日本の文学賞

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むらぎも (講談社文芸文庫 なB 1)

毎日出版文化賞

むらぎも (講談社文芸文庫 なB 1)

中野重治

『むらぎも』は、中野重治の自伝的長篇小説で、『梨の花』『歌のわかれ』に続く作品として、旧制高校から東京帝大へ進む片口安吉の精神の歩みを描く。新人会での活動、合同印刷ストライキ、プロレタリア運動の予感を背景に、時代に流されながらも自分の思想と生を探る青年の内面を追った作品である。

自伝的長篇学生運動プロレタリア運動青年の精神形成昭和文学

作品情報

学生運動と労働運動の予感のなかで、青年の心の襞が時代の光と影を受け止める。

『むらぎも』は、1954年に大日本雄辨會講談社から刊行された中野重治の長篇小説で、毎日出版文化賞を受賞した。講談社文芸文庫版では、金沢の旧制高校から東京帝大に進んだ片口安吉の新人会での活動を中心に、天皇の死、合同印刷ストライキ、プロレタリア運動の高まりが描かれる。個人の感性と政治的現実がぶつかる場面を通じて、流される心、抵抗する心、時代を見つめる心の複雑な揺れを描いた中野文学の代表的自伝小説である。

書籍情報

出版社
講談社
発売日
1989-05-01
ページ数
446ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784061960459
ISBN-10
4061960458
価格
2112 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

金沢の旧制高校から東京帝大に入学した片口安吉の〈新人会〉での活動を核に、豊潤な感性で描く精神の軌跡。時代の終焉を告げる天皇の死。合同印刷ストライキ。激動の予感を孕みながら展かれてゆくプロレタリア運動。流されるままに流れる〈心〉の襞の光と影。『梨の花』『歌のわかれ』に続く自伝的長篇小説。毎日出版文化賞受賞。

レビュー

  • コミュニストの青春

    ストーリーの面白さは、はっきり言って期待しない方がいいです。「歌のわかれ」にも出てきた登場人物が、大学でコミュニズムの運動をする様子が書かれているけど、「どうってことないじゃないか」と言いたくなることが多いです。強烈なインパクトも、意表をつく展開もありません。でも、にもかかわらず、叙述のふしぶしに何か微笑にもにた輝きがあるように思えます。なぜだろう。 それは、作者の生き方と関わっているのかもしれません。一旦はコミュニストになったけど、国家の圧力で転向するしかなかった。そして仲間には理想に殉ずるものもいる中、せこい戦いをするしかなかった。ぶつぶつと現状に対するひそやかな異議申しだてをするしかなかった。そして戦後になったらなったで、「五勺の酒」にも書いたように、まだまだ社会には異議を言うしかない。 そういう艱難辛苦、不条理、せせこましさを自分で抱えつつ、なお色あせない若かりし頃、青春。そういうものを、中野さんは信じたかったのではないか。だから不思議な輝きのある文が書けたのではないか。そう思います。 ちなみに、本作を読んで太宰の「津軽」も少し思い出しました。

  • とてもキレイでした。

    中古本にありがちなシミやヤケもなく、いい本でした。またお願いしたいです。

  • 今の学生のなかでも、いったいどんな学生が?

    本書を今の学生に読んでほしい、と言うのは歴史学者の 山内昌之氏(「わが人生最高の10冊」『 週刊現代 2012年 2月11日号 』講談社)。 時代は大正から昭和へと移りつつあるころ。たしかに大 学生が主人公だから今の学生も読みやすそう、と思いき や、仲間うちで政治と文学の問題を取り沙汰する諸場面 にあっては、いくら同じ学生と称す者であっても、隔世 の感強く物語に入り込めない。 その物語についても、山あり谷ありの起伏に富んでいる わけでもなく、今の学生が読めば多くは「ナニコレ ?」 となろう。 著者の中野にとくべつ興味のないわたしのような者が本 書に飛びついた結果、魅力的だったのは、主人公にとっ ての異性、女性へのまなざし。 20歳半ばになろうとい う男がこういうようなことを心の中で思うものかと。 政治にも文学にも運動にもかつての勢いが失われた今の 男子大学生からいえば、うぶだなぁ、ということなのだろ う。 巻末に付されているの次の3つ。小田切秀雄「著者に代わ って読者へ」、川西政明「解説」、「作家案内」。

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