報道電報検閲秘史: 丸亀郵便局の日露戦争 (朝日選書 765)
『報道電報検閲秘史』は、丸亀郵便局に残された史料を手がかりに、日露戦争期の報道電報と検閲の実態を追うノンフィクションです。戦場の情報、記者の通信、国家による統制を、地域に残る資料から読み解きます。
作品情報
郵便局に残された電報史料から、戦争報道と検閲の現場が見えてきます。
朝日新聞出版公式ページで ISBN・ページ数・品切れ情報を確認しました。
レビュー要約
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地域史料から大きなメディア史を描き出す着眼が評価されている。日露戦争と検閲制度の具体像を、報道と郵便の接点から読める点に特色がある。
書籍情報
- 出版社
- 朝日新聞出版
- 発売日
- 2004-12-01
- ページ数
- 283ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784022598653
- ISBN-10
- 4022598654
- 価格
- 2396 JPY
- カテゴリ
- 本/歴史・地理/日本史/一般/日本史一般
従軍記者を伴うイラク戦争でも戦時動員情報はメディア規制の対象になる。ちょうど百年前、日露戦争の実態を伝えるメディアは、記者電報と戦場の兵士たちの肉声の手紙だった。民営化が話題のいま、郵便局流出新史料から「日露戦争」を解き明かす。
レビュー
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いくつかの発見あり
切手市場に、歴史的史料が埋もれているとは!電報が、今の時代でいえば「ニューメディア」であり、ネットのような位置づけだった時代に、軍事部門ではなく、行政機関が検閲を行っていたこと、しかも「過剰反応」で必要以上の対応をしていたことは、まるで現在の先取りでしょうか。個人情報保護法をめぐる過剰反応、特定秘密保護法と当時の軍機保護法の近似性を見ると、まるで今年は明治37年。ドキュメンタリストが活字でも示した「検証報道」に、深い感銘を受けました。
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おもしろい
著者は、こみ入った内容をわかりやすく展開するのが、とても上手な人だ。 まず、年輩の日本人ならみんな知っている軍国の母の実話「一太郎やあい」から始まる。明治37年8月28日、香川県多度津の港から日露戦争の激戦地旅順に向けて、丸亀の歩兵第12連隊を乗せた土佐丸が出ていく。「うちのことは心配せず天子様にご奉公するだよ」と港で叫ぶ母にこたえて甲板で鉄砲を掲げる一太郎。そのとき旅順では乃木大将率いる軍が突撃の度に死傷者の山を築いていた。多度津の港を出た兵士たちの何割かが遺骨になり、あるいは負傷兵となって送り返され、入れ替わりに補充兵が出ていく。一太郎はその補充兵の1人だった。 当時各地の通信員は電報で本社へ記事を送っていた。著者が調べてみると、8月23日時事新報丸亀通信員が東京本社に送った電文が、丸亀郵便局の電報頼信紙の綴りの中にあった。電文には傷病兵300名が多度津に上陸入院予定、看護人500名募集、歩兵12連隊の補充大隊出発にともなう指揮官の着任という3項目がある。この記事は25日付時事新報紙面に載るが、紙面には傷病者の帰着と看護人募集だけで、補充大隊出発の件はない。この落差は何によって発生したのか。 電報は郵便局で検閲され、軍事機密に触れると判断されたものは差し止められたのだった。検閲の基準はあいまいで、かなり恣意的だった。 著者は、ふとしたきっかけで入手した丸亀郵便局の『停止電報綴』から検閲の仕組みを解明していく。その経過をたどるのは、よくできたミステリーを読むようだ。おもしろく読み進むうちに、明治の日露戦争のときの話が、けっしてただの昔のおはなしではないことに気がついた。新聞に報道されなかった大勢の一太郎たち。
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最初とても難い本だと思いましたが、とってもオススメ!
四国の丸亀というと、金毘羅さんの近く。 前に旅行に行ったときは、のんびりとしたイメージだったので、 100年前には、そこが軍都として存在していたことすら、知りませんでした。 日露戦争中には、新聞記者たちが、毎日のように本社に電報を送っていたけれども、 郵便局(昔の逓信局)では、電報の検閲が行われ、送られなかったり、 一部文面を削除された電報があった! というのを詳しく調べていった本です。 本を読んでいくと、かなり細かい検閲が入っていて、またさらに、 その後、軍の検閲や、新聞社内での自己検閲が入るというのを知り、驚きました。 それから、新聞報道にも、問題があって、兵士たちの生の声というよりは、 軍人たちの英雄美談に、記事を仕上げていってしまった、時代の流れ。 新聞社の報道に対する姿勢もうかがえました。 最初とても難い本だと思いましたが、 かなり面白く読めます。オススメです!