日本の文学賞

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山田風太郎賞 やまだふうたろうしょう

第10回(2019年)

小説文学賞

受賞者

5名
月村了衛 受賞

戦後最大級の詐欺事件を想起させる横田商事事件の残党を軸に、欺く者と欺かれる者の欲望、暴力、謀略を描く犯罪長編。主人公は詐欺から抜け出せないまま、昭和末期から平成へ続く日本社会の闇に飲み込まれていく。

欺くことでしか生きられなくなった男の半生が、現代日本の欲望を暴き出す。

512ページ
犯罪小説詐欺昭和史欲望社会の闇
今村翔吾 候補
童の神

平安時代、鬼や土蜘蛛などと呼ばれて蔑まれた「童」たちをめぐる歴史小説。越後に生まれた桜暁丸は、父と故郷を奪った京人への思いを抱え、さまざまな出会いを経て、共に生きられる世を求めて戦いに向かう。

蔑まれた者たちが手を取り合い、生きられる世を希求する祈りの物語。

368ページ
歴史小説平安時代差別復讐祈り

古い家や土地に残る怪異を、営繕屋の尾端が修繕を通して受け流していく連作怪談集の第二作。町屋、神社の脇道、古い民家、屋根裏などを舞台に、恐怖と哀しみと優しさが交差する。

怪異を祓うのではなく、住まいを直すことで人の心をほどいていく。

328ページ
怪談連作短編集古い家営繕喪失
川越宗一 候補

樺太で生まれたアイヌのヤヨマネクフと、ロシアの同化政策に翻弄され苦役囚として樺太へ送られたブロニスワフ・ピウスツキを軸に、国家と文明に揺さぶられる人々の生を描く歴史大作。奪われた故郷と文化を守り継ごうとする熱が、時代を越えて交差する。

奪われた土地と文化をめぐる苦悩が、人が生きるための熱へと変わっていく。

426ページ
歴史小説樺太アイヌ民族と国家故郷
葉真中顕 候補

平成元年に生まれ、平成の終わりに死んだ男「ブルー」を軸に、未解決事件、団地で起きた殺人、社会の歪みが重なっていく犯罪小説。個人の運命を時代の影と結びつけ、虐待、貧困、差別、孤立を抱えた平成という時代を重層的に描く。

平成という時代の光と闇を、一人の男の生と死に凝縮した社会派ミステリ。

480ページ
平成史未解決事件社会的孤立貧困と差別犯罪と記憶