日本の文学賞

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ハロー・ワールド

吉川英治文学新人賞

ハロー・ワールド

藤井太洋

ソフトウェア開発者たちが、広告ブロッカー、ドローン、SNS、ビットコインなど現代的な技術と政治的な問題に向き合う連作短編集。身近なITの知識と仲間への信頼を武器に、インターネットの自由と未来を守ろうとする人々を描く。

ITインターネットの自由近未来開発者連作短編

作品情報

小さな技術と仲間への信頼が、世界の自由を守る力に変わっていく。

『ハロー・ワールド』は、現実のインターネットに地続きの近未来を描く連作短編集である。何でも屋のエンジニア文椎と仲間たちは、アプリ開発やネット上の出来事をきっかけに、国境を越えた政治的な問題へ巻き込まれていく。技術は諦めないための道具であり、未来を自分たちの手で守るための希望として描かれる。

レビュー要約

  • 技術描写のリアリティと、静かな熱さをもつ物語性が評価されている。専門用語を扱いながらも、登場人物の正義感とチームの関係が物語を読みやすくしている。

書籍情報

出版社
講談社
発売日
2018-10-18
ページ数
288ページ
言語
日本語
サイズ
13 x 1.8 x 18.9 cm
ISBN-13
9784065133088
ISBN-10
4065133084
価格
1650 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

未来が体験できる静かで熱い革命小説、誕生。「藤井太洋は諦めない、テクノロジーも、そして未来も」ーー宮内悠介。「何でも屋」エンジニアの文椎の武器は、ささやかなITテックと仲間と正義感。仲間と開発した、広告ブロッカーアプリ〈ブランケン〉が、突然インドネシア方面で爆発的に売れ出した。東南アジアの島国で何が起こっているのか――。とんでもない情報を掴んでしまった文椎は、第二のエドワード・スノーデンなるか? インターネットの自由は、僕が守る 藤井太洋は諦めない。技術(テクノロジー)も、そして未来も。ーー宮内悠介 現実の話なのにSFに見せかけてる不思議な構造。ーーひろゆき 現代人必読! 未来はまだまだ捨てたもんじゃない。ーー大森望 専門を持たない「何でも屋」エンジニアの文椎の武器は、ささやかなITテクニックと仕事仲間と正義感。郭瀬と汪の3人でチーム開発した、広告ブロッカーアプリ〈ブランケン〉が、突然インドネシア方面で爆発的に売れ出した。〈ブランケン〉だけが消せる広告は政府広報だ。東南アジアの島国で何が起こっているのか――。果たして彼らはとんでもない情報を掴んでしまった。文椎は、第二のエドワード・スノーデンなるか? スケール、エッジ、ハートを兼ね備えた旗手による、静かで熱い革命小説

藤井太洋 (ふじい・たいよう) 1971年奄美大島生まれ。2012年、ソフトウェア会社に勤務する傍ら執筆した長編『Gene Mapper』を電子書籍で個人出版し、大きな話題となる。大幅な加筆修正をした増補完全版『Gene Mapper-full build』が2013年に出版された。『オービタル・クラウド』で日本SF大賞を受賞。他の著書として『アンダーグラウンド・マーケット』『ビッグデータ・コネクト』『公正的戦闘規範』など。スケール、エッジ、ハートを兼ね備えた旗手。

レビュー

  • テクノロジーを題材にしたリアリティーのあるお話

    テクノロジーが持つ可能性やリスクについて、リアリティーのある物語で描かれています。 専門知識が無くても楽しく読むことができ、勉強にもなります。 読めば読むほど結末が気になり、引き込まれていく魅力があります。

  • 文椎泰洋が主役の連作短編だった。

    「行き先は特異点」は既読だった、「五色革命」はなんとなく記憶があった。 だんだんすごい人になっていく過程が面白かった。 難点は特別番外編「ロストバゲージ」が絵だったこと。 Kindle paperwhiteのEinkでは背景絵と被って拡大しても文字の認識が難しかった。 PC版Kindleでも絵自体が小さいので文字が小さすぎて読み難い。 なんだかな。

  • 面白い

    IT業界で働く身としては、感情移入しやすくとても面白く読むことができました。

  • 情報技術者として

    中小のソフトハウスやSES業をメインにしているエンジニアたちにとって目の前のプロジェクトはただのコードの羅列であって頭の中はそれが正しく動くか、納期までに完成するかで一杯だ。(全員がそうではないが少なからずはそうであろう。) しかし、情報技術は血であり肉であり知性でありインフラであり経済であり社会であり政治であり思想であり世界であり歴史であるそしてそれらは人と人との繋がりである、という事をそれを認知していない技術者たちに教えてくれる教科書のような作品である。 「ハロー・ワールド」それはその技術内側ではなく外に広がる世界への挨拶だ。

