日本の文学賞

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閉ざされた夏 (講談社文庫 わ 18-1)

江戸川乱歩賞

閉ざされた夏 (講談社文庫 わ 18-1)

若竹七海

書籍情報

出版社
講談社
発売日
1998-07-01
ページ数
391ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784062638388
ISBN-10
406263838X
価格
226 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

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1963年東京都生まれ。立教大学文学部史学科卒業。1991年、『ぼくのミステリな日常』でデビュー、ユニークな視点で注目を集める。著書に『サンタクロースのせいにしよう』『海神の晩餐』『スクランブル』などがある。

レビュー

  • ユーモラスでいて切なくほろ苦い、傑作青春ミステリ。

    主人公が勤務する、ある作家の文学記念館で 放火未遂事件が連続して起きるところからこの話は始まる。 主人公にはミステリ作家である妹がいるため、 『名探偵』の常でこの事件について独自の推理を展開し、 犯人を追っていくことになる。 その過程で、故人である天才作家の人間関係が 深く事件にかかわっていることが明らかになっていく。 と言った内容の小説です。 しかしこの主人公は成り行きで巻き込まれていくのみなので、 息をのむ推理合戦などのケレンはありません。 ただしそこを補ってあまるのが一癖も二癖もある登場人物たちとのやり取りです。 また、主人公による犯人の告発の場面まで読み進めていくと、 とても切なくほろ苦い思いで胸がいっぱいになります。 派手さには欠ける作品かもしれませんが、心に残る一冊だと思います。

  • 終盤の展開が面白い

    「夏の果て」というタイトルで第38回江戸川乱歩賞最終候補に残った作品。後に「閉ざされた夏」に改題。 夭逝した天才作家の文学館を舞台にしたミステリー。 主人公はその文学館の新入り学芸員。ちょっぴりユーモラスでかなり切ない。 中盤まではいっても大騒動までにはいかずちょっと退屈な展開。中盤以降事件が動いてきて、後半盛り上ってきます。 また終盤に事件が解決したかと、思った先に実は…。みたいな展開は読んでいて面白かった。 物語の舞台が文学館だったり過去の天才作家に想いを馳せたり、どちらかというと地味な印象の事件。 著者の作品にしては、心の中に潜む悪意の描写が濃くは感じなかった。 夏は夏でも子供たちの笑い声とかはなくて、誰もいないところでセミの鳴き声だけが聞こえるようなそんな感じのミステリーです。

  • 青春は良い味ーミステリーは不味い

    青春を巡る物語は素晴しいです。ただ、肝心のミステリーがいただけません。あまりに、リアリテイーに欠けるのです。推理ものとしては、いけません。普通の小説を書くべきでした。

  • ザ・2時間ドラマ

    まさに2時間ドラマ向き。 高尚なイメージの文学館を舞台にしつつ、事件はお茶の間向きのメロドラマ。 とはいえ、架空の作家と文学館の再現度の高さは半端ない。作者の緻密な妄想力に感服するが、本筋より、脇の設定に情熱を傾けてしまったのではなかろうか。 ともあれ、若竹さんはこういう作品も書くことができるのだ。ストライクゾーンの広さに脱帽。 【追記】 講談社文庫に次ぎ、光文社文庫も購入。 講談社版のカバー絵は、藤田新策氏。夜、テラスに佇む女性の後ろ姿。登場人物かあるいは過去の女性(作家の姉)か。庭の池のほとりに咲く三輪の百合(テッポウユリか)。向こう側にも屋敷。帯で隠れていて気付かなかったが、手前の柱の脇から炎が上がっている。 光文社版は、学芸員達がデスクワークしている様子。横顔の男女は才蔵と千佳か。涼しげな色合い、寂寥感あり。 解説は前者が加門七海さん。作者とは同じ“七海”仲間からか、仲が良く、解説文というより暴露文とのこと。 後者は赤城毅氏。

  • ほのぼの,そして切ない最後

    ミステリと思いきや半分くらいまでそんな動きはまったくありません. 時折挟まれる謎の事件が辛うじてそれを思い出させてくれるほどです. そんなわけで前半は主人公の勤め先を中心にほのぼのと進みます. 何度か主人公たちのちょっとした推理ごっこが展開されますが, 具体的に事件を解決するわけでもなくやはり淡々と日常生活が送られていきます. そんな流れが半分ほどまで続いたところでようやく事件. それでも大半は話の外側に居る警察が片付けてしまいますし, 大きな謎とか驚くべき事実というものもほとんどありません. また動き回る主人公たちもいたって普通の人たちなので, ミステリという印象はほとんど感じられないと思います. むしろその最後の真相にはしんみりと切なくなってしまうほど. 全体をとおしたほのぼの感が心地よかっただけに余計に. なので,派手な立ち回りなどを期待して読んでは×です.

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