日本の文学賞

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藤原 審爾

ふじわら しんじ

Fujiwara Shinji

プロフィール

性別
男性
生誕
1921-03-07 (東京市本郷)
死没
1984-12-20 (東京都) 63歳
国籍
日本
言語
日本語
居住地歴
東京市本郷(生誕) → 岡山県片上町(祖母のもとで育つ) → 倉敷市(戦後の居住) → 東京都新宿(上京後・創作活動拠点)

経歴

職業
小説家, 作家, エッセイスト
活動期間
1946年〜1984年
所属
『文学の友』編集委員, 中央労働学院 講師, 日ソ図書館・文学学校 関係, 自宅勉強会「藤原学校」主宰
影響を受けた人物
リルケ, ボードレール, ポール・ヴァレリー, ロマン・ローラン, 梶井基次郎, 広津和郎, エド・マクベイン(海外の警察小説)
影響を与えた人物
三好京三, 山田洋次(映画監督、作品を多く映画化), 江國滋, 色川武大, 高橋治
ノミネート
『秋津温泉』 (第21回候補), 『犬を飼っている夫妻』 (第24回候補), 『藤十郎狸武勇伝』 (第26回候補)

学歴

青山学院高等商業部
高等商業部
期間: 中退(肺結核のため)
国: 日本
肺結核罹患により中退。療養期間中に雑誌社で編集補助を行い創作を開始。

受賞歴

直木三十五賞(第27回)
1952
対象作品: 『罪な女』『斧の定九郎』『白い百足虫』
主催: 直木賞選考委員会
結果: 受賞
小説新潮賞
1962
対象作品: 『殿様と口紅』
主催: 新潮社
結果: 受賞

受賞・候補エディション

直木三十五賞 1回登壇
  1. 受賞作: 罪な女

    『罪な女』は、藤原審爾が1952年に発表した小説。貧しく不幸な境遇に生まれ、男に尽くすことに生の拠り所を見いだす女性を中心に、人間の弱さ、愛情、哀しさを描く。『斧の定九郎』『白い百足虫』とともに第27回直木賞の対象となり、のちに講談社文芸文庫『赤い殺意/罪な女』などに収録された。

    不幸の中で愛にすがる女の姿に、人間の哀しさが沈んでいる。

    238ページ
    貧困恋愛女性心理献身人間の哀しさ
小説新潮賞 1回登壇
  1. 『殿様と口紅』は、藤原審爾の幅広い作風を示す短編。大衆小説の読みやすさの中に、人物の欲望や滑稽さ、時代の空気を織り込み、映像化作品を多く生んだ作者らしい場面の強さがある。

    人物の欲望と滑稽さが、鮮やかな場面の連なりとして浮かび上がる。

    330ページ
    大衆小説風俗欲望短編

作品

代表作

秋津温泉

1948年 私小説・純文学

山奥の温泉宿を舞台に、両親を失った少年が成長し、そこに現れる女性たちと関わるなかで人生の情感を描く自伝的長編。藤原の初期代表作の一つ。

孤独成長郷愁愛情
映像化・舞台化
  • [映画] 秋津温泉 / 吉田喜重 (1962)

罪な女

1952年 中間小説・風俗小説

女性をめぐる人間模様を鋭く描いた短・中篇群で、同時期の作品とともに直木賞受賞の対象となった。

女性心理人間関係社会風俗

新宿警察(シリーズ)

1968年 警察小説

架空の新宿署を舞台に複数の刑事の視点で都市犯罪を描く連作。エド・マクベインの87分署シリーズに倣った群像的構成が特徴。

刑事群像都市犯罪友情と葛藤
映像化・舞台化
  • [テレビドラマ] 新宿警察 (1975)

赤い殺意

1959年 サスペンス・犯罪小説

平凡な主婦が犯罪に巻き込まれる過程を描くサスペンスで、後に映画化された主要作品の一つ。

日常と暴力心理サスペンス倫理のはざま
映像化・舞台化
  • [映画] 赤い殺意 / 今村昌平 (1964)

悪魔からの勲章

1967年 ハードボイルド風短編集

私立探偵や軽いハードボイルド調の連作短編。軽妙なタッチとユーモアを含む探偵小説的傾向を示す作品集。

探偵軽ハードボイルドユーモア
映像化・舞台化
  • [映画] 悪魔からの勲章 / 村山三男 (1967)

狼よ、はなやかに翔べ

1973年 動物小説集

動物を主題とした短編を集めた作品集で、多様なモチーフと情感を織り交ぜる一冊。

動物生と死自然描写

全著作

  • 秋津温泉
  • 初花(短編集)
  • 罪な女
  • 赤い殺意
  • 新宿警察
  • 悪魔からの勲章
  • 狼よ、はなやかに翔べ
  • さきに愛ありて(連載)

翻案

  • 秋津温泉(映画化/1962年、監督:吉田喜重)
  • 赤い殺意(映画化/1964年、監督:今村昌平)
  • 馬鹿まるだし(『庭にひともと白木蓮』原作、1964年ほか)
  • 新宿警察(テレビドラマ化/1975年)

作風・主題

文体
情感豊かな叙述私小説的心理描写時に軽妙なハードボイルド風映画的な場面構成
頻出モチーフ
愛と孤独都市と新宿の風景犯罪と人情郷愁・故郷妖怪・民話的要素

健康

  • 肺結核
    青年期 - 1950年代(再発と長期入院を含む)
    青山学院中等商業部を中退。1950年に大手術(肋骨の切除など)を受けるなど療養を余儀なくされるが、その間も執筆を継続した。
  • 胆石症(胆嚢関連の手術)
    1954年末(手術)
    1954年末に手術を受けた記録がある。持病の一つとして療養歴に影響。
  • 心臓病・腎臓病
    中年期
    複数の持病として長期にわたり体調に影響を与えた。
  • 肝硬変・糖尿病
    1973年頃より入院・療養
    1973年に肝硬変と糖尿病で入院。以降体調に波があり、執筆ペースや生活に影響。
  • 1984年(入院・治療後死去)
    1984年に癌で入院。4か月の入院後に死去(63歳)。

評価・遺産

多彩なジャンルを横断して作品を発表し、技巧に優れた文体と映画化の多さで知られる「小説の名人」。若手作家や映画人を育て、戦後大衆文学〜純文学界に広く影響を残した。

記念館・博物館

  • 吉備路文学館(関連資料所蔵) 岡山県備前市

資料所蔵先

  • 吉備路文学館 所蔵資料

大衆文化への影響

  • 多くの作品が映画化され、日本映画史に残る作品群を生んだ(例:『馬鹿まるだし』など)。

引用

  • 学生のころはリルケ、ボードレール、ヴァレリー、ロマン・ローランの『ジャン・クリストフ』、梶井基次郎などを読んだが、そのうちリリカルなものがプチブル的に思え、それを克服しようと思って、いろいろ狂ってきましてね。
    出典: 対談(『作家のうらおもて』など、取材記録) (1980年)
  • 文章の一つ一つがピタッ、ピタッと女の急所を押さえている見事さは、心憎い位の魅力である。
    出典: 小島政二郎(直木賞選評) (1952年)

豆知識

  • 女優・藤真利子は息女(娘)。
  • 自宅で『藤原学校』と呼ばれる勉強会を主宰し、多くの作家や映画人を育てた。
  • 野球好きでチーム『藤原』を結成し、1969年の国体に東京都代表として出場した。
  • 作品の映画化が多く、『馬鹿まるだし』など日本映画に影響を与えた。