作品情報
不幸の中で愛にすがる女の姿に、人間の哀しさが沈んでいる。
この作品は、社会的に弱い場所に置かれた女性が、愛する相手に尽くすことで自分の存在を支えようとする姿を描く。題名の鋭さとは裏腹に、物語は彼女を断罪するよりも、そうせざるを得ない孤独と傷つきやすさを見つめる。恋愛の甘さよりも、依存、献身、諦めが絡み合う感情の重さが前面に出る。
レビュー要約
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貧しく不幸な生い立ちの女性を描く直木賞受賞作として紹介され、精細な心理描写と情感描写が強調されている。
書籍情報
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 1997-05-01
- ページ数
- 238ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784062620857
- ISBN-10
- 4062620855
- 価格
- 29980 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
夫と子供の不在の一夜、強盗に踏みこまれた、一人の平凡な主婦と強盗との接点を、誰にでも日常的に起こり得る恐怖と描く心理サスペンス『赤い殺意』。貧しく不幸に生まれ、ただ一筋に男に尽くすしかない可愛い女を浮き彫る直木賞受賞「罪な女」。精細な心理描写の丹念な積み重ねと、定評のある女の情感描写の双方が響き合って、人間の哀しさと人間愛へと収斂(しゅうれん)されていく長短編の代表作を収録。
大正10年(1921)、東京生まれ。幼少年期、戦中戦後を岡山で過ごす。青山学院高商部を肺結核で中退。戦後同人誌を発刊して執筆活動を始め、リリシズムあふれる恋愛小説、敗戦後の世相を直視し、その非情や不合理をえぐる風俗小説、人間悪を探索する推理小説、さらには時代小説等へと創作活動を広げ、昭和2,30年代の流行作家となる。出世作は、昭和22年の『秋津温泉』、昭和27年には「罪な女」で直木賞を受賞した。昭和59年(1984)没。63歳。
レビュー
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心理サスペンスの名作「赤い殺意」
「赤い殺意」は、昭和三十四年発表のストーカーもの。 強盗に暴行された主婦が、以降、犯人に付け狙われ、幾度となく体を要求される。夫や姑になじられ続ける日々に加えて、暴行犯から脅迫を受け、言い諾々と要求を飲まざるを得ない出口なしの辛い状況が続く。 殺意が沸騰しながらも手を下せない主人公の心理の奥底には、誘惑を待ち望むものがなきにしもあらず、という絶妙な筆致。先を読むのがキツくなるほどの痛々しい展開ではある。遂に主人公は、暴行犯を殺害すべく小旅行を持ちかけるのだった…。 予想外のラストが良い。 「罪な女」は、直木賞を受賞した恋愛小説。 客に惚れたぬいた芸妓は、思いを遂げ、相思相愛の愛人となる。そこまでに至る二人の心の機微が美しい。 幸せな日々を送る主人公だったが、殺人の罪で服役中の夫が突然出所が決まり、復縁を要求されてしまう。主人公は、愛人に夫とは縁が切れたと嘘をついていたのだ。 愛する人との別れを決意した時の心を引き裂かれる思いが巧みに描かれている。締めくくり方がとても良い。 短いながら密度が濃い作品である。
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女は健気でいじらしい
男女の関係において揺れ動く女の心理を描く筆致は絶妙。男は身勝手でいじましく、女はあくまで健気でいじらしい。
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- 直木三十五賞 第27回(1952年) ・受賞