作品情報
野中柊の『きみの歌が聞きたい』。
『きみの歌が聞きたい』は野中柊による作品。受賞対象として扱われた作品で、物語や論考の中心となる題材を通じて作者の関心が示される。
書籍情報
- 出版社
- 角川書店
- 発売日
- 2006-04-22
- ページ数
- 279ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784048736886
- ISBN-10
- 4048736884
- 価格
- 1540 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
夫に恋人がいることを知って傷つきながらも、諦念を抱いて日々を送る美和。そんな彼女と共に、天然石のアクセサリー・ブランドを立ち上げた幼馴染の絵梨。そして、絵梨のかつての恋人であり、さまようようにして生きる少年ミチル。いつしか、美和とミチルは週に一度だけベッドを共にするようになる……。優しさと慈しみに満ちた長編恋愛小説。
1964年生まれ。立教大学卒業後、渡米。ニューヨーク州で3年半暮らす。1991年「ヨモギ・アイス」で海燕新人文学賞を受賞し、デビュー。近著に『参加型猫』(マガジンハウス)、『ジャンピング☆ベイビー』『ガール ミーツ ボーイ』(新潮社)、『ひな菊とペ パーミント』(講談社)、『あなたのそばで』(文藝春秋)などがある。
レビュー
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人を信じたくなる
涙なしには読めない作品。三者プラス一人が、それぞれ狂っており、それぞれ非常に優しい性質をもっている。ときとして冷酷な判断を下しても、人はどこまでも他人に優しくなれるのだなと思う。それで、人としてほんとうに、救われる。しかし色褪せない思い出には、どうしたって締めくくりが必要なのだろうか。(泣)
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痛くて切ない
静かな口調でしっとりと進んでいく物語。 『痛くない?』 『痛いわ』 『どこが?』 『どこもかしこも・・・』 こんな会話に胸がきゅーっとなります。 たくさん恋人がいるけれど、何故か満たされない絵梨も痛いけど切ない。 自分は浮気をしつつ、妻が自分から離れていくことを許せない身勝手な夫・光隆も、痛いけど切ない。 美和の、一緒になることはないけれど彼(ミチル)を本当に愛していたと思う。という気持ちも痛いけど切ない。 ミチルの存在そのものが痛くて切ない。でも愛しい。 わぁーっという盛り上がりはないけれど、こういうお話が好きな人ってきっとたくさんいると思う。 わたしもその一人。
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自分の居場所って?
この本には悪役が存在しない。 美和がいるのに浮気をしている光隆も 光隆がいるのにミチルとベッドを共にする美和も ミチルに美和と寝るようけしかけた絵梨も 絵梨を捨てた母親も 優しくしてくれた女性たちを次々と捨てていくミチルも ミチルの継母も・・・。 登場人物みんなが優しく、慈しみにあふれていて 胸に鈍い痛みを与えられながらも 憎しみという感情がわかない。 ふわふわと海を漂っているような 不思議な感覚に陥ったのはなぜだろう? 自分の本当の「居場所」というものを考えさせられるような。
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痛くて美しい小説
読んでいて涙が出ました。ミチルの痛みが自分のことのように感じました。 登場人物が皆、孤独を抱えていて、そういうところも共感します。切なくて、痛くて、こんなすばらしい小説はなかなかありません。 過去の自分の哀しみ、心の奥の繊細な部分にそっと触れる小説です。
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新境地開拓☆
いい意味ですごく裏切られ、とても嬉しくなりました。 今までの作品とは全く違う、とても素晴らしい本でした。 これは穏やかな時間の流れる作品ではありません。ザクッと身を切られるような鈍い痛みと、それに反するような爽快感もあり、実に読み応えのある一冊でした。 野中さんファンの人には是非とも読んでいただきたいです。
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