作品情報
一絃の音色に魅せられた女性たちの誇りと執念が、時代を越えて響く。
『一絃の琴』は、宮尾登美子が土佐の一絃琴をめぐる女性たちの矜持と情念を描いた長編小説である。伝統芸能を受け継ぐことの厳しさと、師弟・家族・時代の軋みが重なり合う。 一絃の音色に魅せられた女性たちの誇りと執念が、時代を越えて響く。
書籍情報
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 2008-04-15
- ページ数
- 528ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 10.8 x 2 x 14.8 cm
- ISBN-13
- 9784062760287
- ISBN-10
- 4062760282
- 価格
- 1056 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
直木賞受賞作。土佐藩の上士の娘・苗は、祖母・袖の嗜みであった一絃琴を5歳の時に初めて聴き、その深い音色に魅せられた。運命の師有伯と死別した後、結婚生活で一度は封印したものの、夫の理解を得て市橋塾を始め、隆盛を極めた。その弟子となった蘭子は苗との確執の果て、一絃琴の伝統を昭和に伝える(講談社文庫)。 一絃のみの琴の音色が描く明治の女たちの矜恃と情念 土佐藩の上士の娘・苗は、祖母・袖の嗜みであった一絃琴を5歳の時に初めて聴き、その深い音色に魅せられた。運命の師有伯と死別した後、結婚生活で一度は封印したものの、夫の理解を得て市橋塾を始め、隆盛を極めた。その弟子となった蘭子は苗との確執の果て、一絃琴の伝統を昭和に伝える……。直木賞受賞作。
レビュー
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懐かしく今なら深く感じる
10代のころ印象に残った本だったが、第4章は人生経験が少なかったためか記憶に残っていなかった。今回再読して10代のころは、自分も芸道に心血を注いだのでその部分を重ね合わせましたが、年齢を重ねて行き方そのものを深く考えさせられました。 私は高知の農家の生まれですが、市内の中学校に進学したとき、両家の友人は親であってもお伺いを立てるなど本音で話さないことを知りびっくりしました。まだあの時代には袖や苗のような武家の習慣が残っていたこともこの本を読んで合致しました。
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こりゃまたアツい芸道小説
ご維新から昭和にかけて、高知を舞台に一弦琴を極めた女性二代の人生を描いた作品。 女性の自立が極めて難しい時代、そして地方都市にあって、幼い頃から芸事への情熱を昂らせる主人公のひとり苗。苗が人生の様々な逆境を乗り越え形成した流派で偉才を放つ弟子、もうひとりの主人公蘭子。 情熱、嫉妬、執念が(しつこいくらいに)細やかな感情表現で語られる。時代とともに一弦琴は隆盛から衰退へと移り変わっていくわけだが、二人の女性に人生が合わせ鏡のように映し出されるという展開。 こりゃまたアツい芸道小説だった。【直木賞】
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面白かったそうです。
義母が手に入らないとこぼしていたのでお願いしました。本の状態もよく読んでみて良かったと喜んでいました。
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差別意識さえなければ
江戸の終わりから幕末、大戦を経て一弦の琴の隆盛を細く繋いだ女性たちの生き様が書かれています。 一つの目標を定めて芸を極めていく様。 それが、良いか悪いとか、 結果につながるとか、つながらないとか、 そういうことを一切呑み込んで淡々と語る語り口。 少し踏み外せば途端にどろどろするところ、 終始ぴんと張りつめた一本の糸の上で危うい均衡を保ってるような緊張感のある本でした。
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老眼、足の悪い母には最適かも
980円でKindleゲットできたので母に使ってもらっています。その最初の購入本です。老眼の母にはリアル本よりメリット大きいと思うのですが、、、(結果はまだ不明) ですが足の悪い母には欲しい本を息子に言えばそれだけで手に入る環境になったというのは大きいです。
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土佐ものから芸道ものへ
宮尾登美子の直木賞受賞作。(初出は1978年) 既に「櫂」(1972年)や「陽暉楼」(1976年)で人気作家となっていた宮尾氏だが、この作品で評価も確定的になったのではないだろうか。 それと同時に本書は、彼女の初期の「土佐もの」から「芸道もの」へと作風を広げる作品になったと思う。(この後も「鬼流院花子の生涯」(1980年)や「春燈」(1988年)等、土佐を舞台にした小説を書き続けるのではあるが) 土佐を舞台にしながらも、それまでの下町あるいは芸妓・娼妓の世界とは異なる、武家(およびその子孫)の世界を描き、一絃琴という芸道に邁進する二人の女主人公を描いている。 読んでいて興味深いのは、二人のヒロインを女性ならではの心理描写で描き、その背景である幕末〜明治の武家の文化もしっかりと調べて描きこまれていること。世代は異なり、師匠と弟子の間ながら、女同士の葛藤、意地(あるいは矜持)等読みごたえがある。 また、女性だけでなく男性たち(苗の師である有伯や佐竹紋之助、あるいは夫の市橋公一郎等)も良く描かれていると思う。中でも、佐竹紋野助の壮絶とも、純粋ともとれる人物像は圧巻だと思う。 「芸道」という点ならこの後に発表された小説の方にも優れたものが多いが、「一絃の琴」には、芸道ものでありつつも、作者の故郷である土佐を舞台としているという点で、読む側にも強く迫ってくるものが多いのではないだろうか。宮尾登美子の小説にはいつも引き込まれてしまうが、この小説にはとりわけ強い魅力を感じる。
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気品溢れる琴の音が・・・
高知の一絃琴奏者である人間国宝、秋沢久寿栄がモデルの小説で、作者は小説にするつもりより、一絃琴に接した感動からこれに魅せられ、例によって何事もやって見ないと気のすまない性格とて、一絃琴を手に入れ、12年間書き続け、書き直ししていたそうだ。 自費出版だった「櫂」が太宰賞をとり、筑摩書房より出版、その後講談社からも話があり、2年くらい掛かるがそれでも良いということで、出されたのが直木賞になった「一絃の琴」だ。 明治から近年までの苗(モデルは島田勝子)という一絃琴女流奏者と、その弟子である蘭子との芸道上での相克の物語だ。この蘭子のモデルが秋沢久寿栄で、第1〜4部のうち第4部は蘭子に当てられて終わる形だ。 跡目争いで苗から離れた蘭子だが、一度も弾いたことのない名曲「漁火」を弟子時代の譜本の最後に見付け、独自の奏法に完成させるくだりでは、一度この曲を聴いてみたいものだと思った。 苗が有伯に「お師匠様、私の不心得はどのようにでも直しますきに、どうぞお弟子にしてつかさいませ」と述べるような気品のある土佐弁の美しさは琴の世界にぴったりだ。宮尾作品はどれも飽きない語り口で、最後まで読ませるが、本作品も例外ではなかった。