  • 分散化社会の到来の先にあるミライとは希望なのだろうか

    セリフが多く、「」の多い文体が多少なり読みづらいだろうが最後まで読み進めて欲しい。 P2Pに変貌する社会システムと、個人の生き方、そしてテクノロジーとしての仮想通貨、金融サービスとしての仮想通貨それぞれの未来を占うにふさわしい小説。 冒頭で指摘した文体の点を加味してもあまりある程の示唆が得られる小説。 エドワードスノーデンやWeb3.0などに関心のある方はぜひお読みいただきたい。そして感想をシェアいただきたい。 この小説が描く未来のあり方の一説を、他の読者共に共に議論できることを期待している。

  • 現代のアジアを、現代の技術が変える。技術と経済の今を見据えるテクノロジ社会SF

    これは、今よりほんのちょっとだけ未来の話だ。近未来SFと呼ぶのも躊躇われる、たとえば1年ぐらい先の。 登場するのはどれも私たちがよく知っている、今そこにあるテクノロジやサーヴィスばかり。 つまりこれは架空の未来ではなく、現実の世界の物語だ。我々の日常に組み込まれたテクノロジの、ちょっとした陥穽が世界を大きく変える。 表題作「ハロー・ワールド」は、プログラミング学習に於いて最初に書く小さなコード、画面に”Hello,World!”と出すだけのあれを意味する。 プログラミングが専門ではない主人公がJavaScriptで書いたモバイル向けのちょっとした広告ブロッカーが、なぜかインドネシアでだけ妙に売れる。その理由とは── その他、カリフォルニアを舞台にGoogleの自動運転車やAmazonの配達ドローンが登場する「行き先は特異点」、タイを舞台に空撮ドローンをメインに据えた「五色革命」、日本と中国、TwitterとMastodonの絡む「巨像の肩に乗って」、そしてビットコイン経済を予測する「めぐみの雨が降る」。ほとんどがアジアを舞台に、技術がもたらす政治や経済への影響を描いてみせる。 “Hello,World!”に込められた意味が刺さる表題作だけでなく、”豊かさと自由に関係がないから、こんなに難しいんじゃないか”という一文が重く響く「五色革命」や、トップレベルの腕利きエンジニアに「雇いたい」と告げる主人公に「いいよ。高いけど」と返すエンジニアと、「今の倍払うって返しておいて」「何千万かしますよ」「それなら普通じゃない」投資家のこんなやりとりなど、とかく藤井太洋作品は言い回しや短かいフレーズがグッと来る。 ところで、主人公の文椎泰洋(ふづい・やすひろ)は”専門を持たない何でも屋”だという。海外の開発会社の折衝、新製品の立ち上げ、買収した会社との業務統合、DBの設計やサーバの確保、社員の再教育、量販店で自社製品のデモンストレーションも行なう。様々な分野を経験し広い視野を持つが突出した専門知識を持たないジェネラリスト。これは元システムエンジニアで国産3Dソフト「Shade」の開発やデモンストレーションなどにも関わり、iPhoneで小説を書いて電子出版デビューという経歴を持つ藤井太洋氏自身がモデルですよね。読みもふづいとふじい、泰洋は音読みでたいようだし。

  • (タイトルなし)

    とてもスタイリッシュな構成に2時間ドラマのような目まぐるしくも抑揚の利いたストーリー。 この物語を読んでいくと、僕はRPGのゲーム機の電源を切るタイミングを見失って夜更かししてはかりだった学生のようになってしまった! 楽しかった! ヒヤリとするなかにも暖かい明日を見せて頂きました。 子象の飼い主として感謝を。

  • ITが形づくる未来は明るいのか?

    希望のあるSFといえばの、藤井太洋氏の新作。 もはやSFとは言えないほど直近未来の技術に焦点を当てているがそのまなざしは公正で明るい。 更にアメリカ、日本、中国、タイ、シンガポールと国を越えながらも国情をまざまざと見せつける筆力は凄い。グローバルかくありきと思ってしまう。 なにより、正しさとは何なのかという問いを新技術に対してぶつけている姿勢は素晴らしい。 個人的には、タイの学生運動の話、仮想通貨の話が素晴らしかった。

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