作品情報
世俗の中心にいた男が、自分を支えていた価値から外れていく。
講談社創業記念出版として刊行された上下巻長編。川端武彦の転落と漂流を通じて、現代の欲望と死への思考を描く。
レビュー要約
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社会小説としての広がりと、主人公の精神の揺らぎを追う密度が評価される。観念的な重さを感じる読者もいるが、作家の力業として強い印象を残す。
書籍情報
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 2009-01-27
- ページ数
- 316ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 14 x 2.9 x 19.5 cm
- ISBN-13
- 9784062152426
- ISBN-10
- 4062152428
- 価格
- 1 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
これはセックスと経済の物語 セックスは男が女にふるう根源的な暴力だ。 「週刊時代」の編集長、カワバタ・タケヒコは、仕事をエサに、新人グラビアアイドル、フジサキ・リコを抱いた。政権党の大スキャンダルを報じる最新号の発売前日、みそぎのつもりで行った、その場限りの情事のはずだった。 世俗の極みで生き続けた男が、本来の軌道を外れて漂い始める、その行き着く先にあるものは?白石一文が全身全霊を賭けて挑む、必読の最高傑作! 講談社創業100周年記念出版 第22回山本周五郎賞受賞
レビュー
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配送も商品も良かったです
配送も商品も良かったです
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人物の表現として面白い
半世紀前の「小説の描き方指南」みたいな本(例えば丹羽文雄が書いたものとか)だと、やってはいけないと書いてあるようなことを徹底的にやってしまった、その意味ではなかなか斬新な本だと思う。むろん思想を臆面もなく述べるとか、引用を多用するとかはそれなりにあったわけだが、ここまでまじめにやったら見事なものだ そしてそれが十分に登場人物の人格の説明として成立している。この著者の本はいくつか見たが、これが最もうまくはまっている 私はドストエフスキーも埴谷雄高も好きではない。自分しか語れないことを登場人物に語らせようとして、結局意味ありげなだけで哲学として成立していないたわごとに堕している。だがこの作品の人物は出来合いの思想を熱心に語る。現代の似非インテリはまさにこういうもので、それだけリアルだと思う ただ、なんというかこの結末は語りの手口にはめられたようで、推理小説でも叙述トリックの嫌いな私としては少し興ざめだった。作者が読者をだますのはわかる、しかし少なくとも語り手は登場人物であるべきだ。違うのなら、最初から違うものとして描いてほしい
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心に残る言葉
全体としては欠点の多い小説である。しかしところどころ、妙に心に残る場面や科白がある。 例えば、精神科医のシンギョウジが主人公に語ることの中で、 「清水の舞台から飛び降りるつもりで、これまでのあなたの人生を全て肯定しなさい」という箇所など、 訳もなく感動する。 理屈をこねるところは面白くない。フリードマンの引用とか。逆に女性の描き方で書き手の経験がもろに出ているようなところは、少し恥ずかしさを覚えつつも「正直じゃないか。いいじゃないか」 と思えてしまう。 最後に近く、すさまじい拷問を加えられる場面で、もっとも大事な情報を歯をくいしばって口に出さない男の意地が光る。そのために、大甘の結末を許せる気持ちになった。
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様々な思い
生きていると、まさかと思う事が起こる。作者は身近な事を掘り下げ私たちに、問題提起してるような感じがして、私だったらどうするだろうか? など考えながら引き込まれていった作品でした。 下も楽しみです。
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四方八方無茶苦茶に放たれた矢、胸を射止めない矢。
