作品情報
『グッドバイ』は、題材の輪郭を丁寧に追いながら読者を作品世界へ導く。
書誌情報と受賞一覧を照合し、朝井まかての『グッドバイ』を対象作品として確認した。単行本・文庫として確認できる場合は書籍識別子を補完し、雑誌掲載または未刊行原稿のみと判断した場合は識別子を空欄にした。
書籍情報
- 出版社
- 朝日新聞出版
- 発売日
- 2019-11-07
- ページ数
- 360ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 18.8 x 13 x 2.9 cm
- ISBN-13
- 9784022516473
- ISBN-10
- 402251647X
- 価格
- 2210 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
菜種油を扱う長崎の大店・大浦屋を継いだ希以(けい)26歳。 幕末の黒船騒ぎで世情騒がしい折、じり貧になる前に新たな商売を考える希以に、 古いしきたりを重んじる番頭の弥右衛門はいい顔をしない。 やがて店は火事で焼け落ち、父は出奔、迎えた婿も気に入らず、 いつしか独りで大浦屋を支えることを誓う。 幼い頃に亡くなった祖父から聞いた言葉、「海はこの世界のどこにでもつながっとるばい。昔は自在に交易できたばい。才覚さえあれば、異人とでも好いたように渡りあえた」が幾たびもも胸に甦る。 たまたま通詞・品川藤十郎と阿蘭陀人の船乗り・テキストルと知り合い、 茶葉が英吉利では不足しているという話を聞き、ここぞと日本の茶葉を売り込む。 待ちに待って3年後、英吉利商人のオルトが現れ、遂にお希以は旧弊なしがらみを打破し、世界を相手にするのだ――。 成功と落胆を繰り返しつつ、希以――大浦慶が経たいくつもの出会いと別れ。 彼女が目指したもの、手に入れたもの、失ったものとはいったい何だったのか。 円熟の名手が描く傑作評伝。
レビュー
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主人公が、とにかく魅力的。
長崎人でありながら、余り知らなかった。 こんなに魅力的な女性がいた事を是非知ってほしい。文体も爽やかで美しく読みやすい。
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楽しめました
主人公を調べてみると、史実に基づいて作品全体が書かれているようで、 さらに著者の洒脱な想像力によって瑞々しく仕上がっているようです。 久しぶりの「一気読み」でした。
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江戸から明治へ生き抜く人々
歴史に埋もれた人々のなかにこそ、真実の人生が、確かに息づいていた。
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商家を継いだ女性の生きざまと商売替えのものがたり
朝日新聞の夕刊連載、楽しみにしていました。読むのを忘れると、残念でね。いつも、二回読んでました。文章がうまくて、歴史小説と思えなくてね。 すごく、おけいさんに共感しました。私も苦労した、日本人女性だから。でも、めげずに商売替え4回しました。成功したし、貯金しまくる文化圏生まれでね。 でも、しつこい爺いの番頭は早く辞めてね、とずっと思って、友助が客死したとき、悲しくて。どうなるの、お店の商売は、と心配してね。 でも、強く生きて、借金も返して、明治時代まで生き延びた大店になって終わりました。 おけいさん、寝ちゃったのかな❓️ 私も、俳句で突然30年経つことあってね。
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お希以(お慶)には凪より波濤の海が似合う。人との縁こそが風であり帆である。
幕末から明治へと吹き荒れる時代の風を受けながら、新しい事にチャレンジする菜種油商・お希以の物 語。紙面の隅々から頑固なまでの意志の強さと燃える様なエネルギーがあふれてくる。茶葉を炒る熱気や 音までも聞こえてきそう。読む人の気持ちを高揚させ、思わず応援の言葉を呟きながらページをめくって いた。 欧米人の「契約」を第一義とする商売と、人柄や信用という「心」に重きを置く日本の商いの違いは、 誤解や争いを生む原因となりうる。しかし、この「心」が接着剤となり人と人とがつながることが最も大 切なものであるとする次のくだりに強い感銘を受けた。「人生なるもの、人との縁こそが風であり、帆で ある」(p.354) 誰、あるいは何に対する惜別なのか感謝の言葉なのか。「さよなら」ではなく「グッドバイ」としたタ イトルも含蓄のあるネーミング、読了してストンと胸に落ちました。
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「逃げようとは思わない。己の失敗を総身で味わって、毎日、薄皮を剝いでいく。後悔や恨み、惨めさにおさらばしていく。」
幕末の長崎で日本茶貿易を始めた女性商人・大浦慶の物語。 個人的に、小説としてそこまでだったのは、主人公のキャラクターがあんまり好みじゃなかったからかも...。年齢と経験を重ねて、"女将しゃん"感が出てからが面白くなってきます。
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幕末~明治にかけてあんな女性がいたなんて
母の生家が長崎なので若い頃はよく長崎に行っていましたから、金曜日の朝日新聞の連載当時から楽しみに読んでました。 「しゃま」「しゃん」の使い方にちょっと気になるところがありましたが、面白かったです。
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「女将しゃん」奔る
大浦屋女主人希以は改元を機に名を慶と改めた。慶応年間は大政奉還の大号令が下る転換期で、歴史の波がうねる変革の幕開けの時だった。それを予感していたのだろうか。 痛快な長崎弁で竜馬の亀山社中の若者や茶の交易商人としてグラバーら外国商人とも渡り合う慶は颯爽と時代と人の間を駆け抜けていく。 束縛から解放された機微に聡い慶の商才はこの時代、ここ長崎に花開く。
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