ラス・マンチャス通信 (角川文庫 ひ 19-1)
異形の家族と断絶を抱えた少年の成長を、マジックリアリズム的手法で描く長編。
作品情報
異形の家族と断絶を抱えた少年の成長を、マジックリアリズム的手法で描く長編。
少年時代の終わりを境に、異形の家族と断絶を抱えた語り手の成長を描く、濃密なマジックリアリズム作品。
書籍情報
- 出版社
- 角川グループパブリッシング
- 発売日
- 2008-08-25
- ページ数
- 319ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784043905010
- ISBN-10
- 4043905017
- 価格
- 227 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
少年時代の終わりの日、僕は姉を犯そうとする「アレ」を撲殺した。執着と断絶を繰り返す異形の家族のサーガを既存の枠組みを踏み越え、ガルシア・マルケスにも擬えられるマジックリアリズム的手法で描く壮大な物語。
1968年東京生まれ。2004年『ラス・マンチャス通信』で第16回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。
レビュー
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「僕」は狂人
思ったよりショッキングな内容が含まれました。最終盤に入って一気に引き込まれたところで終幕を迎えました。
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呪われた世界の呪われた家族
ラス・マンチャスとは、作品中の架空映画に出てくる呪われた一族のことだという。これが最後までうまく小説世界のイメージを統一している。第一章だけ、少し異質だ。これは知的障害者の兄がいる家庭をグロテスクに描いたともとれ、テーマがこの章だけでも小さく独立しているからだ。 全体的に少ない登場人物ながら、各章に新しいキャラクターを登場させ、物語を淀ませることなく進めていく。はじめは少しだけ現実から遊離していた世界が、徐々に加速度を上げて遠ざかっていく。「僕」が最後に帰ろうとしている本来所属していた場所とは、決して現実世界ではない。それはおそらく、更に遠く呪われた世界に違いなかろう。 合掌。
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個々のエピソードはおもしろいが全体では不満
主人公こそ同じだが、個々の章は独立している連作小説。最初、そのことに気づかなかったので、突然時間と空間が変わって「?」になってしまった。ただ、連作といっても、最終章を除くと結末があるんだかないんだかよくわからない。さらに結局のところ、何の話なのかという疑問も残る。「あれ」の話をはじめ面白いテーマを書いていると思うのだけれど全体としては難解な物語。
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暗くせつない残酷ファンタジー
架空のものを出してきてファンタジー仕立てにしているが、見方を変えればどこにでも転がっていそうな負の連鎖、宿命のようなものが描かれている。エロやグロが混ざっているけどとても美しい物語である。 ただわけがわからないと思う人もいると思うので、読者を選ぶ作品と言えるだろう。なかみ検索で少し読んでから購入した方がいいでしょう。
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ファンタジー嫌いをも唸らせる1作。
わたし、ファンタジーは苦手、いや、むしろはっきり言って嫌いで こんなに本読んでるのに、ハリポタを手にとったこともありません。 が!が!! 「アレ」だの、「施設」だの、「次の奴」だの。 何もかもが、曖昧な説明なのに、なんとなく想像できてしまう 突拍子もないような身近なような。 例えば、「アレ」は、言ってみればトカゲなどを持ち込む容姿の可愛くないネコみたいなもの なんだろうけど、手を出して、「施設」に入れられてしまうんだから 何か特別なんだろう・・・とか 「施設」は、犯罪を犯した人の入る精神病院のようなものな気がするけど ちょっと違う。 主人公が、流刑?される土地は、鹿児島みたいなとこなんだろうけど そこまでリアルじゃない。 のようなものだが、まったく違う世界で話が展開していく。 でも、この「ようなもの」のおかげで、この奇妙な話に置いていかれることがない。 主人公も、「アレ」だの、「次の奴」だの、何なんだ?と思いつつ かといって、深く追求するわけでもなく 読んでるこっちも、何なんだ?と思いつつ、「多分、**のようなものだよね」と 読み進める。 普通に暮らそう、ささやかに地味に。と思っているのに 不遇な運命をたどる家族。 家族と主人公が離れて暮らすことになったときに、最後の家族旅行の フェリーで見た「ラ・マンチャの人々」 顔にあざのある生まれたときから、回りに疎外されると決まった運命の一族の話。 そして、この章の名前が「混血劇場」 全部読むと はぁぁぁ。そういうことなの?すごいなぁ。とひとつの結論に行き着きますが それが、あってるかはわかりません。そこまで説明されていません。 装丁さえも、意味を持ってる気がする。 レベル高いとしか言い様がない。 好き嫌いは、かなり別れそうだけど。 想像させるだけで、ここまでのものが書けるのはものすごいと思う。 ファンタジー嫌いをも唸らせる1作。 本は、読み手の想像力により、面白かったり面白くなかったりする。 これぞ、「本」だ!って思う。
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騎士道物語としてのしみ物語
驚いたことには、ドイツの教養小説よろしく苦く有意義な経験を積んでゆく「僕」をどこかから監視する者がいて、折りをみて「僕」の人生をまぜっかえしにやってくる。やってくるのは公衆便所の男であったり次の奴であったり姉と結婚した得体のしれないなにかだったりするわけだが、姿形をかえてあらわれるそいつらは「僕」の敵でも味方でもメタファでもシンボルでもなく、ただひたすら他者としてあり、語り手との共犯的関係をとりむすぶことを断固として拒絶する。 反時代的な騎士道をもちこんだことでドン・キホーテの物語が批評性を獲得したのに対して、小市民たる「僕」はまさに小市民的な生活をおびやかすそいつらに対抗するために騎行をはじめなければならなかった。 語り手の思想や倫理を歯牙にもかけない他者=世界存在と向きあうことの不毛さに「僕」は気づいている。テロルの時代に生きざるをえない『ダークナイト』(クリストファー=ノーラン)のヒーロー同様、ラス=マンチャス(黒いしみ)を刻印された若い騎士は憂いたっぷりな面持で、このいびつなビルドゥングスロマンのラストをしめくくりにかかるのだ。
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マジックリアリズム
文体、世界観と衝撃を受けた作品。ザ・マジックリアリズム。 物語は「僕」の実家時代から始まって、家を出されどこかの町で仕事についたり施設に入ったりと舞台はぽんぽん変わるが、歪なおぞましい世界はどこまでも広がる。 どこまでも救いようのない陰鬱で痛ましい世界だが、くせになってひきこまれる小説。
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不条理な世界へ迷い込みたいときにお勧め
他のレビュアーの方々が書いておられるとおり、大変独特で不条理な世界が展開するので、好き嫌いがはっきりと分かれる作品だと思う。主人公の一人称で語られる狂気の世界、というジャンルが確かにあって、そういうものが大好きな者としては面白く読んだ。ただ、狂気と正気の境目が、意外とわかりやすい方なのではなかろうか。なので、星を一つ減じた。 それにしても、ファンタジーノベル大賞を追いかけている人間て、これほどマニアックなものだろうか。私もそうなのかな。 参考にならない票が一気に入った方、経験が山ほどあるので気持ちはわかる。でも、めげずに書き続けよう。あなたの感性の方がノーマルなのかもしれないのだから。