化研究の歴史と現況を語った一冊だ。 19世紀からハワイ、日本、イギリスと、各地でカタツムリ研究が行われ、進化論の中心的課題となってきたとは知らなかった。カタツムリは細かな地域ごとの変異が大きく、なおかつ捕獲したり育てたりが容易なためらしい。 ただし、内容はきわめて高度。現代の進化論に詳しいひとでないと、ちゃんと付いていくのは難しいかもしれない。
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進化の始まりは自分の人生を全うすることから
最初は人類史を勉強しようと思っていくつかの本を読んでいたのだが、長期の気候変動を調べるうちにこのシリーズの書籍に行き着き、気づけば本書を読んでいた。 自分は化学屋として大学を出て研究開発を10年続けているが、進化論がこんなに面白い物だとは知らなかった。生物を選択して勉強してた奴らは何で教えてくれなかったんだ!とさえ思った。 長大な歴史を通じて作り込まれた進化のシステムは、繁栄と絶滅を繰り返してきた生物の知恵の集大成である。これは同時に、生物とは何なのか、人間とは何なのかを理解するための鍵でもある。 人間とは不幸な生き物で、自分はなぜ生きるのかを考えずにはいられない。自分はなぜこんなふうに生まれたんだ。なぜ他人とは違うんだ。生き方の正解とは何だ。 誰もが悩む問の答えが、本書にある。
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素晴らしい進化生物学の案内書
タイトルを見て「ん?カタツムリの生態についての本か?」と思われる人もいるかもしれませんが、実はダーウィン以後の進化生物学に関するたいへん優れた案内書です。まあ、要所要所にカタツムリの研究の話題が出てくるので、それほど的外れのタイトルでもないのですが。 進化生物学はその初期の段階から進化のメカニズムに関し、適応主義(自然淘汰を重視する一派)と非適応主義(遺伝的浮動や平衡推移、中立説などランダムなプロセスを重視する一派)のふたつの対立する陣営の主張の間を揺れながら発展し続け、次第に現在の強力かつ複雑な総合説へ統合されてきたわけですが、そのエキサイティングな過程が主要人物たちの興味深いエピソードを交えながらウイットに富んだ流麗な文体で明快に記述されています。なかでも印象的なのは70年代にS.J.グールドら古生物学者たちが断続平衡説を掲げて進化生物学の世界に殴り込みをかけてくる部分で、かつてあれほどもてはやされ、現在ではあまり顧みられなくなったような印象を受けるグールドらの主張が、生物学史の中でどのような意味合いを持ち、現在どのような位置に落ち着いているのかがわれわれ門外漢にもよく分かります。 ただし、自然淘汰説とランダム・プロセス説の攻防が中心テーマとなっているため、ギュリック、クランプトン、フィッシャーらの伝記に多くの紙幅が割かれる一方、一般にも名高いE.O.ウィルソンやR.ドーキンスらには全く触れられていないのが少々残念ですが、これは枚数に制限のあるコンパクトな読み物の性質上仕方ないことでしょう。 また、小笠原諸島における著者らの研究に関する話題も散りばめられていて、実地で研究に携わる人たちの文章ならではの臨場感を味わうこともできます。最終章では小笠原の深刻な資源破壊に関する告発がなされていますが、「自然に優しい」と称して農薬の代わりに持ち込まれた外来生物によって自然体系が回復困難なほどのダメージを受けている事実はかなりショッキングです。文中にその種名が挙げられている外来生物のグロテスクな画像をグーグルなどで検索しながら読んでいくと、そのおぞましさがいっそう際立つでしょう。
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読み応えのある充実した内容
最初は図書館で借りましたが、読んですぐにこれは「買う本」だと気づきました。読み応えのある、とても充実した書籍で、知的興奮に包まれました。読みながら、なんども欧米の翻訳書と錯覚してしまうほど、登場人物などの臨場感あふれる表現に魅了されました。ダーウィン以降の進化論史も小説のようによく描かれており、不遜にももっと適切なタイトルがあったのではないかと思いましたが、最後のほうの章まで来るとタイトルに込められた意図も十分伝わってきました。書評ではないかもしれませんが、本書を執筆された資料も紙媒体の本であったと思いますし、本書のような書籍が出る限り「紙の本」は消えないと改めて思いました。
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思考と文章が渦を巻く
カタツムリの殻のごとく、らせんを巻くような話の流れ。 自分はそのぐるぐるとした動きについていけなくなってしまったが、深さと個性を感じる作品であることは確か。 単に相性の問題だと思うので、試し読みや書評、他の方のレビューを見て「相性が合いそう、ハマり込めそう」と感じた方はぜひ躊躇せず読んでみてほしい。
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すべてはダーウィン先生から・・・・・
ダーウィンが来たー!ってことじゃないけど、やっぱり、すべてはこの先生から始まった。 ダーウィンの自然選択説に異を唱えるギュリックと、これに異を唱えるウォレスとの論争がそもそもの始まり。で、カタツムリの進化をめぐって、ギュリックーライトー木村ーグールド・・と続く流れと、ウォレスーフィッシャーケインークラーク・・・と続くもう一方の流れの対決が繰り返される。 その間、ハワイマイマイ、ポリネシアマイマイ、オナジマイマイ、カタマイマイ、ニッポンマイマイ等々といった、いろんなマイマイが出てきて、気分はまいまい・・・・ カタツムリの殻の高さと直径の比を延々と計算する日本女性、カタツムリの生活様式を研究する日本人オタク、カタツムリとそれを捕食するマイマイカブリの研究者、マイマイの左巻き&右巻き集団の分化等々、いやはや・・・・ご苦労様としか言いようがない。 ただギュリックは宣教師で、大阪で布教活動をしていたことがあったらしいけど、これはこれで身近に感じられてうれしかったな。
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とても良い本だと思います。
とても良い本と思います。進化論と生態学の本だと思って読んでいたら古生物の話も出てきて驚きましたが、著者が古生物学出身で速水格の研究室出身だと知り納得しました。大学で文献探しているとき化石で集団遺伝学できることに驚いた事を思い出しました。また、カタツムリと進化論の関係は予想以上に深いもので、専門書として一冊の本で読みたいと思いました。
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- 毎日出版文化賞 第71回(2017年) ・受賞