日本の文学賞

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寵児 (講談社文芸文庫 つA 5)

女流文学賞

寵児 (講談社文芸文庫 つA 5)

津島佑子

『寵児』は、離婚して娘と暮らす女性の孤独と身体感覚を、想像妊娠という出来事を通して描く長編です。母であること、女であること、自立することの痛みが鋭く刻まれます。

女性母性孤独自立

作品情報

女の身体と孤独をめぐる問いが、日常の奥で激しく揺れます。

『寵児』は、離婚して娘と暮らす女性の孤独と身体感覚を、想像妊娠という出来事を通して描く長編です。母であること、女であること、自立することの痛みが鋭く刻まれます。 受賞歴からも、同時代の読者に新しい声や視点を示した作品として読めます。

レビュー要約

  • 女性の自立と身体をめぐる切実な描写が高く評価されている。重い題材ながら、日常の細部が人物の危うさを鮮明にする。

書籍情報

出版社
講談社
発売日
2000-02-10
ページ数
288ページ
言語
日本語
サイズ
10.8 x 1 x 14.8 cm
ISBN-13
9784061976986
ISBN-10
4061976982
価格
2000 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

ピアノ教室の講師をする女は、離婚して娘と暮している。娘は受験を口実に伯母の家に下宿して母親から離れようとしている。体調の変化から、ある日女は妊娠を確信する。戸惑う女が男たちとの過去を振返り自立を決意した時、妊娠は想像だと診断され、深い衝撃を受ける。自立する女の孤独な日常と危うい精神の深淵を〈想像妊娠〉を背景に鮮やかに描く傑作長篇小説。女流文学賞受賞作品。

レビュー

  • 美しい水の世界

    たしか「作家の値打ち」だったと思うけど、福田和也も絶賛していた作品。確かにここ何十年かの女性文学の金字塔だと個人的にも思う。 不安定な母子家庭の日常に「水」のイメージが浸り込んでゆく。その詩情の高さに読者は溜息をつかずにはいられないはずだ。「水」のイメージも母子家庭という題材も、津島佑子が作家としてずっとこだわってきたことなんだけど、それがもっとも高いところに昇華されている、そういう小説ではないか。この人の作品、もっとがんがん文庫化して欲しい。

  • 深遠の震え

    この作品が発表された当時、作者の出自(津島修治=太宰治の娘)や 離婚女性の恋愛・妊娠、母子家庭といった点は 今よりもはるかセンセーショナルだったはずだが、 時が経ちそれら風景が当たり前になってしまった昨今、 丹念に描かれた主人公の内面がよりピュアに読み取れるだろう。 オーソドックスかつ端正な文章だが 主人公の内声の時間軸が重層的に混乱し、 それが心の深遠の震えをうまく描写している。

  • 傑作

    明晰な言葉が容赦なく主人公・高子を切り開く。男を求めてやまないあさましさ、娘に甘えてしまうおろかさ、お湯も変えないで風呂に入り続けるだらしなさ、孕んだ子供は誰に反対されても産むというかたくなさ―自分の、いかんともしがたい習性に縛られ、高子は身動きが取れない。はりつめた緊迫感に吸い寄せられてあっという間に読み終えてしまった。間違いなく傑作。目を閉じると、ラストシーンの開放感が胸によみがえる。

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