作品情報
曽根圭介の『熱帯夜』は、受賞歴と刊行形態を手がかりに読まれる作品である。
曽根圭介による『熱帯夜』について、単独の単行本・文庫・短編集として確認できる資料を優先し、掲載誌や雑誌号の識別子は除外した。受賞作そのものを対象に、刊行状況と書籍としての同定可能性を中心にまとめている。
書籍情報
- 出版社
- KADOKAWA
- 発売日
- 2010-10-23
- ページ数
- 272ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 10.5 x 1.2 x 15 cm
- ISBN-13
- 9784043873029
- ISBN-10
- 4043873026
- 価格
- 57 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品
日本推理作家協会賞(短編部門)受賞作! タイムリミットは2時間。美鈴とボクをヤクザの人質にして金策に走った美鈴の夫は戻ってくるのか? ボクは愛する美鈴を守れるのか!? 緊迫の展開、衝撃のラスト。ミステリとホラーが融合した奇跡の傑作。
●曽根 圭介:1967年、静岡県生まれ。早稲田大学商学部中退。漫画喫茶店長などを経て執筆活動を開始。2007年「鼻」で日本ホラー小説大賞短編賞、同年『沈底魚』で江戸川乱歩賞を受賞。09年「熱帯夜」で日本推理作家協会賞短編部門を受賞。トリックの効いた異色の作風で注目されている。
レビュー
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不愉快けど面白い!
不愉快けどとても面白い。 特にごく結末はイヤミスの感じが面白い
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不条理な世界を創り出す上手さに加え、小説技巧も冴えが増した
「鼻」を読んで作者の作風が気に入った。本作は、「熱帯夜」、「あげくの果て」、「最後の言い訳」の3編を収めている。「鼻」でも見せた不条理な世界を創り出す上手さに加え、小説技巧も冴えを増しているようである。 タイトル作「熱帯夜」は、ある晩にヤクザの債権屋に脅される夫婦の絶望的模様と背景にあるサイコ・キラーによる連続女性殺人に加え、カットバックで描かれる轢き逃げする「ワタシ」の姿が重なるという錯綜したストーリーを一気に収斂させる手腕が鮮やか。全編、緊迫感に溢れていて読み応えと独特の味がある。「あげくの果て」は高齢者問題をグロテスクな手法で扱ったもの。高齢者徴兵制度が施行される世界において、「連合赤軍」ならぬ「連合銀軍」が自爆テロを含む反政府活動を行ない、70歳になった高齢者は徴兵検査を受けて甲種合格などを受ける様、戦闘スーツの名前が「難局二号」というギャグ、「連合銀軍」の中で寝返りを迫られた男、対抗する若者は「青い旅団」を結成するなど筒井を思わせる設定である。勿論、「出兵=国家による死」である。これを「お迎え」と呼ぶ皮肉。「最後の言い訳」は、死んだ老人が蘇生し、その蘇生老人に喰われた者や蘇生人の肉を食った者が次々と連鎖的に蘇生人に成るという世界で、主人公の蘇生青年の詩情を描いたと思わせておいて...。蘇生人にとって人肉が効し難い芳香を放つという設定が光る。オチが予想出来るのが難だが、構成は工夫されており楽しめる。 三作ともいずれ劣らぬ秀作。シニカルな視線と非情に徹した姿勢でいて、読者を楽しませる巧緻な物語構成。これからが楽しみな作家だと思う。
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期待しすぎた?
日本推理作家協会賞といえば梅原克文の「ソリトンの悪魔」や飴村行の「粘膜蜥蜴」が取った賞で、いずれも大傑作。だから「熱帯夜」に対する大きな期待を持って本を取り寄せた。読み終わって、え? って感じだった。確かに展開にだまされた部分もある。が、傑作「鼻」のドンデン返しとは質が違うと思う。こういうのを背表紙に書いてあるように「衝撃のラスト」と言うのだろうか? 悪くはない。けど、個人的には凡作に近いと思う。 ただ、他の二作はなかなか良かった。老人徴兵制度という衝撃的な設定の「あげくの果て」は、設定どまりでなく、ある三世代のそれぞれのドラマを積み重ねていき、読み応えがあった。ゾンビが一般化した世界を描いた「最後の言い訳」は、タイトル通りそこが笑えるし、やはりそれまでのドラマが丁寧に積み上げてあり、秀作だと思う。 結果的には、買って損は無かった。
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三話目の主人公許せねえ。言い訳すんな!!
