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死化粧 (角川文庫 緑 307-1)

同人雑誌賞

死化粧 (角川文庫 緑 307-1)

渡辺淳一

『死化粧』は渡辺淳一の医学小説集で、表題作は医師である主人公が母の脳手術、解剖、死出の化粧に向き合う物語。医療の現場と家族の死を、冷静な観察と肉親の痛みのあいだで描いている。

医学小説家族医師

作品情報

医師として、子として、母の死に立ち会う主人公の視線が凍りつく。

『死化粧』は、渡辺淳一が医師としての経験を文学へ結びつけた初期の代表作である。角川文庫版には、表題作のほか、医学と生死をめぐる複数の作品が収められ、後年の自薦短編集でも重要作として再収録されている。

レビュー要約

  • 母の死をめぐる医師の葛藤が、過酷なリアリティをもって描かれる点が強く印象に残る。医学的な題材を扱いながら、家族の感情を逃さないところに読み応えがある。

書籍情報

出版社
KADOKAWA
発売日
1971-05-01
ページ数
340ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784041307014
ISBN-10
4041307015
価格
1 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

母親の脳手術と解剖、そして死出の化粧をめぐる周辺の人びとの姿を、苛酷なまでの濃密なリアリティをもって描き、芥川賞候補となった新潮同人雑誌賞受賞作【死化粧】他三編。(小松伸六)

レビュー

  • 渡辺淳一さんの短編集

    男女の機微を鋭く穿つかのような、渡辺さんの小説ですが、 この文庫本は、それとはちょっと趣が違う短編集です。 でも、死や重度の障害者など、気軽には読み進めない内容で、 人とは何か、生きるとは、死ぬとは、 など、やや重たいことを頭の片隅に入れながら、 読んでいく本です。

  • 渡辺淳一の医師としての小説

    今は恋愛の伝道者となっている渡辺淳一だが、もともとは医師である。 勤めていた大学で行われた「和田移植」についてメディアに意見を書いたため、大学病院を辞め執筆活動に入るのだが、医師の頃の短編集作品本。 私が一番衝撃的だったのは表題の「死化粧」。 主人公の医師が母親のホルマリンづけ脳のに語りかけるシーンが焼き付いている。 私も自分の母親が子宮摘出手術を受けた後、臓器を見せられ、この小説のシーンが蘇えった。 気持ちが悪い、と思われる方は読まないでください。 しかし、摘出された体の部位は自分を愛してくれた人であり、この部位がなければ今、自分の存在は何なのかを問われる小説だと思う。 医師でなければ書けない小説。

  • 後味が悪い

    母の死は避けられないものだった。だが、自分以外の家族全てが母の回復を信じている。 自分と他の家族たちとの心の隔たりを感じながら母の命の終わりを見つめたとき、胸に 去来したものは・・・。表題作「死化粧」を含む5編を収録。 渡辺淳一の描く医学的ヒューマンドラマが昔から好きだった。けれど、この作品に収められて いる5編どれもが、読んでいて何とも言えないいやな気持ちになってくるような話だった。 人それぞれにいろいろな人生がある。そして、人それぞれにいろいろな人生の終わり方がある。 それを充分わかっていても、読んでいて受け入れられない部分が出てくる。「こんな描き方を しなくても・・・。」何度もそう思った。特に「少女の死ぬ時」の話には、不快感さえ感じた。 後味の悪さだけが残る作品だった。

  • 繊細で深い

    『失楽園』や『愛の流刑地』のイメージが強い渡辺淳一さんだったが、これを読んでイメージがガラッと変わった。性描写が皆無のストーリーの中で、主人公の心の葛藤が深く繊細に描かれ、元医師の著者ならではのきめ細かな情景と心理の描写が秀逸だ。渡辺淳一という作家の奥深さを堪能できる。

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