日本の文学賞

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営繕かるかや怪異譚 その弐

山田風太郎賞

営繕かるかや怪異譚 その弐

小野不由美

古い家や土地に残る怪異を、営繕屋の尾端が修繕を通して受け流していく連作怪談集の第二作。町屋、神社の脇道、古い民家、屋根裏などを舞台に、恐怖と哀しみと優しさが交差する。

怪談連作短編集古い家営繕喪失

作品情報

怪異を祓うのではなく、住まいを直すことで人の心をほどいていく。

KADOKAWA刊。『芙蓉忌』『関守』『まつとし聞かば』『魂やどりて』『水の声』『まさくに』を収録する全六篇の怪談集で、古い住まいや土地に残る気配を、営繕という具体的な行為を通して描く。出版書誌データベース、Amazon JP、KADOKAWA 関連情報で単行本 ISBN/ASIN を確認した。

書籍情報

出版社
KADOKAWA
発売日
2019-07-31
ページ数
328ページ
言語
日本語
サイズ
13.6 x 2.6 x 19.5 cm
ISBN-13
9784041060469
ISBN-10
404106046X
価格
1200 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/SF・ホラー・ファンタジー

営繕屋は 死者の声を聴き、修繕する。 人々の繋がる思いに涙する魂の物語 両親と弟が鬼籍に入り、かつて花街だったという古い町並みにある町屋の実家に戻ってきた貴樹。貴樹が書斎として定めた部屋の書棚に立てかけられた鏡をずらしてみると、柱と壁に深い隙間があった。そしてその向こうに芸妓のような三味線を抱えて座るはかなげな着物姿の人影が見えた。やがて貴樹がその女を見ずにはいられなくなり……。(「芙蓉忌」より) 佐代が生まれた家の町の一郭に神社があった。その神社の脇に背戸があり、夕暮れになると暗くて怖い細道だった。まるで『通りゃんせ』の歌のように。あるとき時間を忘れて遊びすぎ、忘れ物を取りにさらに遅くなり、夕暮れの闇が迫る中、怖いけれど急いで背戸に向かって走っていると、瀬戸に豪華な模様の入った袴を着た鬼が立っていた。その鬼は逃げようとする佐代の肩を掴み――。(「関守」より) 離婚して実家に帰ってきた俊宏の母親が飼っていた三毛猫の小春。半月前に家を出て、そのまま交通事故にあって死んでしまった。母親は2か月前に倒れて意識もなく病院で寝たきりの状態だ。そのいずれも息子の航に告げることができないまま日々が過ぎていくのだが、あるとき航が「小春がいると思うんだ」という。裏の古い空き家から声がするという。さらに「布団に来た」ともいう。布団を調べると僅かな汚れと激しい異臭がする。その得体のしれない「何か」は徐々に迫ってきて――(「まつとし聞かば」) 古い民家をリフォームして住むことに憧れをもっていた育は、築50年以上のこの物件を暇を見つけては手を加えてきた。ある夜零時過ぎ、風呂上りにドライヤーで髪を乾かしていると女の呼ぶ声がする。しかも何かを責めるような強い語調だった。このところ続けて見る、暗闇に人影が座り込んで何かを責めている夢と煩い隣人との関係は――。その答えは意外なところにあった。(「魂やどりて」) 恋人に結婚を切り出すと「僕には結婚する資格がないんだ」「たぶん僕はもうじき死んでしまうから」と。その理由は小学校五年生夏休みにさかのぼる。広い川の大きな堰の先にあるブロックで遊ぶ幼馴染のリュウちゃんを見殺しにしたも同然だった。亡くなった翌年から、背後からふっと淀んだ水の臭いが漂うようになる。臭いはどこかくるのか――。(「水の声」) 祖母の家に引っ越してきてから、両親の不仲から逃れるために押し入れに寝場所を作ると、天井に屋根裏へ通じる隙間を見つけた。上がってみると、誰かが作った屋根裏部屋だった。その脇にゆらりと揺れる影――項垂れた人の黒い影だった。それは片眼のない片脚もないお腹も血だらけだった――。(「まさくに」) 優しさと哀しみと恐怖に満ちた全6篇。

●小野 不由美:大分県生まれ。1988年作家デビュー。「悪霊」シリーズで人気を得る。91年『魔性の子』に続き、92年『月の影 影の海』を発表、「十二国記」シリーズとなる。十二国記と並行して執筆した『東亰異聞』『屍鬼』『黒祠の島』は、それぞれ伝奇、ホラー、ミステリとして高い評価を受けている。「悪霊」シリーズを大幅リライトし「ゴーストハント」として2010年~11年刊行。『残穢』は第26回山本周五郎賞を受賞。現在も怪談専門誌『幽』で「営繕かるかや怪異譚」を連載中。近刊に『営繕かるかや怪異譚』、文庫版『鬼談百景』。

レビュー

  • おもしろかった

    よかった

  • 安心して読める作家

    小野さん、面白いんだからもっとたくさん作品を世に出してくれ〜。

  • 背筋がぞくっとしたくて購入。

    違和感というものが、こんなに恐ろしく感じるとは。

  • さらりと読めるのに心に残る怪談

    大分前に一巻を読んで面白かった記憶があったので二巻を購入。 読みやすくてさらりと読めるのに読後にぞくっとしたり、悲しくなったり、しんみりしたり…。 いろいろな意味で心に残る掌編ばかりでした。 尾端さんが登場した時の安堵感たるや…。 それでも悲劇が防げなかった(これから悪いことが起こりそうな気がする)話も含めてとても面白かったです。 お勧めです。

  • 怪異とは畏怖

    小野不由美さんらしい、ひりひりする筆跡が気持ち良いです。怪異を感じるという事は畏怖を思うということ。目には見えず耳には聞こえずとも 感じる何かはあります。 営繕やさんはそれを当たり前に思い 当たり前に修繕していきます。 メンテナンス ではなく 修繕なんです

  • 良き

    小野先生の作品は大好きです。これも面白かった

  • 待ちに待ったけれど・・・

    前作の「かるかや~」が怖さと人の情趣のバランスがとても良くて続編がいつ出るのだろうかと首を長くして待っていたのですが、期待し過ぎたのかなんだか拍子抜けの内容でした。怖さも半分くらいで登場人物にもなかなか感情移入し辛かったです。また、次に期待します。

  • 「痺れるように怖いもの」見たさに頁をめくってしまう

    可愛い表紙に反して第1話がなかなかおぞましく、怖い夢を見てしまった。 体調のせいか、じんわり這い上るような感触に、気だるさ倍増。 娘にそんな本読むもんじゃないと言われる始末。 怖い恐ろしいは畏れ敬うべきものと表裏一体と、経験上も理論上もわかっているはずなのに、 怖いもの見たさで踏み込んでしまう読書。 この姿勢にこそ「営繕」が必要なんじゃないか。 罪悪感に織り込まれる怖い要素の幾つか。日常生活の陥井に似て。 弱った心に忍び寄る、「痺れるように怖いもの」が本の中に潜んでいる。

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