日本の文学賞

← 毎日出版文化賞に戻る

毎日出版文化賞 まいにちしゅっぱんぶんかしょう

第71回(2017年)

文学・芸術部門人文・社会部門自然科学部門企画部門特別賞

受賞者

5名
古処誠二 こしょ せいじ 受賞

第二次世界大戦下のビルマ北部、日本軍警備隊が駐屯する村で一人の将校が殺害される。村人に死因を伏せたまま事態収拾が進められるが、さらなる事件が起こり、軍組織の建前、現地社会との緊張、個人の良心があぶり出されていく。

一人の将校の死が、戦場の奥底に隠された良心と欺瞞をこじあける。

208ページ
戦争ミステリビルマ戦線日本軍良心組織の欺瞞
東浩紀 あずま ひろき 受賞

『ゲンロン0 観光客の哲学』は、グローバル化とネットワーク化の時代に、観光客という偶然性を帯びた存在から新しい公共性を考える哲学書です。郵便的マルチチュード、家族、誤配といった東浩紀の思考を結び直し、政治と消費、国家と個人のあいだに開かれる可能性を論じます。

観光客という軽やかな存在から、現代社会の連帯と公共性を問い直す一冊です。

326ページ
観光客公共性グローバル化誤配現代思想
千葉聡 ちば さとし 受賞

『歌うカタツムリ:進化とらせんの物語』は、カタツムリの殻の巻き方や求愛行動を手がかりに、進化研究の歴史と現場を描く科学ノンフィクションです。研究者の試行錯誤と論争をたどりながら、生物の多様性がどのように生まれ、どのように理解されてきたかを物語として読ませます。

小さなカタツムリのらせんから、進化論の大きな物語が立ち上がります。

208ページ
進化カタツムリ自然史研究者の営み科学ノンフィクション
田川建三 たがわ けんぞう 受賞
新約聖書 訳と註

『新約聖書 訳と註』は、田川建三が新約聖書各書を原典から訳し、詳細な註釈を付した大規模な研究・翻訳プロジェクトです。信仰的な読みを前提にせず、成立史、語法、思想背景を厳密に検討しながら、テキストの声を現代日本語に移し替えます。

原典に向き合う翻訳と註釈によって、新約聖書を歴史的テキストとして読み直します。

新約聖書翻訳註釈聖書学原典研究
前野ウルド浩太郎 まえの うるど こうたろう 特別賞

『バッタを倒しにアフリカへ』は、昆虫学者の前野ウルド浩太郎がサバクトビバッタの被害を食い止めるため、モーリタニアで研究に挑む科学冒険ノンフィクションです。研究費、就職、現地生活の困難をユーモラスに描きながら、フィールド科学の厳しさと魅力を伝えます。

バッタを追ってアフリカへ渡った研究者の奮闘を、笑いと切実さで描く科学読み物です。

384ページ
昆虫学サバクトビバッタアフリカフィールドワーク研究者の生活