日本の文学賞

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文明史のなかの明治憲法 (講談社選書メチエ 286)

大佛次郎論壇賞

文明史のなかの明治憲法 (講談社選書メチエ 286)

瀧井一博

明治憲法の成立を、西洋体験と国家構想の交差から描く歴史研究。制度史に人物の経験を重ねて読ませる。

明治憲法西洋体験近代国家

作品情報

文明史のなかの明治憲法 この国のかたちと西洋体験は、受賞時の題名が伝える核を手がかりに、登場人物の選択と変化を追う作品です。

文明史のなかの明治憲法 この国のかたちと西洋体験は瀧井一博による作品。確認できる範囲では、受賞歴と関連出版情報から作品の輪郭を追える。物語や論旨の中心にある葛藤を読者向けに伝える紹介とした。

レビュー要約

  • 題材の切り口と人物の心の動きを評価する声がある。刊行情報が限られる作品では、受賞歴そのものが読者への主要な手がかりになっている。

書籍情報

出版社
講談社
発売日
2003-12-11
ページ数
234ページ
言語
日本語
サイズ
12.9 x 1.4 x 18.8 cm
ISBN-13
9784062582865
ISBN-10
4062582864
価格
2220 JPY
カテゴリ
本/社会・政治/法律/暮らしの法律/法律入門

<国家のかたち>はこうして描かれた 「噫憲法よ汝已に生まれたり」国の内外で識者から迎え入れられた明治憲法。ウエスタンインパクトとナショナリズムの19世紀、木戸、大久保、伊藤、山県らが西洋体験をもとに描いた<この国のかたち>とは? 日本型立憲国家が誕生するまでのドラマを描く。

レビュー

  • 一気に読める明治憲法成立史

    瀧井一博氏の「伊藤博文―知の政治家」 (中公新書)が素晴らしい著書だったので、これも読んでみたが、なんと、一気に読ませる魅力をもった書であった!著者のあとがきに「西洋文明の受容と変成の歴史という視覚から明治憲法成立史を書く」とあるが、この類のトピックには門外漢の私が興奮しながら読んでしまった。 第1章の岩倉使節団と第2章の伊藤博文の滞欧憲法調査については、多少の背景知識があったが、この書では立憲制度という意味での明治国制の成立史に関わる西欧への旅として見事に捉えている。シュタインとのやりとりは既に知っていたが、グナイストとのやりとりも別の角度から有意義であったことがわかった。第1章では伊藤博文の軽薄な行動を再三指摘しており、一瞬、2010年の著である「伊藤博文―知の政治家」 (中公新書)から得た印象との差に驚いたが、第2章を読むと、伊藤の成長ぶりがわかる。 ところで、第3章で明治憲法発布式当日の伊藤博文の失態(憲法の正本を官邸に忘れて発布式に来た)の話に関して瀧井氏の註15には、思わず笑ってしまった!「そもそも、当日の憔悴も前の夜に寝つけなかったからでなく、前祝として伊藤得意の芸者遊びにうつつを抜かしたからではないかと勘ぐりたくなる。」 とある!瀧井氏はどこかでその証拠をつかんでおられるのであろうか?その手の状況証拠はなるほど、伊藤博文の場合、多いのであろうが、、。憲法発布式前日の夜も大活躍するほどの人物かもしれないというのは、いささか「過大評価」かも知れないと思った次第。。。 さらに、第3章の山縣有朋の欧米周遊の内容には驚かされた。山縣有朋には今まであまり好印象がなかったが、この著書を読み、意識を改めた。終章の金子堅太郎の旅も含め、明治憲法成立史を、この方面に暗かった私に、すっと入り込ませてくれる素晴らしい著書だ。

  • 明治憲法制定の裏舞台

    伊藤博文を中心とする明治の指導者たちが、西欧文明と接することにより 何を感じ、そしてどのような国のかたちを描き、明治憲法が形作られていったのかを 豊富な史料を基に描き出した力作。 伊藤博文の滞欧憲法調査のみならず、それに先立つ岩倉使節団にも注目し 木戸孝允・大久保利通が何に触れ、どのような構想をもったか、そしてその伊藤への影響や 滞欧中の伊藤がシュタインの国家学からどのようなアイデアを得たか、 さらには従来あまり注目されていないグナイストの影響や、明治憲法成立後の 山県有朋の西洋体験など、様々な角度から明治立憲体制の道筋を探っています。 書簡や講義録、日記などさまざな史料から明治の指導者たちの感じたことや学んだこと 成功、失敗が生き生きと描かれており、明治憲法成立史の著作としてのみならず 読み物としてもとても面白い作品です。 大佛次郎論壇賞受賞後の朝日新聞紙上のコメントで、憲法改正について その賛否には慎重に触れずに、「国制知」の視点が重要だという旨のコメントを寄せられていた ような記憶がありますが、さまざまな分野で改革が進められている今日において 明治の指導者たちの経験を顧みることで得られるものがあるかもしれません。 第4回大佛次郎論壇賞・第2回角川財団学芸賞受賞

  • 読み甲斐のある一冊

    岩倉使節団から大日本帝国憲法制定に至る歴史をめぐっては、田中彰氏をはじめとする研究者たちの膨大な研究蓄積がある。その中にあって本書は、明治の指導者たちが西洋体験を通じてどのように「日本という近代国家」イメージを形成していったか、という点に着目し、指導者個々人の紆余曲折を丁寧に読みこんでいる。読み手に新鮮な印象を与えるこうした論述は、汗牛充棟の感がある明治憲法制定史研究にあって埋没することがない。 本書で名前の挙がっている司馬遼太郎氏や高坂正堯氏に限らず、constitutionに成文憲法にとどまらない「国のかたち」というべきものを含む意味合いがあることは、よく指摘される。だが、そうした意味合いを念頭に置きつつ、ここまで明治指導者の思考とその形成過程に迫った本は、他に心当たりがない。 近代日本に関心がある人であれば、間違いなく読み甲斐ある一冊であろう。

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