作品情報
切断された石膏像の頭部が、家族の秘密と論理の迷宮へ導く。
NDL 書誌で角川書店刊、2004年9月、492ページ、ISBN 4-04-873474-1 と確認した。ISBN-13 は規格換算で補完した。
書籍情報
- 出版社
- KADOKAWA
- 発売日
- 2004-09-01
- ページ数
- 492ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784048734745
- ISBN-10
- 4048734741
- 価格
- 1980 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
首を切り取られた石膏像が、殺人を予告する―著名な彫刻家・川島伊作が病死した。彼が倒れる直前に完成させた、娘の江知佳をモデルにした石膏像の首が切り取られ、持ち去られてしまう。悪質ないたずらなのか、それとも江知佳への殺人予告か。三転四転する謎に迫る名探偵・法月綸太郎の推理の行方は―!?幾重にも絡んだ悲劇の幕が、いま、開く。
レビュー
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エラリー・クイーンリスペクトな理知的本格ミステリの力作
法月綸太郎は「ノックスマシン」が面白かったのでこの作品に手を出したが、本格ミステリは初読。作者と同名の名探偵と警察関係の父と言うのはエラリー・クイーンそっくりの設定で、首無し死体を扱った「エジプト十字架の謎」を彷彿とさせた。キャラの性格付けも含めて、クイーンのリスペクトぶりがミステリファンの心理をくすぐる。 それはともかく、なかなか殺人(と言うか生首)が出て来ない異色の構成で、伏線を張るためなのだろうけど、多少読むのに難渋する。その替わりに彫刻に関するペダンチックな知識が語られ、嫌味とも取られ兼ねないが、本格ミステリにありがちな稚気として好意的に解釈した。法月探偵は行動派だが、誤算と失敗を重ねてしまうのが、ハードボイルドみたいで面白かった。反対に犯人側も同様にドタバタして、妙にリアルと感じたが、作品として整合性を持たせるのは大変だったろうと推察する。 生首が出て来る中盤以降は実にスリリングで読み応えがあり、一気に読書スピードが上がった。「生首」と言うインパクトのあるモチーフを終始描き切った力作と評価する。
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伏線回収は見事でした
読了したあとにamazonでのレビューを眺めていくうち 自分がこの作品に感じた違和感が浮かんできたように思う というのもこの作品を読んでいて思ったのが 探偵が動かされている ということである。 探偵が動く先々で何かが起こり、それを探偵はとめることができず すべてが終わったあとで探偵が推理する。 大体の探偵ものはそうなんですが、どうにもこのシリーズは 探偵が著者のいいように動かされ手いる間がぬぐえない。 他の多くの探偵ものとは異なり、探偵が深くそしてリアルタイムに 作品にかかわっています。(探偵が被害者を救える可能性があったことからも わかるように) そこでの探偵の行動 思考がどうにも動かされている感が 多分に感じられそこが私がこの作品に感じた違和感なのかもしれません。 とまあなんかこの作品を批判しているようですが、伏線回収はミステリーのなかでも 随一なのでそういった作品が好きな方にはいいと思います。
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雰囲気はあるがこの作者の中では凡作より
出来不出来の差が激しいように感じられる法月綸太郎作品としては堅実だけれど凡作より。 このミスで一位をとったのでハードルが跳ね上がってしまった感があるが、 リアリズムの事件に現代的な要素と新本格的なケレン味を組み込んだ作風は既に確立されていて、 作品の世界観は感じられる。 過去作なら「誰彼」に類する作品と言えると思うが、意外な真相、意外な犯人とその推理のロジックの濃いめを望むなら、 同じく探偵法月綸太郎シリーズの傑作短編集「探偵ホロスコープⅡ 一人の女王の問題」が良い。 飛び道具強めなら「法月綸太郎の冒険」がおすすめ。 とはいえ物語としての面白さもあるので、ある程度長めの小説でも大丈夫なら十分誰にでもお薦めできる。
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やっと出たというだけあって。。。
やっと読めました。十分に満足できる作品です。 作者はかなり寡作なかたで、何年待たせることか。。。新本格ミステリー好きには、欠かせない作家さんです。 初めて読まれる方は、いろいろ細かい所でツッコミたくなります(人物描写など)が、 クイーンばりのロジックの展開は圧巻です。 前半でしくまれた伏線が、後半で見事に絡み合う。 (ミステリーなので当然ですが、かなりのパズラーです) 設定もクイーンそっくりですし、読んでみる価値ありです。 次も期待して待つのですが、次は何年先でしょうか?
