ジニのパズル
在日コリアンの少女ジニが、日本と朝鮮学校、過去と現在、言葉と身体のあいだで自分の居場所を探す青春小説。1998年の社会的緊張を背景に、差別と怒りを抱えながらも生き抜こうとする声を描く。
作品情報
二つの言葉と世界のはざまで、ジニは自分の輪郭を組み直していく。
講談社刊。オレゴンの高校にいるジニが、東京で朝鮮学校に通っていた頃の出来事を語り始める。学校での孤立、チマ・チョゴリを着た少女への暴力的な視線、家族や歴史の重さを通じて、少女が自分の言葉を獲得する過程を描く。
レビュー要約
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社会的な痛みを少女の一人称に引き寄せ、怒りと傷つきやすさを同時に響かせる語りが評価されている。重い主題を扱いながら、青春小説としての推進力も強い。
書籍情報
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 2016-07-06
- ページ数
- 185ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 13.7 x 2 x 19.4 cm
- ISBN-13
- 9784062201520
- ISBN-10
- 4062201526
- 価格
- 1300 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
「日本には、私のような日本生まれの韓国人が通える学校が、二種類あるんだ」――。1998年、テポドンが発射された翌日、チマ・チョゴリ姿で町を歩いていたジニは、警察を名乗る男たちに取り囲まれ……。二つの言語の間で必死に生き抜いた少女が、たった一人で起こした“革命”の物語。全選考委員の絶賛により第59回群像新人文学賞を受賞した、若き才能の圧倒的デビュー作! ★第33回織田作之助賞受賞!★ オレゴン州の高校を退学になりかけている女の子・ジニ。ホームステイ先でステファニーと出会ったことで、ジニは5年前の東京での出来事を告白し始める。 ジニは日本の小学校に通った後、中学から朝鮮学校に通うことになった。学校で一人だけ朝鮮語ができず、なかなか居場所が見つけられない。特に納得がいかないのは、教室で自分たちを見下ろす金親子の肖像画だ。 1998年の夏休み最後の日、テポドンが発射された。翌日、チマ・チョゴリ姿で町を歩いていたジニは、警察を名乗る男たちに取り囲まれ……。 二つの言語の間で必死に生き抜いた少女が、たった一人で起こした“革命”の物語。全選考委員の絶賛により第59回群像新人文学賞を受賞した、若き才能の圧倒的デビュー作!
崔実(チェ・シル) 1985年生まれ、東京都在住。2016年、『ジニのパズル』にて第59回群像新人文学賞を受賞。
レビュー
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とにかくパワフル
在日朝鮮人として生きる女の子の話。 大人たちが見て見ぬ振りをする世の中の矛盾に疑問を持ち、思春期スパイスも加わって派手に暴れ、泣き、抗っています。 冒頭では、過去に自分がしたことの告白、のようなニュアンスで物語が始まりますが、告白というよりは備忘録のように感じられました。 そして他の方も仰られてますが、作者自身在日韓国人だということでおそらく実体験を基にした物語なのかなと思います。 それ故になのか描写が妙にリアルで、文章に生を感じる作品と久しぶりに出会えました。
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物語はうまく理解はできなかったけれど、今後の作者の活躍を期待。
在日3世の少女ジニの葛藤。 彼女が心を解放できたのは、アメリカのホームステイ先。 物語としては、中学生活を送っていた日本での、彼女の心の置き場所探しから生じた出来事。 小学校は日本の私学に通っていたジニ。 家庭的には、かなり恵まれているように思える。 家では、国籍とか、日本に暮らす在日としての不安とか、用心の心得とかは、教えずいたのだろうか。 朝鮮語が話せないのに、なぜ朝鮮学校に進学したのだろう。 中学1年で騒動を起こしたのち、精神病院に行くことになったように書かれているが、その場所がハワイだったのか? 正直言って、私には理解できなかった。 物語としてはよくわからないが、思春期の自分探しを懸命にしている少女ジニの純粋な心は、何となく懐かしく、愛おしく感じられ、一気に読んだ。 作者のますます活躍を期待する。
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面白い、半分だけ
最初から半分ほどは勢いのある文体で、面白く読むことができましたが、後半からは別人が書いたように思えるほど勢いがなくなり不思議でした。視点が一人称なので主人公の成長に合わせ文体を変えたとも考えられなくもないが、あまりにも突然失速するので、それも違うように思えます。 また、内容は昔読んだ『GO』と似ている気がしました。 ただ、最近の純文学の中では群を抜いて面白い部類だと思います。
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文学の力
在日という言葉を聞いただけで固定された何かを感じてしまう私たち。主人公のピュアな言動に心が揺すぶられます。傑作。
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苛烈な運命に抗おうとする少女、ジニ
「小説」に、何を求めるか? それによっても、評価が分かれる、ということを前提に読んでいただけると幸いです。 ただただ圧倒されました。胸が張り裂けそうになりました。在日コリアンであるがゆえに、周囲と、そして、自分自身と戦うことを余儀なくされ、彷徨うジニ。他のクラスメートたちのように「うまく折り合いをつける」ことができなかったジニ。 小説としては、表現がやや粗雑に感じますし(しかし、このことは、私にとっては大きなマイナスではありませんでした)、構成や文章のつながりに、少しわかりにくいところもありました。しかし、著者がこの作品に込めた想いは、それらを補って余りあるインパクトを、私に与えてくれました。 ジニに幸あれ、そう祈りながら本を閉じました。
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運命って確かにある。そう思った作品でした。
日本の朝鮮学校はどのように母国を捉えているのか疑問が有りました。全て解明した小説ではありませんが、一人の女性が辿る運命を生きる心境には深く共鳴出来ました。
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ゴツゴツ感を、どう受け取るか。
ちょっと素人っぽさが残る、ややぎこちない文章。印象がゴツゴツしている。 だけどその粗さが、若く未熟で向こう見ずな主人公の「熱さ」にピッタリくるので、 読んでいて「フフフ」と笑みがこぼれた。 洗練された小説ではないが、読者のわたしをラストまで一気に引きずり倒していく、 そのパワーの強さはなかなかのもの。 深さもいまひとつで、テーマの深淵さに手が届き足りていないのだけど、 タブーを真っ向から描こうとする心意気には惚れた。
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アイデンティティの物語としても読める
日本にあるコリアン系の学校の中で、韓国学校は1つだけで、あとは朝鮮学校だという基本的なことを、この本を読んで初めて知った。(全部朝鮮学校だと思っていた) 祖国の文化を愛し、友達や家族を愛するジニが、たったひとりの革命家にならなければならなかったのはなぜなのか。彼女のしたことは幼いかもしれないが、ひたむきで、痛々しいほどまっすぐな思いは胸を打つ。また、日本人として、彼女たちを卑劣なやり口で貶め、恐怖を与える日本のレイシストに怒りを感じるし、レイシストをなあなあに容認する人たちには恥ずかしさも感じる。 ジニが友達のジェファンに「池袋のゲーセン、パルコの・・・行かないで」と言った心情を考えると、切なくなる。 立場は違えど、ジニの物語は、自分は何者なのかと問うアイデンティティの物語として読むこともできると思った。 個々の単語や言葉には、必ずしも綺麗ではないものもあるのに、文体には流れるような美しさを感じた。芥川賞候補になったのもむべなるかなと思う。崔実さんの今後の作品も読みたい。