作品情報
現代の少年が、帰れない空へ向かう若者たちの時間に投げ込まれる。
第11回講談社BOX新人賞Powers受賞作『昨日の空、明日の翼』を改題・改稿して刊行。出版社公式で ISBN とページ数を確認した。
レビュー要約
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戦争という重い題材を、現代の高校生の視点から読みやすく入らせる構成が特徴。歴史への戸惑いと青春小説の切実さが重なる。
書籍情報
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 2012-08-02
- ページ数
- 274ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784062838108
- ISBN-10
- 4062838109
- カテゴリ
- 本/コミック・ラノベ・BL/ライトノベル
茨城県に住む高校生・相沢考樹は外出先で突然意識を失い、目を覚ますと太平洋戦争末期の日本海軍で戦闘機パイロットになっていた。とまどい、抗いつつもゼロ戦乗りとして成長していく考樹。しかし戦況の悪化が、考樹ら若者たちを生きてもどることのできない特攻隊へと駆り立てる……。考樹は、現代で生きる幼なじみ・菜々美と再会することはできるのか? 第11回講談社BOX新人賞Powers受賞作。
レビュー
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(後半少しネタバレ)時代考証の深堀りがちゃんとしており味が深い
歴史マニアの知り合いの紹介で読んでみたのですが、 よくあるタイムスリップものの戦争ものファンタジーかとおもいきや 案外案外時代考証がしっかりしており、教科書やテレビじゃあまり話されない細かなところ、 言うなれば歴史の大きな話題の隙間というべきか時代背景や考え方が要所要所で語られている所の話の練り込みがしっかりしております。 作者はファンタジー?の形を取ってはいるが書きたいこと伝えたいことをしっかりと表現しており、 俗にいう「反戦」に終始した内容ではなく「何故時代は戦争に傾き、何故当時の人は戦うことを選んだのか」「時代はこうも人を変えたのか」を物語の体を成し読みやすく、しかしながらしっかりと深堀りして表現している所にある種の感銘を受けました。 多少のネタバレになりますが、印象深いところを幾つか。 主人公のライバル的な存在の男子が特攻を敢行するシーン。 おかあさーん!!と叫びながら突撃をするのは史実の通りです。 ただ、史実のとおりなぞらえたから印象深かったわけではなく何故母か、そういうところまで描ききる文書力に感嘆しました。 また、時を経て整備係だった少年の元を訪ねるシーン。 少年は老人と成り果てており、色々あって本人だと証明し再会を懐かしむというくだり。 今まで周囲に疑問の視線しか向けられなかった主人公が、ここに来て初めて認められたという展開に熱くなりました。 これは多分私の深層心理の欲求に他者に認められたいというものがあって、そこに共感したのだろうと思います。 他にも見どころもとい、読みどころはありますが下手な作家よりも読みやすく描写も丁寧なのでオススメの一冊です。 この作者の次の本が待ち遠しい限りです。
関連する文学賞
- 講談社BOX新人賞 第18回(2011年 第4回開催) ・Powers