作品情報
商人の忠義と打算が、家康の伊賀越えを動かす。
第9回朝日時代小説大賞受賞作。朝日新聞出版から刊行され、受賞時の題名から改題されたことも CiNii などで確認できる。
レビュー要約
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伊賀越えを商人の視点から描く発想と、逃避行の疾走感を楽しむ声がある。史実の余白を娯楽小説として膨らませている点が読みどころ。
書籍情報
- 出版社
- 朝日新聞出版
- 発売日
- 2018-02-07
- ページ数
- 224ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 18.8 x 12.8 x 1.6 cm
- ISBN-13
- 9784022515292
- ISBN-10
- 4022515295
- 価格
- 1043 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/歴史・時代小説
本能寺の変を知り自刃を考えた家康に向かい、 出入りの商人・茶屋四郎次郎は叫ぶ。 信長への饗応費と家康への貸付回収、そして将来手にする利益のために、 必ずや家康を三河に帰す、と。 かくして茶屋は奉行となり、魑魅魍魎跋扈する伊賀の地を縦断する!
レビュー
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徳川家康の伊賀越えの逃避行
本能寺の変の主因を明智光秀の怨恨と国替への不満とする説を高校で習い、長い事私はそれを信じていた。でも近年、天皇の地位を奪い自らが神格の存在ににならんとする主君への光秀の義憤、あるいは家康を亡き者にせんとした信長の謀略くずれが原因とする異説もある事を知った。著者諏訪氏は本書の底流に、大河ドラマ女城主直虎でも採用されている家康殺害謀略くずれの説を据え、逃避行の大功を立てた豪商茶屋四朗次郎の知略の数々に、茶屋家に奉公する謎の隠れ女忍「地獄」の色香を紡ぎながら、命からがらの家康の世界を広げてくれた。 本能寺の変前後の時代小説向き主人公は、備中松山城周辺 、安土の家康供応周辺、京の豪商の動向、愛宕山での連歌興行、秀吉の姫路大返し、織田軍団武将の北越・関東での活躍等々に将に百花繚乱である。それ故服部半蔵や茶屋次郎四朗等の活躍で九死に一生を得て帰国する詳細については、私には未知の世界だった。だから時代小説の形で本書が初めて私にそのへんの情景を見せてくれ、初めての踏み込んだ家康逃避行小説だった。 ただ家康は天下人に、茶屋は大御用商人に、半蔵は幕府の御用忍びに功成り名を遂げる歴史上の実像を知ってしまっているので、今一つハラハラ・ドキドキ感が不足してしまった。それと原題の「商人伊賀を駆ける」の方が現題より余韻が有ってずっと良いと思う。この2点を減点としたい。
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タイトルはもったいないけど内容がとてもいい!
タイトル的にはパッと見ただけではよくわからなかったのですが、内容はと面白くてスピーディな展開に一気に読んでしまいました。タイトルが茶屋四郎次郎ってのが最初名前名前なのかと思いました…。伊賀をかけるってのも家康の伊賀越えの話かなと想像できる人ならいいのですがそうじゃないと、内容がこれだけ面白いのにもったいないと思いました。内容がいいので、もっと知ってもらった方がいいと思いレビュー書きます。読後感も爽やかです。
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テンポ良く一気に読め、胸が熱くなる歴史小説です
私は明智光秀ファンなのですが、恥ずかしながら茶屋四郎次郎の名は今回初めて知りました 知り合いの知り合いが書いた本ということで何の知識もなく読みましたが、光秀の追っ手から逃げる話でした 歴史小説というのは史実という共通認識があるので、作者の創作をどれだけ面白く差し込めるかが重要だと思いますが この作品は緻密で簡潔な表現で登場人物の心の動きや状況描写、時代背景まで読み手に想像させてくれます 実際にこの作品のように茶屋四郎次郎が家康を三河に逃がしたかどうかは誰も知り得ないと思いますが ストーリーや人物の会話が自然で無理が無く、すんなり入って来ました 現代では司馬遼太郎の小説がさも事実であるかのようになっていますが、この作品の内容がのちに事実として 認識されるようになっても、誰も異論をはさまないであろうぐらいに実に流れが良く、描写も詳細です ところどころ、胸に熱い物がぐっと来る場面があってとても感動的でもあります 私は早乙女貢の「明智光秀」が好きで光秀ファンになったのですが、この「茶屋」では敵としてその存在が出て来ます 家康は光秀をリスペクトしているし、光秀も同様であるという表現が随所に見られ、光秀ファンも安心して読めます 個人的には徳川家に仕えた天海僧正は明智光秀であると信じていますが、光秀方の追っ手が最後に取った行動は それに反しない内容でもあります とても面白く、感動的で、人にプレゼントしても喜ばれるであろう良作です
関連する文学賞
- 朝日時代小説大賞 第9回(2017年) ・受賞