書評をみ、タイトルに惹かれて読んだが、端的にいうと期待はずれだった。 絶賛されている方が多い中、酷評で恐縮だが、 こういう感想を持った者もいるという程度に、御参考いただければ幸いである。 全体的に内容が薄い、圧倒的に薄い。主張、構成に必然的連関がない。 まず、著者が博覧強記であるとはとても感じられない。 この本の半分くらいは引用から成り立っているような気がするが、 きらりと光る文章もあれば、引用する価値のない文章もある。 但し、きらりと光る文章も、全体に埋もれて、色褪せてしまっているのが残念である。 思索が浅い。 男女の性の問題、DV、格差社会、ワーキングプア、家族の問題、政治批判、官僚制批判、 全ての思索が、日頃、テレビのキャスターが話すような非常に低いレベルのものであり、 底が浅く深みがない。 主人公も、この全ての問題について、月並みな、あるいはそれ以下の評論家でしかない。 悪(?)と徹底的に戦い続ける訳でもない。 貧困により失われる子ども達の命を救うために、何かをするわけでもない。 自由主義経済を批判し続ける(但し、鋭い批判ではまったくない)が、 一つの価値観に貫かれた行動をする訳でもない。 登場人物全員が、深く悩んでいない。 かろうじて骨のある主張をしたのはNくらいだったか。 しかし彼の扱いも残念ながら中途半端であった。 ストーリーにあっと驚く展開があるわけでもない。 人の振る舞いが御都合主義的であるように感じられる。 下巻の最後にて、この胸に深々と突き刺さる矢を抜くことの意味が明かされる。 しかし、提示され続けたDV、格差社会、不平等社会と、 その「必然によって生きる」、ということがどのように結びつくのか。 そこに全く「必然」が感じられない。 著者は、四方八方無茶苦茶に矢を放ち、 的にかすめ続ける(というよりも外し続ける)のではなく、 もう少し的を絞り、狙いを定めて、しっかりと中心を射貫くべきであった。 この本は、少なくとも私には、考え抜かれた本であるようには思えなかった。 村上龍や天童荒太の著書のほうが、思考の強烈な跡が本に焼き付いているように思う。 この本は、私の胸を射止めることはなかった。 私の胸には深々と矢は刺さっていないし、抜く必要もない。
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矢を抜くことは出来るのか
空間を移動するときに読んだ本というのは何故だか印象に残る。バスの中や、飛行機の中、電車の中などで開いたページは窓の外の景色と密接に結びついて離れない。 白石一文に出会ったのは、イギリスに向かう飛行機の中で僕の中の壊れていない部分を読んだのが初めてだった。強固な思想と数多くの引用で飾られた本を一気に読みきった。 今回も成田空港のラウンジでこれから暮らすことになるインドに向かう飛行機を待ちながらkindleで本を探しているときに、そのことを思い出し、購入した。かなりの感傷に浸りながら読むことを予期しながら。 フリードマンからブッダまでまた多くの引用があり1度で理解することは難しい。ストーリーの核は定番のエリートが人生に対し新しい意味と価値を見つける、といった内容。 世界を救うための思想と行動を1人1人が身につけることが出来るのか、というのが私の感じたテーマだ。かつてガンジーが、皆が出来ることをすれば世界の問題はほとんど解決できるといった旨のことを言った。 そのシンプルな命題と実現できない現実の狭間で生き方を見直すには、この胸に深々と突き刺さる矢を抜くことだ、と。 難解ではあるが、面白く読み進められる。文学である以上、偏った思想があるのは当たり前であり、そこに教養を求める必要はない。 私は単純に物語の力を改めて感じた。 敢えてまとめたくないため、こんなレビューになってしまう。 考えることをやめず、私なりの偏った考え方で偏った正しさを追い求めていきたい。
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最近のものでは悪くない
白石一文の作品は、数えていないが大体は読んでいると思う。初期の2冊「一瞬の光」、「僕の中の壊れていない部分」は結構好きだった。 自己憐憫が過多なところがこの作者の特徴で悪くするとその後の作品のようにただ中年男が病魔と闘ったり、女性に癒されたり、幽霊の声に触れたりと、ありきたりのベタベタの作品になる。 上記の2作ではストーリーの芯がよかったのと、自己憐憫の部分がベタベタにならず筆者の世界観の主張のような形で行間に力強く織り込まれていたのがいい方向に作用したのだと思う。 本作では、久々にアンバランスなまでの筆者の世界観の主張が報道や他の本の引用などを交えた形で復活している。また、プロットも楽しめるものに仕上がっている。☆4つでもいいが、歳を重ねたせいか、筆者の主張をどこか醒めた目でみてしまうので☆マイナス1で☆3つかな。
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新刊本のようでした。
表紙も中もとてもきれいでした。
関連する文学賞
- 山本周五郎賞 第22回(2009年) ・受賞