作品情報
アパートのマスターキーが、閉ざされた過去を開いていく。
第8回江戸川乱歩賞受賞作。講談社文庫版は1978年刊で、孤独な老嬢たちが暮らすアパートを舞台に、過去と現在が絡み合う。英訳版も刊行されており、戸川昌子の代表作として読み継がれている。
書籍情報
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 1978-08-01
- ページ数
- 195ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784061361096
- ISBN-10
- 4061361090
- カテゴリ
- 本/文学・評論
第8回(1962年) 江戸川乱歩賞受賞
レビュー
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おもしろい!
Kindleで購入し読了。 作中の時代ならではの描写もありますが。。。。めっちゃおもしろかった。びっくりするくらい。 映画の嫌われ松子、小説の絡新婦の理、などが脳裡に浮かびました。もちろんこの作品が先行。 どこを読んでそう思ったかは読めばわかるかと。
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ネタバレレビュー
トランクに閉じ込められた赤子は、 なんでコンクリート漬けにしてまで 隠す必要があった? というのが腑に落ちなかったが、 アパート住人の老嬢たちの描かれ方は面白かった。 アパート住人の事情に詳しくて マスターキーを自由にできるのは このひとしかいない、と早い段階で察知するけど、 本書はミステリーというより ショートオムニバスドラマとして楽しめる。 覗き見の後ろ暗さとスリル、 アパートの一室のほか出口のない時間を生きる老嬢たちの様とか、 こんな着眼点そうそうないと思う。
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推理史に名を刻む最高傑作
これ程の優れた推理小説が他に有るだろうか。私は知れません。星6つでも足りません。内容はあえて書きません、じっくりと時間をかけて読んでみてください,静かな感動が沸きあがってくることでしょう。贅肉をそぎ落とした緻密な文体、遊び心に感嘆します。これこそが本物の推理小説ー大いなる幻影。
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マスター・キーを巡るサスペンス
老いた独身女性ばかりが住むK女子アパートが舞台。全ての部屋を自由に開けることのできるマスター・キーを巡って最初はちょっとした悪戯から始まって次第に深刻な事件が引き起こされていく。 前半はあまり緊張感が感じられず読み進めるには忍耐を要したが後半はサスペンスが盛り上がる。 作中の人物のつぶやきに「人は皆、幻影を背負って生きているのだ」(p151)というものがあるが、まさにその事を実感させられる。読了後は幻影のはかなさのためか無力感に襲われた。 なお、終盤で語られる「大いなる幻影」という言葉(p186)は最後のどんでん返しを意味し読者にとっては痛快な結末になっている。 全体的に現実感よりもパズル的要素が強く、ここまでやるかという感もある。
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読者も”大いなる幻影”に惑わされ
第8回江戸川乱歩賞受賞作品 独身老女だけが住まうアパートの住人 木村よね子は、執念のように元教え子達に手紙を書き送る日々。ある日、息子を誘拐された過去をもつ河内恵子から返信が届く。誘拐に関与したと思われる上田ちがが、よね子と同じアパートで今も暮らしているという。よね子は、恵子に ちかの動向を探ることを約束し、アパートのマスターキーを盗みだす。 夫の遺稿をひたすら清書しつづける老女、愛人のバイオリンの名器を盗んだ過去に苛まれる老女、ゴミに囲まれ拾ったさなかの骨を日々食す老女。 絶望のうちに妄執にとりつかれた人々の描き方がすばらしい。7年前に起こった誘拐事件の犯人探しが、このドロドロの人間関係の中でのストーリーの本筋かと思いきや、さにあらず。予見がズバスバあたる信仰宗教の教祖さまがあらわれたりして。これも謎のひとつ。 かなり強引というか、都合良すぎなところも感じてしまうけれど、どんでん返しは成功していると思う。登場人物と一緒に、読者も”大いなる幻影”に惑わされるというところか。 発表されてからほぼ半世紀。時制が前後したり、話の流れと一見無関係と思われる唐突な挿話があったりと、読みにくいところはあるんだが、それを差し引いても傑作と思う。
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奇妙な持ち味の作品
第八回江戸川乱歩賞受賞作。 さすがに今となっては古い。文章も硬く読みにくい部分がある。 プロットは最後でどんでん返しがあるなど良く練られていると思うが、 いかんせん暗い。 物語の主人公たちが古びた女子アパートに住む老女ということもあるが、 「猫は知っていた/仁木悦子」のような明るさというか、爽やかさはない。 それがこの作品の持ち味なのかも知れないが。
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意外な程、堅実な作品
シャンソン歌手、クラブのママ等多彩な顔を持つ作者のミステリ処女作にして代表作。老嬢ばかり住むアパートを舞台に、ある事件を背景に様々な人生模様を描いた作品。 冒頭で交通事故死した男が描かれ、その恋人が女性専用の「K女子アパート」に住んでいる事が示唆される。同様に男女二人による幼児誘拐殺人事件が描かれ、女性の方は「K女子アパート」に住んでいる事が示唆される。時が経ち、アパートの住人は歳を取り、アパートそのものも建物毎移動する事になる。その直前の描写から始まり、アパートの住人の過去が徐々に暴かれ、やがて冒頭の事件に繋がると言う物語。思っていたより正攻法の展開なので正直驚いた。だが、如何せん住人の過去が平凡過ぎる。老嬢ばかりの登場人物と言う事で、もっとドロドロした怨念のようなものや、女流作家ならではの老嬢の頑迷さや妄信ぶりの描写を期待していたのだが、むしろ堅実な内容である。新興宗教の教祖を登場させ、交霊会まで開いているのに、オカルティックな雰囲気もない。最後に仕掛けらしきものもあるのだが、途中であれだけ「マスター・キー」の事を執拗に描けば、大抵の人は気付くだろう。「大いなる幻影」と呼ぶには平明な出来。老嬢ばかりと言う趣向を活かすなら、もっと妄想・幻想・怨念に満ちた作品にすべきだったと思う。 都電など昭和30年代の懐かしい描写も出てくるので、アパートの住人と共に過去の「幻影」を夢見るにはちょうど良い作品か。
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映像化してほしい(現代版とかじゃなくて)
40年近く前の本ですが状態もよく期待以上でした。まだ完読していませんが、内容も古さを感じさせないスリリングさです。 早く残りを読んでみたいです。読み出すと一気に進みます。
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