日本の文学賞

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ポトスライムの舟

芥川龍之介賞

ポトスライムの舟

津村記久子

工場で働く女性が、自分の年収と同じ額で世界一周できると知り、日々の労働と生活を見つめ直す小説。表題作と関連作を通じて、働くことの重さとささやかな希望を描く。

芥川賞労働生活現代小説

作品情報

年収と同じ値段の船旅が、働く日々に小さな光を差し込ませる。

津村記久子の芥川賞受賞作。低温のユーモアと抑制された文体で、働く人の現実を過度に劇化せずに描き出す。

レビュー要約

  • 働くことを描く抑制された筆致と、重い題材の中に残る温かさが支持されている。

書籍情報

出版社
講談社
発売日
2009-02-05
ページ数
186ページ
言語
日本語
サイズ
13 x 1.8 x 18.8 cm
ISBN-13
9784062152877
ISBN-10
4062152878
価格
1430 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

本当に大事なことは、きっと毎日少しずつ育ってる。 第140回 芥川賞受賞作 「つつましやかに生きている女性の、そのときどきのささやかな縁によって揺れ動く心が、清潔な文章で描かれていて、文学として普遍の力を持っている」――選考委員 宮本輝氏 お金がなくても、思いっきり無理をしなくても、夢は毎日育ててゆける。契約社員ナガセ29歳、彼女の目標は、自分の年収と同じ世界一周旅行の費用を貯めること、総額163万円。 野間文芸新人賞(『ミュージック・ブレス・ユー!!』)に続く受賞!なにげないのに新しい、さりげないのに面白い、私たちの文学! 同時収録「十二月の窓辺」

レビュー

  • 良い

    非常に良かった。 2作品収録されており、どちらも良かったと思う。特に12月の窓辺が個人的に良かった。パワハラを受けた人の話で内容としては重いのになぜか暗い気持ちにならない。解説にも書いてあったが、距離感を持った文体だからだと思う。最後は主人公が気づいて職場から離脱でき、非常に爽やかで良かった。

  • ちょっとモヤモヤ

    なんだかスッキリしない終わり方のお話しが多くて、私はモヤモヤしてしまいました。 続きを想像して楽しむ方は楽しいと思います。

  • パワハラシーンにおびえる。

    著者が芥川賞を受賞した表題作と「十二月の窓辺」の2作所収。いずれも「負け組」と呼ばれそうな女性の日々を描く。爽快感はないけれど、そこはかとない希望が漂う終わり方である。 「ポトスライムの舟」での主人公と大学時代の友人たちの関係を読んで「アラサー同士で会うときは、未婚か既婚か離婚経験者か、子持ちか子どもを持つつもりがないか妊活中かなど、それぞれを取り巻く状況が大きく異なっているので気を遣う」という知人の話を思い出した。 「十二月の窓辺」は、主人公(著者の分身であろう)が受けるパワハラが凄まじく読んでいて辛かった。本作が発表されて十数年がたった現在、こういうパワハラがあったら間違いなく問題になるだろう(と思いたい)。もし実際にこういう目に遭っている人がいたら「上司の発言を録音しておいて告発しろ」とアドバイスしたいところである。

  • もがきながらも前を向く働く女性たち

    表題作は第140回芥川賞受賞作品。大学を出て就職したものの、今はライン工やカフェのアルバイトで食つなぐ 貧困の日々。何も大きな事件が起きるわけでない。働く女性の貧困を訴える社会性が協調される こともない。彼女と母親、友人たちの日々が淡々と描かれるだけだが、読み始めるとのめり込む。 自分もそうだが、周りの女性の友人たちも夫との不仲などで基本貧しい生活を余儀なくされている。 だが、軽妙な関西弁で物語が進んでいくこともあってか、内容は決して暗くない。主人公の女性 ナガセも英国の有名なサッカー選手のタトゥーに憧れて自分も入れ墨をと真剣に考えたり、世界一周の船旅の 費用が自分のライン工としての年収と偶々同じであることに気付いてそれも目標に倹約し貯金を始めるなど 貧しい割に魂は自由なのだ。貧しい中で人を助けることも苦にしない。一緒に収められている中編 「十二月の窓辺」も働く女性が女性上司のパワハラに悩む姿が描かれるが、この作品は「ポトスライムの舟」の 「前日談」と位置付けて読むとより全体像が見えてくる。苦しい職場環境や安い賃金に苦しみながらも 強く生きようとする女性たちが描かれ強く共感される作品だ。

  • 同時収録作が面白い

    小説中で起きている出来事と季節がリンクした、独特の世界に引き込まれた。季節が持つ空気感を表現するのが上手い。表題作はちょっと淡々とし過ぎていて地味に感じてしまったが、同時収録の「十二月の窓辺」は最後まで続きを読みたいと思わせる作品で読み応え十分だった。文章だけで読者をワクワクさせ、最後まで読ませる。これぞ小説の真髄ではないか。サスペンスにも挑戦して欲しい!

  • ちょっと前向きな気持ちになれた

    ひどい会社をやめて、ささやかな暮らしを始めた主人公が、変な目標立てて貯金したり、困った友達を助けたりしながら、辛い思い出をやり過ごしていく姿が、とてもいいと思いました。目標というのは会社や上司に強制的に立てさせられるものじゃないなと改めて感じました。

  • 後々効いてくる読後感

    いずれの作品も、女性の職場にある現実のひとつ。 どう折り合いをつけていくのか、あるいは折り合いなんてつけなくていいのか。 安易な希望を押し付けられることはなかった。 灯りそうで灯らない小さな光をたどっていくような展開がとてもよかった。

  • オススメはできない

    津村さんの別の小説がとても面白かったのでこちらも手に取りましたが、「十二月の窓辺」については文章のレベルが著しく低く、とっ散らかっていて物語として成立していないと感じました。ご自身もパワハラを受けた経験があるとのことですが、これは日記あるいは自分の経験したことの理不尽さをただただしゃべりたかっただけなのではと思ってしまいました。すごく残念でした。

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