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大江健三郎自選短篇 (岩波文庫)

読売文学賞

大江健三郎自選短篇 (岩波文庫)

大江健三郎

『「雨の木」を聴く女たち』は、大江健三郎による作品で、1982年前後の文学賞で評価された一作。題名が示す情景や主題を軸に、作者の関心と時代の空気を反映した作品として読むことができる。

文学賞受賞作1980年代文学作者の主題意識

作品情報

大江健三郎の『「雨の木」を聴く女たち』は、受賞歴とともに読み継がれる作品である。

『「雨の木」を聴く女たち』は、大江健三郎の受賞作として知られる作品。作品名、作者、受賞年次の文脈から、各賞の対象領域に位置づけられる。

書籍情報

出版社
岩波書店
発売日
2014-08-20
ページ数
848ページ
言語
日本語
サイズ
10.5 x 3.3 x 15 cm
ISBN-13
9784003119716
ISBN-10
4003119711
価格
1518 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

「奇妙な仕事」「飼育」「セヴンティーン」「「雨の木(レイン・ツリー)」を聴く女たち」など、デビュー作から中期の連作を経て後期まで、全二三篇を収録。作家自選のベスト版であると同時に、本書刊行にあたり全収録作品に加筆修訂をほどこした最終定本。性・政治・祈り・赦し・救済など、大江文学の主題が燦めく、ノーベル賞作家大江健三郎のエッセンス。

レビュー

  • 語彙が豊か。

    感受性がとても豊かだったと思います。若い時からこの作家や主張が好きでした。 無人島に一人で暮らすことはないと思いますがもしあれば、大江健三郎の作品を担いでいきたいと思います。

  • エッセンス

    初期と中後期との変化では、初期には動物(あるいは単に「獣」)を用いた比喩がしばしば現れるが、中後期では動物の比喩は少なくなり文学作品からの引用が一つのモチーフとなっている。 「あとがき」を踏まえると、動物の比喩は故郷とのつながりを、引用は世界文学とのつながりを指向するものと捉えられる。 この短編選中央にある『新しい人よ目覚めよ』連作は、動物・獣が示唆する原始的野生的な世界と古典文学が示唆する理念的幻視的な世界とを対比あるいは混合させるようにして、大江が説く全人格的芸術としての文学を提示しており、赦しや救いや恩寵と通じる、またはそれらを求める人々を描き出し、通俗的に軽薄になりがちな(人類全般にわたるだろう)危機の中の希望といったものを複雑な作品構造を織り上げるようにして示している。 物語の構造としては、家族との過去や語り手自身の学生時代や作家生活での挿話などが挿入され、階層的なものとなっている。それと呼応するように装飾部が折り重なるように続く長文が、しばしば現れる。これらは、主題と作品構造と文章との有機的関連をなしている、と言えるだろう。また、道化や通過儀礼や個人と社会、そして性的関係といったモチーフが一貫しているようにも思える。

  • 👍

    👍

  • この作家の業績の一面がわかる

    若いころ『個人的体験』までの長編を読んでいたが、その後は読むのをやめてしまった。あらためて初期短編を読むと、戦後すぐの時代性が色濃いのを感じたり、ひどい日本語だなと思ったりした。「セヴンティーン」は思春期の性への欲望、背伸したがる傾向、極端な思想への傾斜などが、なまなましく描かれていて面白い。後期になるにつれて、長編との関連を考えないと読めないなと感じる。

