作品情報
祝祭へ向かう都市の明るさの下で、貧しさと怒りが火を噴く。
角川書店刊。東京オリンピック前夜の都市を舞台に、国男の怒りと刑事たちの追跡を交互に描き、成長の時代のひずみを浮かび上がらせる。
レビュー要約
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時代背景の再現と、犯人側・捜査側の双方を追う構成が支持されている。祝祭の裏側にある社会の影を描く点が読みごたえにつながる。
書籍情報
- 出版社
- 角川グループパブリッシング
- 発売日
- 2008-11-28
- ページ数
- 524ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784048738996
- ISBN-10
- 4048738992
- 価格
- 2415 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
昭和39年夏、オリンピック開催に沸きかえる東京で警察を狙った爆発事件が発生した。しかし、そのことが国民に伝わることはなかった。これは一人の若者が国に挑んだ反逆の狼煙だった。著者渾身のサスペンス大作!
1959年岐阜県生まれ。97年『ウランバーナの森』で作家デビュー。2002年『邪魔』で第4回大藪春彦賞を、04年『空中ブランコ』で第131回直木賞を、07年『家日和』で第20回柴田錬三郎賞を受賞。その他の著書に『サウスバウンド』など。
レビュー
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凄い作品!
この作品をただ「非常に素晴らしい」などと表現したら、それは良さを言い表しているとは言えません。これは「凄い作品」です。 「奥田英朗の作品はどれも面白いけれど、5つ星をつける作品がない」と友人がよく言います。確かに彼の軽妙洒脱な彼の作品は、どれも面白く大変出来がよい。ただ、星5つ付けるような迫力が感じられない所があります。 けれども、その彼の作品群の中でもミステリー仕立ての作品群は、緊迫感と凄みがあります。「ナオミとカナコ」然り「沈黙の町」然り。敢えてミステリー「仕立て」と言ったのは、これらがただのミステリーではないからです。 では「オリンピックの身代金」はどんな作品でしょうか? ◇ この作品には昭和30年代の、開発が進む東京のエネルギーと、当時の学生気質と、東北の貧困とが同時に描かれています。東京と東北の格差に憧れと怒りを覚える青年の、ふつふつとした感情や怒りが伝わってきます。 「いったいオリンピックの開催が決まってから、東京でどれだけの人夫が死んだのか。《略》それは東京を近代都市として取り繕うための、地方が差し出した生贄(いけにえ)だ」 こんな言葉が、心に沁みます。 当時の時代のエネルギーを実体験したようで、底辺に生きる人たちと主人公との絆に涙が出てきます。この手の本でそんな感情や感覚が芽生えることは、そうそうありません。作者の筆力による所が大きいのではないでしょうか。 ◇ まだ他にも、この作品の魅力はあります。 ⑴ 刑事、学生と東北人、OL、自由気ままな青年、この4つの視点で書かれていて、同時並行で話が進みます。この手法は、多くの小説で見ることができますが、切り替え方と関わり方が絶妙です。 ⑵ 昭和39年8月22日(土)から始まり同年10月11日(日)で終わるまで、数日ずつ話が進行して行って、話の進行に実際あった出来事が織り込まれていきます。まるで時代を追体験しているかのように…。 ⑶ 上下2段の521ページ。読むのに約一月かかりましたが、それでも読まずにはいられないほど最初から最後までずっと惹きつけられました。 ⑷ 終盤の緊迫感と盛り上がり方。そして「この話をどう決着させるのだろうか?」と思わせておきながら、何とも心地よい終末。 ⑸ 「ディレクターの横で、丸顔に眼鏡の司会者が、『ズージャはノリだから。パイイチやってそれで本番だ』と言い、胸をそらし、ウッシッシと笑った」など、奥田英朗さん得意のユーモアが随所にちりばめられています。勿論これは大橋巨泉さんのことです。 ◇ 私は、平昌オリンピックと同時に読み進み、次の東京オリンピックに思いを馳せながら読みました。50歳以上の方は是非、オリンピックのニュースでも聞きながら読んでみてはいかがでしょうか。
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ドラマは若干内容が本とは違います
ドラマ化されたので読み返してみました。 ドラマは若干内容が本とは違います。 なので、ドラマしか見ていないと内容を誤解したままで終わります。 是非に本も読んでください。 上下二段組みの500ページは本当に読みごたえあります。 単項本で定価で買ってもこれだけ楽しければ、損はないと思います。 まさしく戦後日本の高度成長の幕開けが「東京オリンピック」 公務員の年収が46万円の時代にカラーテレビは20万円・・・ 石原裕次郎演じる若大将のようなお坊ちゃまが現実にいる傍らで 現場労働者は貧困にあえいでいる。 地方農村部は高等学校どころか、ろくに中学にも行かずに 兄弟の面倒を見て農作業を手伝って、 卒業したら男の子は集団就職、 女の子は同じ貧困にあえぐ農家に嫁に行き子供を産んで農作業。 ALWAYS3丁目の夕日が「あのころは良かった日本」とするなら これは「あのころはつらかった日本」かな? 昭和33年生まれの私の周りでカラーテレビでオリンピック見ていた人はいなかったな。 白黒テレビもあればそれだけですごいって。 冷蔵庫も洗濯機もなくて冬でも冷たい水でたらいで洗濯していた。 ALWAYS3丁目の夕日の世界が懐かしくてあのころの方がいいって人は、 よほど恵まれた環境にいたからなんじゃないかしら? それはさておき、高度成長期そしてバブルを乗り越えて到達した今の日本・・・ 2020年に再び東京オリンピックを控えて。 どこに向かっているのだろう、日本。 あと7年足らず・・・生ぬるく見守ります。よっと。 などといろいろ考えさせられる素晴らしい本です。 読んだかいがあります。 読んでない方はぜひこの機会にご一読くださいな。(はぁとw 追伸 主人公がポン中なのは、この物語にリアリティを出すにはどうしても必要かと。 でないと、彼がここまでやっちゃうのに無理がありすぎます。 そのせいで主人公の魅力が半減したにしても、そのぶん小説の魅力が増していると思う。 ま、受け止め方は人それぞれですけどねー
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主人公は
主人公は、私より一歳年上です。当時の世相、自分のこと等々を重ね合わせ、一般の作品よりも特に思い入れ激しく読んだ次第です。奥田氏は素晴らしい!!!
