作品情報
遭難、は、本谷有希子が戯曲として形にした受賞作です。
学校を舞台に、追い詰められていく人間関係と、集団の中で生まれる攻撃性を鋭く描いた戯曲です。会話のずれと緊張が積み重なり、日常の場が不穏な状況へ変わっていきます。 受賞作として、作者の関心と表現の特徴が読み取れる一作です。
レビュー要約
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読者や選考上の反応は、題材への切り込み方と文章の手触りに注目している。作品の形式に応じて受け止め方は分かれるが、受賞歴が示す通り強い印象を残した。
書籍情報
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 2007-05-16
- ページ数
- 164ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 13.5 x 1.4 x 19.5 cm
- ISBN-13
- 9784062140744
- ISBN-10
- 4062140748
- 価格
- 1430 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
「トラウマ」のせい? 単なる「嘘つき」? 鶴屋南北戯曲賞、最年少受賞! 放課後の職員室。乗り込んできたのは自殺未遂の生徒の母親。「諸悪の根源」は誰なのか? 本谷有希子の話題の戯曲を完全収録。
レビュー
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大好きだ。
この戯曲は、舞台は未見ですが、 本だけ読んでも圧倒的な力を感じます。 完成度が高く、頭の中で想像の舞台を観覧できるかんじです。 学校とかいじめの題材は、 忌まわしいキャラの 深淵を語るための道具にしか過ぎないので気にしません。 「がつん」と来る。それだけで充分です!
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戯曲ですが読めます。
いま一番のっている若手女性作家、だと僕が勝手に思っている本谷有希子さんの最新作。(2007年5月現在) 人間の醜さとかそこから染み出すおかしさがありったけに詰められた作品です。やっぱり本谷有希子ってすげぇとしみじみ思わされます。 でも、それより何よりこれを出した講談社にはびっくりしました。出版業界では「売れない」ことがなかば定説になっている戯曲を、それもいまのところは「売れっ子」というわけでもない本谷さんの戯曲を、よく出した。 その心意気が嬉しいです。 戯曲というとどうしても敬遠されがちですが、きっと面白く読めるはずです。初めての人もぜひ。
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本書は、紛れも無く傑作である。
今、演劇界で最も注目される一人、本谷有希子の戯曲。 特に本書はほぼ上演台本であり、戯曲形式を読み慣れている 演劇関係者でもないとなかなかイメージは掴みにくかろう。 しかしそういった形式上の敷居の高さを置いても 自己愛に凝り固まった、グロテスク・エキセントリック ながらも一種ユーモラスという極端な人物像を通して (ありきたりの賛辞となってしまうが) 時代と現代人を抉った本書は傑作である。 読んでいて、本書を放り投げたくなるほどの インパクトある「毒気」をこの年齢で書けるのは驚異。 特になんでもそのせいにすれば文学が成立すると 思われている「トラウマ」を逆手に取った発想も秀逸。
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本谷さん、ベビー・スター・ラーメンでも十分いけます。
本谷有希子の名前を知ったのはごく最近だ。誰かが(多分、書評家か評論家だと思うが)どこかで書いていた20代前半で劇団を立ち上げた美貌の才気ある劇作家として彼女が紹介されていたのをたまたま目にしたからだが、学生演劇ならともかく、高校卒業後地方から上京してまもなく劇団を主宰すると言う強靭さと、やはり“美貌”で“才気”と言うフレーズに気が留まってしまった。で、既に幾つか出ていた単行本の中から取り合えずチョイスしたのが今作。昨年の岸田戯曲賞ならぬ鶴屋南北戯曲賞を受賞した戯曲だそうである。ある中学校で起こった男子中学生の自殺未遂を契機に展開する教師たちのディスカッション・ドラマが際限なくエスカレートしていく果てに、ある女性のブラックホールの如く強烈な“闇”が見えてくる。戯曲である為心理描写や心象風景もなく、舞台演出も俳優たちのパフォーマンスも、そして個々の台詞廻しや“間”も読み取れず、全ては登場人物たちの台詞とト書きのみで読み進めなければならないのが難点だが、それでも今作は十分に面白い。人間の持つ自己愛と責任転嫁と思い込みの激しさと大きなお世話的親切心が辛辣かつ滑稽に書き込まれ、それが怒涛の如く進み、しかも凄く上手いし笑える。いかにも社会性を感じさせるテーマでありながら、著者があとがきでそんな事象とは全く無縁の産物と述べているのもイイ。どうやらニッポン放送の「オールナイトニッポン」のパーソナリティもこなしているという彼女の才気を認識しながら、この舞台、さぞ面白かっただろうと、見逃した者としては些か残念。ゆえに★4つ。
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トラウマを失う時
本書は舞台の脚本であるが、読み物としても十分楽しめます。 「トラウマ」という言葉が日常語となったのはいつからだろうか?「他人のせいにする」という心理は自分を守る最大の手段です。 誰もが主人公のようにトラウマを捏造してゆく。 本書の主人公は私たち自身でもあります。
関連する文学賞
- 鶴屋南北戯曲賞 第10回(2007年) ・受賞