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筋の起伏は乏しいが、本格パズラーを楽しみたい方にはお勧め
生首もの(という分野があるのかどうか知らないが)となると、猟奇的な犯罪に対する 恐怖感とホラー的要素で引っぱる小説という印象があるが、本作はそういう作品では ない。あくまで推理を主体とした本格ものである。というか、物語の中心をなしていた 人物が生首にされちゃったのに、あっさりと受け止められているような印象すら受ける。 現実に起きればかなり衝撃的な犯罪だと思うのだが、登場人物たちの感情はあまり 前面に出てこない。そんなわけで作者は物語の盛り上げに積極的に手を加えてない。 推理だけを純粋に愉しむ層は別として、小説としては物足りなさを感じるかもしれない。 私の乏しい探偵小説歴から分析すると、「生首」「双子」「仮面」「失踪」といった要素が くると、大抵はどこかで"すりかえ"のテクニックが使われると予想できる。私もどこで それがくるのかと思いつつ読み進めていたが、あれも不可能、これも不可能だし・・・と 可能性が狭められているうち、意外なところで「あーそうか」と。「言われてみれば可能 だよなぁ」という感じ。誤誘導が巧みでヤラレた。短時間で読了してしまったのだから、 面白かったことは間違いない。「このミステリーがすごい!」2005年の受賞作である。
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圧倒的な構成力
かなりの長編ながら無駄のないストーリー、後半に行くにつれ驚かされる仕掛けがいくつもあるので読みごたえもすごいです。 頼子のためにが面白かったので強烈なタイトルに惹かれ本作も手に取りましたが買って正解でした。このミス1位を獲得していた作品だということは他の方のレビューを拝見して初めて知りましたが、それも納得の出来です。 メインの殺人事件が起こるのは中盤とかなりゆっくりめの事件発生ですが、その前に小さな事件をいくつも挟んだりして飽きさせない構成になっています。そのため物語の密度がすごい。そして伏線が上手いなぁ…。回収も鮮やか。さりげない伏線ながらその伏線を印象付けるのが上手いのでそんな描写あった?なんてことにはならないはず。 頼子のためにもそうでしたが、事件自体は解決しても物悲しい、やりきれない雰囲気が漂うラストが印象的。犯人にさほどの意外性はありませんが幾重にも仕掛けられたトリックはお見事なので文句なしにおすすめの一冊。
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底が見えてしまった気がする
先の展開が気にならず、ページをめくる手が重かった。 筆者は本当に親子関係、生殖関係にトラウマか思い入れがあるんだなとは思ったが、 これがこの人の底なのかなと思い、今まで集めていた作品も手放すことにした。 そのくらい受け入れがたかった。つまらなくて。 大切な人が殺されたはずなのに、焦りや悲壮感がない。 モチーフは魅力的なはずなのに、真相が気にならない。首がどうなろうと、どうでもいいじゃないかと思ってしまう。 肝心のトリックの部分も無理があるとしか思えなかった。
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理想化しすぎたかな?
構成は流石ですし、話は勿論面白いのですが、冒頭部分で作中の法月綸太郎がただのスケベおやじに感じてしまい、気持ち悪く感じました。
関連する文学賞
- 本格ミステリ大賞 第5回(2005年) ・受賞