三話収録です。 ・熱帯夜 仕掛けに凝り過ぎてあんまおもしろくない。 ・あげくの果て 高齢者問題を扱ってる。ただそれだけの話。 仕掛けもないし、もうひとひねり欲しかった。 ・最後の言い訳 これはとてもおもしろい! 徐々に明かされる世界観に一気に引き込まれる。 あちこちに巧妙に伏線が隠されていてとても上手い。 切ない終わり方も心に残る。 この話に出会えただけでも読んだ価値があった。
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木下半太の作品のような
ブラックジョーク風で3話ともとてもおもしろかったです。え゛えええぇぇぇぇぇぇと言うようなオチもなぜか消化不良にはなりませんでしたし、後味の悪さなどはなかったです。個人的には最後の言い訳が一番楽しめました。是非またこの作者の作品を読んでみたいと思います。
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とても良かったです
初めて読んだ曽根圭介さんの本。 角川ホラーですがあまりホラー風味ではないです。 淡々とした文体がよりストーリーの巧妙さを際立てています。 文体も手伝ってテンポ良く読みすすめられるのであっという間に読み終えてしまいました。 ・熱帯夜 この本で一番好きな話です。 複数の視点から進んでいき、最終的に交わっていく話です。 話が一点に収束していく様子は大変鮮やかで手品を見ているようでした。 緊張感のある文章がよく合っていて読みやすかったです。 一番スピード感を感じました。読み始めてすぐに引き込まれます。 ・あげくの果て 近未来の姥捨て山のような話。 こちらも熱帯夜のように視点が切り替わって最後に収束していく話ですが熱帯夜より読みにくかったです。慣れてない人には読みづらそうです。 不条理で大変面白かったです。筒井さんっぽさがありましたね。 ・最後の言い訳 ゾンビ物です。 「鼻」や「あげくの果て」もですが対立構造を描くのが本当に上手いですね。 主人公の初恋のエピソードは今までの作品に比べて描写が緻密になるのでとても印象的でした。 なんだか胸きゅんな感じでもあり、大変可愛らしかったです。 ゾンビ的世界観とのコントラストでとても映えていました。 比較的早いうちからオチは予想できますが世界観や物語の運びが上手いので最後まで楽しんで読めました。 曽根圭介さんの書かれる話は不条理な中にもコミカルな要素があってそこが本当に魅力的です。 笑っていいのかだめなのかわからないギリギリのブラックジョークが唐突に出てきて良いアクセントになっていると思います。
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ハイレベルな胸糞短編集
今までに後味の悪い話はたくさん読んできましたがこの作家の書く話はそういうジャンルの中でも頭ひとつ抜けてると思います。 短編ひとつで気力をごっそり持っていかれる。この作家の小説は本当に読むと疲れます。間違っても精神的に余裕がない時に読んではいけません。 前回読んだ「鼻」より文章が綿密になっている分、絶望感の密度も濃くなっていました。 本作は三つの話からなる短編集ですが、どの話にも救いなんてありません。勧善懲悪がお好きな方はご用心。 表題作の「熱帯夜」はどこか「鼻」に通じる物語の構成になっているような気がしました。途中ちょっと笑ってしまうような出来事もあったりしたのですが最後の一言はすごく怖い。三編の中では一番ホラー色が強いかも。 「あげくの果て」は高齢者徴兵制度を巡っての近未来のお話。視点がコロコロ変わりますが終盤でバラバラだった視点が一つに収束していく構成力はお見事。近未来版姥捨て山といった感じで読みごたえがあった。 そして一番お気に入りなのが「最後の言い訳」。この設定で長編書いて欲しい!と思いましたが短編だからここまで輝くのかな。平たく言うとゾンビ物です。バイオハザードよりはSIRENに雰囲気が似てるかな?しかしこれは面白かったです。 ところどころ現代への風刺も利いてて、且つ人口が逆転したことによって起こる世界の変化が妙にリアルでゾワゾワしました。 人類とゾンビの人口が逆転してしまった最大の原因がこれもう…単に噛まれて感染が広がった、じゃないんですよねー。上手いです。 わりと早い段階でこの話のオチに気付く人は多いと思いますが、そこに落とし込むまでの話の持って行き方がお見事と言う他ないです。この作家の作風で、このレーベルならこのオチしかないでしょうが、「やっぱりね」と軽く言って終われないくらいには胸が詰まる結末でした。 基本的には勧善懲悪好きな人間なので、単に後味が悪いだけならばその作家の小説は以降読まないのですが、この作家はものすごく胸糞悪い後味なのに次も読みたくなるから不思議です。ずば抜けて面白いからなんでしょうが、中毒になりそうな胸糞悪さ。 また元気がある時に他の作品も読んでみたいです(笑)
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ゾンビ
サンワ収録 レビューとかみなかったのでございまして、サンワ目がまさかのゾンビ物でとても面白かった 新しいゾンビ物でございまして、社会風刺も効いていまして、とても面白い とても面白いのでゾンビ好きはみるべきでございます
関連する文学賞
- 日本推理作家協会賞 第62回(2009年) ・受賞