日本の文学賞

← 受賞作品一覧に戻る
QJKJQ

江戸川乱歩賞

QJKJQ

佐藤究

猟奇殺人一家に生まれた女子高生が、家族の秘密に向き合うサスペンス。

書籍情報

出版社
講談社
発売日
2016-08-09
ページ数
309ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784062202190
ISBN-10
4062202190
価格
1650 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

市野亜李亜(いちのありあ)は十七歳の女子高生。猟奇殺人鬼の一家で育ち、彼女自身もスタッグナイフで人を刺し殺す。猟奇殺人の秘密を共有しながら一家はひっそりと暮らしていたが、ある日、亜李亜は部屋で惨殺された兄を発見する。その直後、母の姿も消える。亜李亜は残った父に疑いの目を向けるが、一家には更なる秘密があった。 「平成のドグラ・マグラ」 「ものすごい衝撃を受けた」 選考委員たちにそう言わしめた、第62回江戸川乱歩賞受賞作。

1977年福岡県生まれ。2004年に佐藤憲胤(のりかず)名義で書いた『サージウスの死神』が第47回群像新人文学賞優秀作となりデビュー。本作は2度目の江戸川乱歩賞への挑戦で、受賞となる。

レビュー

  • 縁がないとは言いきれない

    本作の核心は、マッドサイエンティストが殺人に至るまでのプロセスを、脳科学・犯罪心理学・遺伝学・家庭環境といった多角的視点から解剖することにある。 殺人とは何か。その本質を探る本書は、単なる事件小説ではない。 殺意の萌芽はどこから生まれ、どう育ち、いかにして臨界点を超えるのか――それを徹底的に追い詰めていく、まるで心理学と倫理学の実験室のような作品だった。 行動の裏には常に動機がある。しかし、人間の行動は予測可能に見えて、実は極めて不確定で複雑だ。 登場人物たちは、いずれも殺意の渦に密接に関与している。だが、読者の多くはその動機を理解しても、決して納得はしないだろう。なぜなら、倫理観と法の規範が、我々に「それは絶対に越えてはならない一線」であると教えているからだ。 人は日々、メリットとデメリットを天秤にかけて選択をする。理性的に、合理的に生きようとする。 だが、環境が狂えば、理性もまた狂う。 善人と悪人の境界は、極めて脆い。 殺人に至るには確かに理由がある。だが、その「一歩」を踏み出すことができるのは、常人ではない。あるいは、常人でさえないのかもしれない。 そして本書が導き出す結論は、真正面からではなく、斜めの角度から問いを突きつけてくる。 だからこそ、読者は揺さぶられる。 殺人という極限の行為に、人間の理性と感情がどう抗うのか。 そして、それでもなお人は、どこまで「正常」でいられるのか。

  • 不確かな父親

    人の体を切り刻む前にパンを引き裂くのだ、たとえ分かち合う相手がいなくとも。

  • 好みで意見がわかれるでしょう。でも、乱歩賞、こんなんでいいのか?間違ってませんか?

    プロの作家が査読しているので、立派な作品だと思います。 しかし、前半はすごい、どんな展開になるのだろう、と期待しましたが、 後半は、 窒息したとは言ったが、窒息死したとは言ってない、 だとか、 半殺しにされて、片足をもぎ取られてヘロヘロの男が、健康的な気の強い女性を殺す とか、 なんか、がっかりしました。確かに情緒あふれる文章は非凡だと強く感じましたが、乱歩賞ってこれでいいんですか? いくら小説とはいえ、人の命を奪う理由がつまらなさすぎます。 割り切って殺すなら、いっそ歌野晶午さんの、密室殺人ゲームのようなナゾトレをお願いしたい。

