作品情報
穴に入るほど満たされるという奇想が、人生の転機へ滑り込む。
第十八回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作を表題作とし、ほかの短編も収録した角川ホラー文庫。KADOKAWA 公式ページで紙書籍の刊行と電子版を確認。
レビュー要約
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発想の奇抜さと、とぼけたユーモアが強く印象に残る作品として読まれている。恐怖よりも違和感や可笑しさが先に立ち、そのずれが独特の後味を作る。
書籍情報
- 出版社
- 角川書店
- 発売日
- 2011-10-25
- ページ数
- 248ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784043944941
- ISBN-10
- 4043944942
- 価格
- 762 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
穴、穴、穴。なぜか穴に入る魅力に目覚めた僕は、ホースや同僚の口を手始めに、どんな穴でも入りたくなるようになった。その欲望の果てにあるものは――? 奇妙な味わいが癖になる日本ホラー文庫小説大賞短編賞受賞作!
1979年生まれ。本作で第18回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞しデビュー。味わい深い文体で、奇妙な世界を描き出す気鋭の新人。
レビュー
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ホラー×笑い
すごく短い話です。あっという間に終わります。 どんな「穴らしきもの」に入るのかが見どころですので、色々なレビューや選考委員会の選評は読まない事をおすすめします。 私は選評を先に読んでいたので、どんな穴に入るのか知っていて、少し物足りなさを感じました。 選評では「パントマイムを見せられているようだ」とありましたが、私もその言葉がぴったりだと思いました。 不気味さはあるけれど、ホラーというよりお笑いに近いように感じます。 人によっては恐く感じたり、滑稽に思えて笑えたり、笑いとホラーは紙一重なのでしょうね。 ジャンルにはこだわらないで、一つの作品として楽しみました。 他の4編についても、不気味さはあるけれど私は恐くありませんでした。 「金骨」は私にとってはよく分らない話でしたが、彼氏は大笑いしていました。 「よだれが出るほどいい日陰」は私も日焼けしたくないので、主人公の気持ちが少しわかります。 「エムエーエスケー」は、千葉県の巨大テーマパークにいる世界一有名なネズミさん達が喜びそうだと思いました。 「赤子が一本」はこの中で一番ホラーテイストがあったのではないかと思います。
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嗚呼、馬鹿馬鹿しい。 あぁ…
「世間じゃ駄作かもしれないけど、こんな意見もあるよ」程度の感覚でお読みいただければありがたいです。 第18回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞した作品です。 「大賞受賞作の短編集だ。」 「なんだかカバーのイラストはシュールで明るい雰囲気だが、角川ホラー文庫にある短編集のラインアップを見る限り これもきっと不気味でおどろおどろしい話で目白押しなんだろうな… さて、どんな物語なのだろうか?」 と、怖いもの見たさのワクワク感に胸をふくらませながら読むと肩透かしを喰らう可能性があります。 それどころか「想像していたものと違うし、何だってこんなに不埒でバカみたいな話ばっかりなんだ!」と憤慨されるかもしれません。 実際この小説をレビュ-なさった方々から「この小説のココが駄目だった」という具体的な指摘がなされています。 ですが弁護させて下さい。これは軽めのタッチで表現されたナンセンスホラーコメディなのです。 どうせなら楽しく読了したいですよね。その為にも「これから角川ホラーの短編集読むぞ!!」と意気込むのは禁物です。 肩の力を抜いて「どれも微妙なオチだけど選考会の審査員もしょうもないのを引っ張ってきたな…」と怒らずに受け止める余裕が必要です。 以下に収録された五つの短編の内容を簡単に紹介します。 「穴らしきものに入る」 自宅で洗車中、突如主人公の身に起きた奇怪な現象。 ツキが回り始めると同時に性的倒錯にも似た体験に病みつきになっていく男の「パラフィリア」ならぬ「穴フィリア」生活。 欲求に従い次第にエスカレートしていく彼の行動は愚かでコミカルですが、なんだか不思議と共感もしてしまいます。 通勤電車の吊り革でボンレスハムのように変貌していく姿はグロテスクかつ間抜けでおかしかったです。 「金骨」 斎場で実父である金造の火葬に立ち会ったせがれの七鉄。 火葬炉が開け放たれた時、金造の姿は変わり果てていた。 遠方から訪れる親戚一同が何に期待して葬儀に訪れるのかを強烈にデフォルメした短編です。 斎場で暴走する親戚たちのやりとりは必見ですが、オチは火力不足でした。 「よだれが出そうなほどいい日陰」 ある日を境に陽光を避け文字通り徹底した日陰者として日々を暮らす不憫な女性。 美容化粧品とかアンチエイジング商品に対する筆者の皮肉なのかもしれません。 嫌い、でも好き、でもキライよ日向。 「エムエーエスケー」 人物同士で会話に徹する描写が多くこの小説の中で最もライトなお話かと思います。 ナンセンス極まりない一篇です。144ページにある主人公とその妻のやりとりに不覚にも爆笑していました。 これも恐らく街中を行き来する人々の様子やメディアで連呼されるアルファベットに対する筆者なりの皮肉なのでしょう。 「赤子が一本」 晴天が照りつける中、夫婦が買い物から帰宅する道中で見つけたどこにでもありそうな自動販売機。 しかし、自動販売機には奇妙な表記が… 夫婦が目の当たりにするシュールで不気味な体験。この短編集で最もホラー寄りの内容です。 嘘か本当か判断できない、そして自分自身の行動もだんだん信じられなくなり葛藤に揺れる妻が健気に映りました。 それぞれの短編は独立しており関連性はないものの、全編始まりが「よく晴れた〜」といった文章に始まり 晴れた日の暑い日差しや、異性同士のふれあい等が小説全体のキーワードになっています。 その他、他愛もない会話が頻発したり、「なんだなんだなんだ」といった文章が使い回されている所を見ると 「平凡な日常の中にさりげなく隠れてこんな不可思議な事も起こるかも…」と読者に想像させる国広正人さんの演出なのかもしれません。 カバーイラストも一度読み終えた後に見直すと「なるほど!」と感じました。 私自身はとても楽しめた短編集でした。 時に、こう語尾の句点をしげしげ眺めてみると… あぁ… 以上、長文駄文失礼しました。参考になれば幸いです。
