日本の文学賞

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書籍情報

出版社
講談社
発売日
1975-08-01
ページ数
207ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784061127838
ISBN-10
4061127837
価格
500 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

Amazon.co.jp: 祭りの場 : 林京子: 本

レビュー

  • 生き伸びた者の被爆

    「二人の墓標」に絞れば、このような主題が二本の撚り糸に造形され、一つの物語に撚り合わされている。 まず、貧富、家の勢力の上下、ライバル意識、優越感・劣等感などが隠微に、しかし、確実に絡んだ同じコミュニティ出身の二人の女学校生徒が被爆する。そして、劣る立場にある片方が、優位な背景を持つ他方が重傷を負い助けを求めるのを置き去りにし、生き残って、遠く離れた村まで逃げ帰る。しかし、自らも深く侵された症状が昂進する中で、罪悪感に苛まれながら、狂い死にする。この経緯自体、まだ幼いものの、生き伸びた者の被爆体験に現れる深い人間的な状況を提示していて、訴えかけの強い一面となっている。 しかし、取り残された大人たちは大方のことを察し、わだかまりが残る。狂い死んだ娘の母親は、助けずに置き去りにしたのではと当てこすられながらも、娘をかばう気持ちが消えない。「仲良し」の二人を合わせて弔おうとして、嫌味を言われる。これだけでも、十分に、直接的に被曝したわけではないが、生き伸びた、生き残った者の被爆体験を十分に描いていると言えよう。しかし、この撚り糸にはさらに展開が用意されている。 意地もあるだろうか、母親は被曝した二人がいたのかと思われる山の、原子爆弾の閃光からは守られたはずの(つまり、「無傷の」)反対側の斜面の窪地に墓標を二本立てる。タイトルのとおり、ともに非道な運命で死んだ幼い蕾のような命を、わだかまりを超え、あるいは無視して弔っているともとれ、この母親を描くものととれなくはない。しかし、この二本の墓標こそは、遠く離れた故郷にいて、被爆を免れた大人たちの心に刺さり、抜かれることのないガラスのトゲそのものの隠喩なのだ。 このように、「二人の墓標」は、直接被爆していない者をさえ長い間苦しめるものとして原爆を描いている。 「曇り日の行進」も同じように、生き延びた者の被爆を描くものと読むことができる。

  • 戦後30年の視点

    現在では戦争経験者も少なくなり、戦争の記憶が薄れ行く日本ですが、これには戦後30年の視点がそのまま封じ込められている。 【祭りの場】は、はだしのゲンのような生生しい原爆の惨状をうかがい知る事が出来た。祭りの場の最後の一行にアメリカ側が取材編集した原爆記録映画の締めくくりの一言に「かくて破壊はおわりました」とある。私はその淡白で身勝手なアメリカ側の見解にイラっとした。 祭りの場以外にも【二人の墓標】【曇り日の行進】が所収されている。こちらは原爆のその後がリアルで、私としてはこの二つの方が評価が高いです。 なお表題作は 【第18回(1975年)群像新人文学賞】 【第73回(1975年上半期)芥川龍之介賞】受賞作

  • もっと知られるべき

    戦後30年の年に芥川賞を受賞した作品だが、あまり知られていないのだろうか。 原爆と原爆病の凄惨さを描いている。熱線や爆風以外にも放射能の影響で多数の人が苦しみながら亡くなった。医療補助を受けるためのヒバクシャであることを証明する困難さなど、現代でも変わらぬ行政の理不尽さが書かれていて、私は東京電力が原発被害者に送りつけた160ページの書類などを連想した。

  • 確かに戦争がテーマです

    しかし戦争はある題材でしかなく、扱うテーマはより普遍的なテーマです。ただむごたらしい話をして戦争って怖いだろひどいだろっていう話ではありません。 戦後数十年たった長崎の女学校の同窓会で、 亡くなった人、家族をすべて失った人、家族も生きている人、原爆のあとに長崎にきたひと。 それぞれが必死に生きてきた。でも、たとえば、原爆のあとに長崎に来た人には、同窓会で繰り広げられる被爆者たちの8月9日の話題に入っていけない。思い出を汚すようだから。でも、被ばくはしなかったにせよ、それぞれいろいろなことはあった。。。しかし、なにより被爆したという重い重い事実の前では、まるで楽をして生きていたように思われてしまうのではないか、、と。 生きる自分、思われる自分、思う自分。

  • うん

    戦争をテーマにした作品。戦争の悲惨さ、むごたらしさ、悲しみを色濃く書き出している、みたいです。

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