  • 満足しました。

    スムーズな取引でした。

  • オシャレでポップな、大人向けラノベ

    乱歩賞では異色? 設定がちょっとドン引き。何で漫画チック?と訝しんで読みましたが、最初の殺人シーンから引き込まれました。 中身は重厚かつ精緻。漫画チックな話が好きだけど子ども向けの話は興味ない人はぜひ、読んでください。大人向けラノベです。 推理小説としては薄い、ラストにはカタルシスもない。 けれどもところどころに「鳩ポン」「QJKJQ」など、うお!と思わせる描写や伏線回収がある。 アクション好きもぜひ! 意味が分からない、という人は、若い世代なのかな。 若い人向けではなく中年以降向きなのかも。 父親のキャラがもう渋くて温かくてカッコ良くて好き。 おでこに顔がもう一個書けるっていう表現もたまらん。 いちいち表現が新しい感じがします。

  • あらすじと全然違う方向に連れていかれる浮遊感

    殺人鬼一家の長男が殺害され、妹が復讐を誓い調査を開始するという話です。 なんだか特殊で面白そうな設定ですよね。 ただ本作の特徴はそういう話でありつつそういう話ではないという事ですね。 思ってたのと全然違う方向に行ってしまう。 「ディック感覚」というんでしょうか? 妹と同じ目線で不安なまま話を追う事になります。 正直、話が変な方向に転がり始めた時点で大抵の読者は真相の大まかな方向性について察するのではないでしょうか。 察しつつ「真相」に飲まれて行ってしまう浮遊感を楽しめる人には良い作品だと思います。 逆にあらすじ通りの内容を期待した人はガッカリするのではないでしょうか。 よくある例えで言うと「○○を注文したのに✖✖が出てきた」の典型みたいな話ですね。 意外性を楽しめる人にはお勧めだと思います。 終始何考えてるのか分からない父親のキャラクターは面白かったですね。

  • 面白いっていうのは難しい

    とても真面目に誠実に書かれた作品だと思いました。 文章は、とても良い。読みやすいというだけでなく、上手いです。 帯に書かれている惹句「家族は全員、猟奇殺人鬼」 このぶっ飛んだ設定をどう着地させるか、 要約すれば、そういう話ですが、 世界のひっくり返し方が、丁寧にきちんと書かれているので、好感を覚えます。 それがこの作品の良さのように思われました。 無責任ではない。ぶっ飛んでいるのに丁寧。 一方で、まさにそこがこの作品の弱点でもあるように思われました。 ぶっ飛んでいるくせに丁寧。呆気にとられるような驚きはない。 「これしかないよな」「やっぱりな」と思ってしまう。 不満があるわけではないが、読む者を揺さぶる力はない。 巻末の辻村深月さんの評に、ほぼ同意しました。 少なくともドグラマグラではない。 第一章はほぼ登場人物紹介にあてられ、 180ページ以降は世界の説明。 読者に向かって語りかけてくる語りと、 モノローグと別の視点を使い分けている。 文章が上手いので読ませてしまうが、 描写や会話が少なく、叙述が続く。 物語のうねりを楽しむ快楽はない。 また、気になったのは、鳩ポンと「父」の扱い。 やはり「ないな」感、覚えました。 小道具の使い方も上手い。 マリリン・マンソンとか、マトリックスのポスターとか、 首輪とか、登場人物のネーミングとか、その他あれこれ。 突飛なタイトルにも、やはりきちんと仕掛けがあります。 ただ、どれも、ややわかりやすすぎるというか、ベタすぎるというか、 作品全体の雰囲気と似通っています。きちんとしていて驚きがない。 どこか壊れてくれればいいのに、と思うのはわがままでしょうか。 こんなに、丁寧に良く書けていて、水準も高い作品だとは思うのに、 じゃあ、これ面白いのかと聞かれたら、 ちょっと首をひねってしまう。 面白いっていうのは、ずいぶん難しいことだと思いました。

  • きつい

    何がきついかって、厨二病の中学生が書いたかのような文章と陳腐なストーリー… ストーリーはまだしも文体が厨二じみているのはただただきつい もう流し読みのような感じで読み切りました

関連する文学賞