  • 同時代を生きる

    大江健三郎を読みはじめて何年になるだろう。あれは、高校二年の秋だったか。文学少年を気取った同級生が、オオエ、オオエと叫び始めたのを傍らで聞いて、アイツが読むのなら、ボクも読もうと思い立った。『洪水は我が魂に及び』。核時代の到来におびえ、幼い息子ジンとともに地下シェルターで隠遁生活をおくる男の話。以来、時ある毎に大江作品を読んできた。 大江を読むことの意味は、同じ時代を、作家と、その読者である'私'が平行して生きることにあると思う。もちろん、存命する作家であれば、誰とでもこの関係はある。村上春樹もいる。だが、大江健三郎という作家は、常に、時代の潮流を自らの作品世界に投影してきた作家だ。戦後民主主義、安保闘争、核の恐怖、連合赤軍事件、オウム真理教事件、あるいは義兄である伊丹十三の自死。そして、福島第一原発事故。こうした身辺に起きる時事の出来事や予兆に打ちひしがれながらも、どん底からの希望を語る作家として、大江は、小説世界に閉じこもることもなく、評論や講演、あるいは政治的な発言でもって、時代に対峙しようとする。時代の精神を書くことが大江にとって、「生きることの習慣」(the habit of being)なのだ。時代が、大江の創作意欲を喚起し、その時代のなかに読者である‘私’もいる。大江の言葉が、‘私’が今いるこの場に向かって流れ出てくる。 表題の短編集には、1957年に東大新聞で初めて活字にされた、文字通りの処女作『奇妙な仕事』から、『火をめぐらす鳥』(1991年)までの23編の短編が再録されている。僕自身は、このうち18作品を以前に読んでいた。そう言えば、最近、イヌが大量に殺される事件があったが、この 『奇妙な仕事』は、まさにそのイヌ150匹を大学の実験用として不要になったからと屠場処理する話だった。この種の‘奇妙な符号'が大江作品には多い。また、この短編集には、一つのテーマ(登場人物や背景等)を複数の短編で書きつないだ短編連作集『「雨の木」を聴く女たち』や『新しい人よ眼ざめよ』からの再録が多い。 「悲嘆(グリーフGrief)」という言葉に出会う。中年のVulnerability(傷つきやすさ)。死に向かって歳をとる人間が、その途上で直面する危機。壮年のフォークナーは、‘Between grief and nothing, I will take grief.’「悲嘆と虚無の間なら、私は悲嘆を選ぶ」と若い愛人に告白したという。そして、「新しい人よ目ざめよ」では、ブレイクの詩編を手がかりに、無垢の息子達が自分を超え、自分を再生させる新時代を幻想する。「私が死ななければ、おまえは生きることができない。しかし私が死ねば、私が再生するときはお前とともにある」。生と死と再生の輪廻は、形を代え、内容を変えながら、大江作品を貫く。

  • 作者自身による加筆修訂がほどこされた「ベスト短編集」。

    ここには収録作品のリストがないようなので、とりあえず参考までに記しておきます。 奇妙な仕事 (『見る前に跳べ』より) 死者の奢り 他人の足 飼育 人間の羊 不意の唖 (『死者の奢り・飼育』より) セヴンティーン (『性的人間』より) 空の怪物アグイー (『空の怪物アグイー』より) 頭のいい 「雨の木(レイン・ツリー)」 「雨の木(レイン・ツリー)」を聴く女たち さかさまに立つ 「雨の木(レイン・ツリー)」 (『「雨の木」を聴く女たち』より) 無垢の歌、経験の歌 怒りの大気に冷たい嬰児が立ちあがって 落ちる、落ちる、叫びながら…… 新しい人よ眼ざめよ (『新しい人よ眼ざめよ』より) 静かな生活 案内人(ストーカー) (『静かな生活』より) 河馬に噛まれる 「河馬の勇士」と愛らしいラベオ (『河馬に噛まれる』より) 「涙を流す人」の楡 ベラックヮの十年 マルゴ公妃のかくしつきスカート 火をめぐらす鳥 (『僕が本当に若かった頃』より) 「空の怪物アグイー」と「雨の木(レイン・ツリー)」とのあいだがずいぶん空いているなあ……。あと、「静かな生活」と「河馬に噛まれる」とは、順序が逆ではなかろうか……? とはいえ、ぜひ手元に置きたい一冊です。大江さんに馴染みのない読者には格好の入門編となるでしょうし、いっぽう積年のファンにしてみれば、これを見逃すわけにはいかない。私はすべて読んではいるのですが、「全収録作品に対して、けっして少なくない作者自身による加筆修訂がほどこされている」(岩波文庫のHPより)とのことなので、読み比べて検討する楽しみもあります。なにしろ現代日本文学最高の作家のベスト短編集ですからね……。

  • とてもよい

    初大江健三郎です。どの短編も印象的でとてもおもしろいです。ただ一つ難点がありまして、とにかく本自体が重たいです。800ページを超す大ボリュームだからです。なので長時間手に持って読んでいると、けっこう疲れます。

  • 大江さん最後のメッセージか

    多くの大江作品に親しんできましたが、沖縄市民による必死の抵抗が続く現下の沖縄の基地闘争をみて高校時代に読んだ「沖縄ノート」を再読しました。戦後を代表する知識人が「歴史」に立ち向かう真摯な姿勢にまた打たれました。聞くところによると大江さんは臨終の床に臥せっておられるとか?、この自選短編は今読んでおきたいと思いたったのです。

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