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あんまり・・・・・
面白くない。 大事件のわりに計画性がなく、動機も短絡的か。 ただ自分が生まれた当時の東京の風景描写は楽しめた。
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オリンピックの 生贄?
読み応えありすぎる! 新幹線 こだまに 乗って車中で読まなければ たぶん 挫折してたと思います。 半分まで読んだ時 国男の応援してる自分に気づきました。最後 あとは捕まるしかない、、、と 思うと 残念でたまりませんでした。あっけなく逮捕されたのには 拍子抜けしました。 数年後に また 東京五輪を控えている今、テロとか 情報操作とか 本当に 大丈夫なのか? 本当に この時期に 東京五輪やっていいのか? と 個人的に 勝手に心配することになりました。
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コロナの検査拒否(隠蔽)と合わせて考えさせられる
あの東京オリンピックと2020東京オリンピックの国家権力の振る舞いは同じなのかと、小説ながらも予言とも読める 犯人が分かっていても最後まで盛り上がる構成も含め、星5つ
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まるでノンフィクション
東南アジア初のオリンピック開催。 これを契機に『敗戦国』という不名誉なイメージを払拭し、世界進出を目指していた日本という国。 美しく近代的な首都・東京。そこに住むほんの一握りの裕福層と、それがどれだけ裕福であるか。 その首都を作り上げるために、実際に汗水流し体を使っている出稼ぎ労働者。それがどれだけ評価されていないか。 日本=東京だとでも言わんばかりに、置き去りにされ戦時中と変わらない悲惨な暮らしをしていながら、 東京を夢の国だと憧れている地方。それがどれだけ惨めなことであるか。 あまりにも緻密に、如実に描かれる「光」と「影」に、息が詰まるような思いで読み進めました。 オリンピック妨害を目論むテロリストと、それを食い止めるために奔走する刑事達。 それ自体は意外とお粗末なものです。これは犯罪小説ではないと思います。 貧富の差に対する正当な疑問を持った東大生に、心を惹かれたのは私だけではないでしょう。 爆弾を作り犯行声明のようなものを送りつけたりしながら、 どこまでも真面目で、知的で静かな東大生に、興味・魅力・共感を感じてしまいました。 奥田さんの人物描写にはいつも感心させられます。 そして、まさに自分がその場にいるかのような映像がありありと浮かんでくる舞台描写もお見事でした。 21世紀になり、世界でも大国といわれるようになった現在でも、飢餓は消滅していないのです。 作者はこの時代に焦点を合わせ、訴えかけているのではないでしょうか。 本当の意味での『平等』など無いと。それでも、人は希望を持って生きていけるということを。 重いテーマです。正しい答えはない。 しかし、疑問を持ち続けることが大切で、決して忘れてはならないことだと思いました。 この時代に生きていない私にとって、この作品は衝撃的でした。
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力作です!
昭和39年 東京オリンピック開催間近の東京 秋田の貧しい村出身でノンポリ東大院生・島崎国男は警察を狙った爆破事件を起こす 島崎国男の行動はアカと呼ばれる学生達の行動とは源を全く異にするもの 高度成長時代の始まり、日々姿を変えていく東京 その変貌を支えていたのは、地方からの出稼ぎ労働者達 出稼ぎ先で急死した兄の代わりに夏休み中飯場でアルバイトを始めた国男 今まで自分の知らなかった「底辺」の世界、そこで一生懸命働き、家族に仕送りをし、しかし決して裕福にはなれない人々との関わりを通して国男の中で価値観が変化していく 「おい、おめえ東大生なんだってな。そんな頭のいい野郎が、なんでまたお上に楯突こうと思った」 「それは、オリンピックが急造で見せかけの繁栄の上に行われようとしているからです。この国のプロレタリアートは完全に踏み台として扱われています。貧しい者は貧しいままです。これを許したら、国家はますます資本家を優遇するでしょう。誰かが反旗を翻さないと人民は今後ずっと権利を剥奪されたままなんです。」 テロリストvs警視庁・公安 テロが成功しなかったのは歴史上の事実、実際に同じような事件があったとしても公にはされず闇に葬り去られたはず 国男と仲間には何処かに逃げ延びて欲しい これほどテロリスト側に思い入れが強くなった作品は初めてのような気がします ナンセンス! ナンセンス! 終盤で東大生が繰り返し叫びますが、何の意味も無い言葉に思えます 国男の東大の同級生、須賀忠 警察官僚の父、外務省勤務の兄、華族出身の母 そんな中でテレビ局に就職し異端視されている彼も結局は富裕層の人間だった 読み終わってとてもやるせない気持ちが残りました
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