日本の文学賞

← 受賞作品一覧に戻る
ナイト・ダンサー: 第37回江戸川乱歩賞受賞作

江戸川乱歩賞

ナイト・ダンサー: 第37回江戸川乱歩賞受賞作

鳴海章

書籍情報

出版社
講談社
発売日
1991-09-10
ページ数
293ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784062055789
ISBN-10
4062055783
価格
88 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

第37回(1991年) 江戸川乱歩賞受賞

レビュー

  • 鳴海作品らしい意表をつく展開

    鳴海作品としては初期作のようだが、当時にこれだけの技術データと想像力を構築した上で、同時進行しているそれぞれの場面場面を緊迫させて展開させる技法はすばらしい。鳴海作品らしく、登場人物たちの最後はあっけないが、以降登場するかもしれない重要になりそうな人物は死なないというところは、既にこの作品から確立していたようだ。

  • 航空アクションが好きならば

    日米の戦闘機が激闘する航空アクション満載の冒険小説。 日本国内で偶然生み出された金属を腐食させる細菌。米国は生物兵器としての価値を見出し、秘密裏に入手しようと民間の旅客機に持ち込む。ところが、航行中にこの細菌が漏れ出し、旅客機は壊滅的なダメージを負ってしまう。 状況を察知した米国の女性大統領は。旅客機の撃墜の指示を決断する。北海道へ引き返す旅客機を執拗に追いかける米国戦闘機。迎え撃つは自衛隊の精鋭部隊、というお話し。 エンジンが破損し燃料だだ漏れ、悪天候で千歳への着陸が不能、しかも機長は疾病のため突然目が見えなくなるという、最悪の状況である。多くの民間人を乗せた旅客機を救うため、ドッグファイトを繰り広げる自衛隊という設定は無理があるものの、力強い描写でハラハラドキドキである。メカニカルな面での細部への拘りも、緊張感を醸し出す。 旅客機を誘導する自衛官と、機長に変わって操縦する副パイロットが兄弟であり、たまたま乗客に兄の昔の恋人が搭乗している、のだがあまりストーリーの盛り上がりに貢献していない。コクピットの様子は克明だが、乗客たちの描写が薄いため、パニック状況は伝わり難い。そもそも、米国大統領が執拗に攻撃を仕掛ける動機に疑問が付くのだ。 米国が攻めあぐねる中、コードネーム ナイト・ダンサーへの攻撃指令が下る。ナイト・ダンサーとは!と続くのだが、サプライズが今ひとつ。江戸川乱歩賞応募作品でページ数の制約があったかからだろうか。登場人物たちの人間関係や、日米の謀略合戦など、簡略化してしまったようで残念。 航空アクションが好きならば、読んで損はない。

  • よく分からないけれど面白い。

    航空機をはじめとしてメカ全般に弱い者には、この作品に描かれる世界がどの程度現実性のあるものなのか分かりません。例えば、滑走路に降り立ったもののエンジンの不調によって止まることができない旅客機をスピンターンさせ、さらに逆噴射から通常の噴射に切り替えて止めるシーンがあります。これをぶっつけ本番で成功させるのは操縦士にとってどれほどの技術を要するのか、そもそも可能なことなのか、私には分かりません。ただし、それでも最後まで飽きずに読み終えることができたのは、作者が読者を魅了する技量に長けていたということでしょう。

  • ナイト・ダンサー

    大変面白かった。作品紹介は次のとおり。M航ジャンボ機の貨物室から、アルミ合金をとかす特殊細菌があふれだし飛行困難に。その菌をめぐる国際陰謀の渦のなか、米海軍戦闘機はM航空機撃墜にむかい、航空自衛隊機が緊急発進。謎のジェット機ナイト・ダンサーをまじえ、息づまる空中戦が展開される。第三十七回江戸川乱歩賞受賞の航空サスペンス。 一般文学通算841作品目の読書完。2012/10/08

  • 緊迫の航空アクション小説

    読み始めてすぐ疑問に思いました。 アルミ合金を溶かす特殊細菌、それを普通試験管のまま 飛行機の預け入れ荷物に入れるのか? 常識を疑います。 この作者、飛行機に詳しそうですが、実は国際線の 旅客機に乗った事無いんじゃないでしょうか。 だいたい、偶然の要素が多すぎます。 飛行機の貨物室のドアが完全に閉じられていたら、 細菌がもれて引き返す事も無かったはず。 そうしたら、ナイト・ダンサーはどうするつもりだったんでしょうか? 副操縦士の兄が北海道の自衛隊にいるのも偶然だし、 その恋人が問題の飛行機に乗ってるのも偶然。 都合良く9キロもの長さの滑走路があるものなのか? たとえあったとしても、放置された滑走路に着陸できるのか? それに、この作品が書かれた1991年に自衛隊にアパッチは 配備されてなかったはず。 ストーリーも後半ぐちゃぐちゃに入り乱れて判りにくい。 この小説、一体誰が主人公なんでしょうか? とはいえ、この作品が妙な魅力を持っている事も事実です。 戦闘機同士のドッグファイトや、故障した旅客機を必死で操縦する コックピットクルーなど、緊迫感あふれ思わず引き込まれます。

関連する文学賞