作品情報
武田泰淳の文学と思想の深層をたどる本格評伝。
大岡昇平が「怪物的偉大さ」と評した作家の文業を検証し、仏教、中国文学、戦後日本の思想状況の中で位置づける。長大な評伝として人物と作品を一体に扱う。
レビュー要約
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作品と生涯を広く結びつける構成により、武田泰淳の読みに厚みを与える一冊として評価される。文学史に関心のある読者向けの密度がある。
書籍情報
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 2005-12-01
- ページ数
- 518ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784062132381
- ISBN-10
- 4062132389
- 価格
- 1950 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
大岡昇平をして「怪物的偉大さ」と言わしめた武田泰淳の文業を精緻に検証し、その複雑にして深遠なる文学・思想を解き明かした傑作評伝 「戦後文学」追究の到達点 今回、泰淳の主要な作品すべてにわたって、徹底的な検証をおこなった。――泰淳がなぜ僧侶になり、文学を選び、『司馬遷』『審判』『蝮のすえ』『「愛」のかたち』『風媒花』『ひかりごけ』『森と湖のまつり』『貴族の階段』『快楽(けらく)』『秋風秋雨人を愁殺す―秋瑾女士伝』『わが子キリスト』『富士』を書いたかを問うて、僕は泰淳の「父の家系」と「母の家系」にまでさかのぼった。そこまでさかのぼって、はじめて全体的に見えてくるものがあった。約3年の間、そうして凝視してきた。――<「あとがき」より> 第17回伊藤整文学賞 評論部門受賞
レビュー
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理屈抜きの大作
久々に一作家の伝記大作です。読めば如何に著者が労を費やしたかが解ります。武田泰淳の作品を読んだことが余りない方でも、この本は充分惹き付ける何かがあります。
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上海の蛍は今?
著者は、家系については、父母の家系のみならず、夫人の家系までも綿密な、見方を変えれば饒舌なまでの資料引用をしてまで、深く掘り下げている。戦場体験についても、衝撃的な事実確認が行われているのに、それに比して、上海時代についての考察がやや手薄なのが非常に惜しまれる。個人的には、堀田善衛との「四角関係」をめぐる記述を興味深く読んだ。いずれの当事者も、全て故人となったゆえ、著者は歴史事実として公開されたものであろう。また、堀田が何ゆえ敗戦後の上海に国民党留用者として残留したのか、その理由も解き明かしている。 著者は、この堀田との交友、交流関係をもって上海時代を代表させようとしたのかもしれない。
関連する文学賞
- 伊藤整文学賞 第17回(2006年) ・受賞