作品情報
海に沈む機雷と、死に場所を求める青年士官の運命が、敗戦前後の静かな戦場で交差する。
『機雷』は、太平洋戦争末期から敗戦後の海を、機雷敷設と掃海という地味で危険な任務から描いた直木賞受賞作である。梶井中尉は連合艦隊で戦うことを夢見ながらも、後方へ後方へと配属され、海中で敵を待ち続ける機雷に自分自身の境遇を重ねていく。やがて戦争が終わっても、海に残された機雷を取り除く仕事は終わらない。派手な戦闘ではなく、見えない脅威と向き合う人間の執念を通して、戦争と生の意味を問いかける長編である。
レビュー要約
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機雷という目立たない兵器から敗戦期の海を描く視点や、史実を踏まえた緻密さを評価する声がある。一方で、硬い文体や技術的な説明の多さを読みづらいと感じる読者もおり、題材への関心が読書体験を大きく左右する作品として受け止められている。
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主人公が機雷にのめり込み、やがて掃海に携わる過程から、戦中と戦後が切れ目なく続いていく感覚を読み取る感想が見られる。戦記としての知識だけでなく、任務に縛られる人間の執念を追う作品として読まれている。
書籍情報
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 1984-07-01
- ページ数
- 428ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784061832909
- ISBN-10
- 4061832905
- 価格
- 725 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
第86回(昭和56年度下半期) 直木賞受賞
レビュー
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満足いく直木賞受賞作
大東亜戦争の末期、「機雷」にスポットを当て、日本の敗戦の側面をあぶり出した作品。 主人公は、海軍兵学校を出たものの病のため、前線での戦いに乗り遅れたいち中尉(後に大尉)。死に場所を求めるものの、与えられた任務は機雷の敷設である。攻撃により敵に打撃を与える魚雷や戦闘機と異なり、機雷は戦艦が接触するまでひたすら海中に漂うという消極的な武器。主人公は、機雷のあり様に自身の不遇を重ね合わせ、徐々に機雷に魅入られていく。 本作品は、堅苦しい文体の上に、時折引用される歴史書のような数値の羅列や文語体に、なかなか読書が捗らない。ただ、これで諦めてしまうのは実に惜しい作品である。 機雷とは一体どういく武器だったのか。 日本軍は、これをどのような戦略で用いようとしていたのか。 派手な戦闘で語られることの多い戦記ものには著わされない(自分にとっては)知らぜらる一面であり、機雷の機構を含めて興味を惹かれた。 並行して描かれるのは、資源が枯渇している上に、米軍の機雷投下攻撃で、詰められていく日本列島の姿。 にっちもさっちも行かない状況下で、主人公は、機雷の掃海作業の役割へと転任させられてしまう。益々、遠ざかる死に場所。 しかし、いくつかの死と向き合ううちに、主人公は、生きることに意味を見出し始めるのだった・・・。 戦後も米軍の指揮下に組み入れられ、機雷の掃海作業に専念する主人公。世の中が変化していく中、機雷のスペシャリストとして緻密な作業を組み立て、実行する。ここもまた戦後の知られざる一面だ。 数ある直木賞受賞作の中ではアタリだろう。満足である。 【直木賞】
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こんな作品・作家が、、
弊方年齢63歳、未だ企業人現役、30年来専ら海外の仕事に従事して来た。同世代に多いと思うが、亡父は大学の卒業を前倒しされ、そのまま海軍の航空隊に志願して、桜花(BAKA)特攻の訓練のまま終戦を迎えたポツダム中尉。母は原爆投下の2日後に、広島に嫁いで一次被爆した姉のために広島市内に赴いた2次被爆者。どうしても若き父母の人生を、のみならず今の我々や我が国の有り様を決めている太平洋戦争、日本の敗戦に?をいだき続けざるを得ない。たまさか最近手にした新刊書で、戦後も継続した機雷掃海の事実を知り、そこで紹介されていた本作を図書館で借りてみた。読み始めて驚いた。素晴らしいフィクションに仕立てて有るが、確実に途方もない取材の下に作品が成り立っており、主人公は取材対象の誰に仮託した訳でも無いと言われるまでも無く、著者の思いを凝縮した架空の存在に成り得ている。旧帝国海軍から海上自衛隊の今に続く血脈を鎮魂に込めつつ、先の私自身の問いかけを痛切に再起して呉れる。驚いたのは、作家としての本質が、あまりに私の好きな吉村昭に通ずるように感じたこと。人間の業をここまで書き込める作家は昨今いない。
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自分にとっては文体が難しすぎる
こちらに興味があって注文したものの、 文体が硬すぎること、技術情報が詳細すぎることで 興味が長続きせず、途中で読むのをやめてしまいました。
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渋い一冊
大西洋戦争の戦史には疎く、日本商船団の崩壊だけに興味がある私にとっては この本はアタリですね。 何気に史実も織り交ぜてくれていますので、変な戦史資料を読むよりは実に分かり易い。 興味はあるが「 海上護衛戦 (文庫版航空戦史シリーズ (24)) 」を読むのは骨が折れるなぁ... という方にはピッタリかと。 (ドイツの機雷に関する資料は意外と少なく、私はオットー・クレッチマーの資料しか 読んだ事がありません ) タイトルから中身を類推するのは難しいですが、この2文字が意味する事の奥深さは 凄まじいです。 「 機雷掃海戦―第一五四号海防艦長奮戦記 (光人社NF文庫) 」を思い出します。 敷設する側と、掃海する側の両視点を取り入れるのは快感に近い喜びですね。 B29の敷設する機雷の量や位置等(史実だと云ってます)、具体的な機雷の能力に関する 記述などはとても参考になります。 海防艦、機雷敷設艦、哨戒艇(掃海艇)、試行船(磁気機雷掃海艇)。 昭和十七年から終戦まで、決して表舞台ではない男たちの戦い。
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機雷と人間
機雷とは、誠に知られずに朽ち果てる兵域である。主人公は最初は、海防艦の乗組員であったが、後に機雷敷設艦へ転属そして掃海艇へと移る。終戦間近の日本近海で繰広げられた、機雷との果てしない戦い。その中で、人間模様を詳しく書かれた作品。戦争の中で人はどうおもっていたかを克明に綴った、フィクションであるが史実に元づいた作品。この本は、中々、話しませんよ貴方を。