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危険な関係 (講談社文庫 し 8-1)

江戸川乱歩賞

危険な関係 (講談社文庫 し 8-1)

新章文子

大学生・世良高行の身のまわりで、毒薬、出生の秘密、父の死と遺言状が重なり、不可解な出来事が連続する。偽装自殺を含む犯人捜しへ進むなかで、青春の危うさと殺人者の心理が細やかに描かれる。

青春ミステリ毒薬家族の秘密偽装自殺心理描写

作品情報

毒薬の袋の向こうで、若い男の日常が静かに崩れていく。

第5回江戸川乱歩賞受賞作。講談社文庫として1978年に刊行された版では、大学生の周囲で起こる不穏な出来事を通して、青春の脆さと犯人の心理が丁寧に描かれる。受賞作全集でも紹介される初期乱歩賞の代表的な一作。

書籍情報

出版社
講談社
発売日
1978-09-01
ページ数
301ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784061361164
ISBN-10
4061361163
価格
163 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

Amazon.co.jp: 危険な関係 (講談社文庫 し 8-1) : 新章 文子: 本

レビュー

  • 若者たちの驕りを余すところなく描き出す

    1959年に江戸川乱歩賞を受賞し、直木賞の候補にも挙がったという話題作。 古い作品なのでなかなか入手困難なのだが、amazonでこれほどの高値が付いているとは! 僕は近所の本屋の古本フェアで文庫版を購入した(amazonで買ったわけではないのです、すみません)。 それでも、それなりの値段だったけれど。 なかなか読ませる。 青春群像ミステリとでも呼びたい、文学性あふれる内容だ。 傲慢な若者たちの思惑が絡み合い、そこにドラマが生まれる。 物語の半分くらいまで事件らしい事件が起きないのに飽きさせずに読ませるのは、人間関係が面白いから。 逆にミステリらしくなると急に“小説”としての元気が失速してしまうような気がしなくもないが、 意外な犯人(よく伏線が張ってあって、決してアンフェアになっていない)とその動機を知って、 やはりこの小説にしてこの殺人だな、と唸った。 読みたいけど高い…と思われる向きは(そして初版本にこだわらないという方は)、 98年に出版された「江戸川乱歩賞全集(3)危険な関係 枯草の根」という2本立ての文庫本もある。 そちらはまだ1,250円という定価で手に入るようだ。

  • 描く力は有るが、少し現実性に。。。。。

    描く力は素晴しいものを持った方の作品ですが、少し現実性には欠ける気がします。陳腐さはありませんが、推理性は少ないと思いました。これだけ書ける方ですから、少し捻ればもつと優れた作品になったことでしょう。この時代の方は、筆力が有ったんですね、このてんは感心致しました。

  • 現代女性たちの迫真の心理描写が圧巻

    第5回乱歩賞(1959年)受賞作品で中島河太郎氏の解説によると三委員の満場一致で即座に決まったとのこと。それほど評価の高かった本書であるが、個人的な感想としては推理小説としてよりも人物描写、特に現代女性たちの人物造形に迫真のものがありその偽悪的な描写が画期的だったのではないだろうかと思う。 京都での立身出世に野心を抱くクールな青年、倉田勇吉。勇吉を慕う出戻りの志津子。大企業の社長の御曹司で自殺未遂の経験のある世良高行。高行の妹の美少女、めぐみ。めぐみの母、おふじ。世良家の運転手、下路。気位の高いバーのマダム、緋絽子。緋絽子の元愛人、木崎。高行の従兄弟でナイトクラブのバンドマスタ、野見山洋一郎。これらの人物が出会い、次第に感情的対立から衝突、ついには犯罪へと危険な関係を発展させていく。 高行の一年前の自殺未遂というのは実は実家から毎月送られてくるヴィタミン剤による毒殺未遂であった。それを高行はあえて自殺未遂と虚をついたのであった。では誰が高行を毒殺しようとしたのか?高行は家族への疑惑を深めていく。高行を中心にした愛憎劇の中でついに殺人事件が発生してしまう。 前半は心理劇、後半は推理劇、解決もほぼ納得のいくものであるが、全体的にやや作為的でここまでやるかという感はある。 女性陣は生き生きと個性が際立っているが男性陣は類型的でありあまり魅力が無い。ただ、京都弁のセリフがアクセントになっておりその柔らかな奥に潜む強さがその人の個性をうまく表現している。逆に京都人が嫌いという理由で京都弁を使わないという個性も納得のいくところである。 終盤に世良家の見取り図が出て来るが(p255)これには重要な手掛かりが含まれており、もっと前か巻頭に提示してくれた方がわかりやすかったと思う。

  • 推理版『太陽の季節』か?

    新章文子が死んだらしいので読んでみたがいやはや読みにくい。京都が舞台で、ナイトクラブだのバーだの「お兄ちゃん」だの血のつながりだの莫大な財産だのと耽美小説みたいな通俗的な道具立てが多く、主人公とも言うべき男は21歳で東京の大学生らしいのだがどういう大学で何をやっているのかまるで分からない。著者は宝塚歌劇出身だが、芸能人が書く小説にはこういうのが多い。ひたすら誰にも感情移入もできず興味もわかない小説である。なお講談社文庫版で読んだのだが、中島河太郎の解説が、乱歩の「ユーモアがある」というのも、平野謙の「日本版ハードボイルド」というのも納得できないと書いているのが、この小説のヌエ的なところを示していておかしい。

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