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オチが弱い
ホラーというより世にも不思議なって感じの話が多いですね。表題作始め5本の短編はどれも中々独創的でそれなりに面白くもあるのですが、共通してるのはどれもオチが弱い。最後にあっと言わせたりずしっとくるような読後感も無いんですよねえ。
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もうちょっとオチに工夫があったら・・
評価があまり高くないですね。 ホラー大賞の作品なので、そこには違和感を感じますが、自分は面白く読めました。 表題作「穴らしきものに入る」 まずタイトルからして気になります。 いきなりホースの穴に入った時点で「なんだ!それは!笑」ってなるんですが、 (妻の反応もいい) だんだんと作者のペースに乗せられていく感じで楽しかったです。 「金骨」や「エムエーエスケー」も光景を想像して笑わせてもらいました。 筒井康隆もそうですが、清水義範の「バスが来ない」と言う小説を思い出しました。 惜しむらくは全編オチが物足りないかな・・もう一ひねりあったらよかった。
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出来にばらつきが大きく、評価に困るが……
出来不出来の激しい短編集だ。なので作品ごとに☆を付けてみようと思う。 「穴らしきものに入る」 何の説明も無く、いきなりホースをくぐりぬけたかと思うと、蕎麦屋では同僚の口の中へ手から順番に身体を入れていく。穴を見るとどうしようもなく入りたくなってしまう男の話だ。文章も軽快だしギャぐ的な表現の入れ方も絶妙だし展開も早く非常に面白い。中でも電車のシーンは最高だった。ラストは正直もっと面白いオチは無かったのかと思うが、行き着く果てとしてはこんなものか。 ☆4.5 「金骨」 父親を火葬にしたら、骨が全部金だった。それに端を発し、盗もうとする者が続出。次にその弟である‘銀’造に注目が集まり……。ドタバタコメディで非常に楽しい。でもオチは残念な出来。 ☆3.5 「よだれが出そうなほどいい日陰」 日焼けを異常に嫌がるヤクルトンレディ(ヤクルトおばさんみたいなもの)の変態ぶりが生き生きと書かれていて不思議な魅力を持った話。だが、それ以上に展開が無いので飽きる。 ☆2 「エムエーエスケー」 顔にプロレスラーのようなマスクが突然張り付き、それを取ると別のマスクが現れ……と、顔がマスクのマトリョーシカ状態になる話。いろいろ話は繋がるし広がりは見せるが、結局それだけで終わってしまう話。 ☆1.5 「赤子が一本」 ジュースの自動販売機に「当たりが出れば……赤ちゃん一本プレゼント」と書いてあったという話。昔それを当てたというお婆さんが出てくるところまではまあ良かったが、その後の30ページは乱暴な言い方をすれば要らない。没原稿じゃないのか、これは。行ったりきたりで何度ジュースを買っても当らないだけ。だからといって心理的なドラマがあるわけでもない。非常に退屈で無駄な時間だった。結局最後に当たりが出て、ホラーな終わり方はしてくれるが、その前に腹が立っているので…… ☆0.5 ということで、最初の二作を読んでいた間は、筒井康隆の再来かと嬉しくなって、これは期待の新人だと読んでいたが、どんどんつまらなくなっていき、最後は印象が悪かった。最初の二作だけに¥552が高いか安いかだが、賞を取っている作品があるからまあいいかな、というところ。 一つだけ間違いないのは、ホラー小説が読みたい人は絶対買ってはいけないということ。僕の場合はホラーを期待して買って、それが違っていても読んでいて面白ければいいやと手を打っただけ。
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無味無臭
表題作に関して。 良くも悪くも、内容紹介に書かれている通りのお話です。 終始淡々と穴に魅せられた男の行動が描かれます。 あくまで穴に魅せられ穴に入るというだけの話なので、入った穴の先に何かがあり、そこで起こる奇妙な出来事を描くといった展開にはなりません。 この点は、タイトルから勘違いする方もいると思われるので注意です。 状況や感情から来る恐怖はありません。 作品内に漂うのは、恐怖ではなく違和感です。それも淡白な語り口とシュールなユーモアから発せられる、「違和感を覚えないことに対する違和感」と言ったものです。 流してしまえば何も感じずに終わるでしょう。しかし見つけたからといって、これと言った感慨は沸きません。 幕間の小咄。暢気なブラックユーモア。 嫌う理由はありませんが、好きになることもない。 極めて気軽な作品です。 恐怖・哲学・世界・感情。そういった物語の要素を求める方にはお勧めしません。
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悪い意味での浮遊感。
あまり良くない意味での、浮遊感。 ようするに座りの悪さ。 あくのない筒井康隆と言うか、お行儀の悪い星新一と言うか。 タイトルはすごくいいなって思ったんだけど、 続く金骨がつまらなくて、その続きの日陰のオチが弱くて、 エムエーエスケーはテンポは良かったのにこれもオチがよくわからず。 最後に至ってはえーってがっかり。 最初の受賞作の目のつけどころで、★3つ。 読み返さないとは思うけど。
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