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生命進化8つの謎

朝日新人文学賞

生命進化8つの謎

小野正嗣

『水に埋もれる墓』は、記憶、土地、家族の気配を水のイメージに重ねながら描く小野正嗣の小説です。静かな語りの奥で、失われたものや語りにくい過去が沈殿し、読者はその濁りをたどるように物語へ入っていきます。

記憶家族土地の気配

作品情報

水に沈んだ墓のように、過去は静かにそこに残り続ける。

小野正嗣の初期を代表する作品で、水に沈むもの、忘れられたもの、語られないものをめぐって物語が進みます。静謐な文体の中に、土地と記憶が人を縛る感覚が濃く漂います。

レビュー要約

  • 抑制された文体と、土地の湿度を感じさせるイメージが印象に残る。明快な筋を追うよりも、記憶や感覚の揺れを味わう作品として受け止められる。

書籍情報

出版社
朝日新聞出版
発売日
2001-11-01
ページ数
276ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784022576859
ISBN-10
4022576855
価格
2200 JPY
カテゴリ
本/科学・テクノロジー/生物・バイオテクノロジー/遺伝子・分子生物学

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レビュー

  • 音節・文字・ビットの知能の三段階進化の枠組みを示した予言の書

    本書の最後で、電気信号ビットがどのように人類の知性を進化させるかが話題にされている。この問題は、音節・文字・ビットの三段階進化が、まったく関係のない場所で起きているために、見過ごされがちであるが、音節・文字・ビットをひとつの流れと受け止めて考えることの重要性を指摘しただけでも素晴らしい‼️

  • ある程度の根気をもって生物学を勉強したい人向けの本

    著者のいう「進化における主要な移行」において、移行の障害と思われる要因はどのようにして乗り越えられたのか、という問題を詳細に議論している。 たとえば、遺伝子間、細胞間、個体間の協調にとって障害となるのは、他者を犠牲にして自己の子孫をより多く残すような利己的な振る舞いが、自然選択の下ではしばしば有利に働く、ということだ。著者は、ひとつのDNAを構成する遺伝子や、植物と共生するミトコンドリアのなかにも、他者を犠牲にする利己的な振る舞いが見られるという事実を取り上げた上で、そうした利己性が抑制され、協調が生まれた過程を明らかにしようとする。 数式を使わずに進化の過程を説明する本ではあるが、文章はやや硬く、私のような素人にとってはわかりにくい部分もあるので、一般向けの本としてはとくに読みやすい部類ではない。気軽に楽しむ種類の本ではなく、ある程度の根気をもって生物学を勉強したい人向けの本だろう。

  • 「8つの謎」にこだわらずに読むべし

    本書の原題をあえて訳せば「生命の起源〜生命の誕生から言語の獲得まで」とでもなるだろうか。実際にはこの原題がぴったりする内容で、邦題の「8つの謎」にこだわると行間をうろうろと「謎探し」に迷うことになる。 副題にあるように進化を歴史的にたどることで、生命・生殖・発生・進化について一般向けに説明している。しかし最後に著者が「生物学者であって歴史家ではない」と言っているように、決して史実をたどることに重点を置くのではなく、ダーウィンの進化論をベースに選択と淘汰による分化を説明してくれる。 正直言って、個人的には割と読みづらかったのだが、難解な数式や化学式が出るわけでもなく、ポイントごとに簡潔な図版で示されるので平易で理解はしやすい。特に言語いかに獲得していったかというあたりは非常に面白かった。おそらく読みにくさを感じた原因となったのは、「8つの謎」が数えられなかったことに対する個人的な居心地の悪さだったと思われる。

  • 生物システムの改変として見た進化

    原題はThe Origins of Life(生命の起源)である.原題よりも、訳本の題のほうが内容に近いと思われる.ただし「8つの謎」が何を指すのか、立ち読みの段階では分からなかった.訳者あとがきにも書いてない.多分著者のいう「主要な移行」、つまり、1.複製する分子→区画に囲われた分子の集団.2.独立の複製体→染色体.3.遺伝子および酵素としてのRNA→DNAとタンパク質.4.原核細胞→真核細胞.5.無性的なクローン→有性生物の集団.6.原生生物→動物、植物、菌類.7.孤独性の個体→コロニー.8.霊長類の社会→人類の社会と言語の起源.(31-34頁)を指すのであろう.本文の1章から13章までの記述も、この移行過程を順に説明している.(ただし、これらの移行ステップはそれぞれ解明が進んでいるのに「謎」とよぶのは疑問)8つの移行のうち1から6までは、通常の進化論の本でも扱われる課題であるが、8までも含めて直線的な説明をされると、いかにも人間だけが進化の頂点をきわめたと強調しているような違和感を覚える.通常の進化の本とちがって、この本では進化の過程で生じた具体的な生物種の名前が年代順に出てくることはない.いわばシステムとしてみた生物の変化を進化過程として解説している.捉え方はユニークであり、とても面白い.しかし一方、生物種に言及することが少ないぶんだけ生物学や遺伝学に詳しくない者には分かりにくい.この本を理解するには他の本や文献の助けが必要である.典拠となる詳細な文献がついていればもっとよかった.

  • 哲学レヴェルは高いが・・・

    著者一流の文章と論理展開で議論を進めてあり、単なる知識の提示のみならず「議論の仕方」に感心させられる部分も多い。この本は生物学というよりは生物学の哲学の本だろう。高校生のときに学校で習う生物学(つまり暗記ばかりの退屈な勉強)とはまったく違う、エキサイティングな内容となっている。 しかしながら、日本語訳に問題あるのか、かみあわない箇所がいくつも見られる。あるいは著者自身の誤解も含まれているのかもしれない。哲学的レヴェルも高く、なんとなく読み進めると見落としてしまうが、精読すると腑に落ちない点が多いのが残念だ。

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