日本の文学賞

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あおいの世界

講談社児童文学新人賞

あおいの世界

花里真希

花里真希『あおいの世界』は、父の仕事でカナダへ引っ越すことになった小学五年生のあおいを描く物語である。空想癖のため日本のクラスで浮いていたあおいが、異なる文化や学校生活の中で、自分らしさと人とのつながりを見つけていく。

海外生活空想自己受容異文化

作品情報

日本の普通から離れた場所で、あおいは自分の世界を少しずつ広げていく。

講談社刊、第60回講談社児童文学新人賞佳作受賞作。カナダ在住の著者による、移住と学校生活、空想による自己防衛と成長の物語である。日本で浮いていたあおいが、カナダの「普通」と出会い、自分を押し込めずに生きる方向を探していく。

レビュー要約

  • 読者からは、言葉や文化の違いに戸惑う主人公が少しずつ心を開いていく過程が印象的だと受け止められている。空想を否定せず、自分らしさへつなげる点も魅力になっている。

書籍情報

出版社
講談社
発売日
2020-07-16
ページ数
226ページ
言語
日本語
サイズ
13.4 x 2.4 x 19.5 cm
ISBN-13
9784065195048
ISBN-10
4065195047
価格
1540 JPY
カテゴリ
本/絵本・児童書/読み物

小学五年生のあおいは、父親の仕事の都合で、カナダに引っ越すことになった。 あおいには空想癖があり、ストレスを感じた時に空想すると、ストレスが緩和されるのだ。しかし、空想している様子が気持ち悪いと、クラスで浮いた存在になってしまった過去があるので、新天地のカナダでは、なるべく空想はしないで、普通にしていようと決めていた。ところが、カナダの普通は、日本の普通とは全く違う。学校は先住民の歴史を記念してみんなでオレンジを着る「オレンジシャツデー」やヒーローのコスプレをする「スーパーヒーローデー」など不思議な行事だらけで、あおいは戸惑うことばかり。隣の家に住むゲイカップルや、クラスメイトのアディソンの影響もあり、あおいは、普通でいようとする努力をやめることに・・・・・・。 九月最初の火曜日なのに、こんなに寒いなんてさすがはカナダだ。今にも雪がふり出しそうな白い空を見上げて、日本はまだ夏なんだろうなあと思った。うんざりしていた暑さが、なんだか恋しい。暑さが恋しいんじゃなくて、日本が恋しいのかな。あんなに居心地が悪かったのに、変なの。 空に向かって両手を広げて、全身に冷たい風を受けてみた。寒くて体がカチカチになる。冷とうイカになったみたい。本当にイカになれたらいいのになあ。そうしたら、カナダの学校なんかに行かなくていいもん。 「あおい。なにやってるの。早く車に乗りなさい」 お母さんが、カギをかけながら言った。 「あ、はーい」 こんなことやってたから、居心地が悪くなったんだった。ふつうにしてないと、ここでも居心地が悪くなっちゃう。──本文より。

一九七四年、愛知県生まれ。カナダ在住。 東海女子短期大学卒業。 2015年、『しりたがりのおつきさま』で第七回 日本新薬こども文学賞最優秀賞受賞 2019年、「あおいの世界」で第60回講談社児童文学新人賞佳作受賞。

レビュー

  • カナダの小学生の日常と友情を淡々と描く。でも面白い。

    中2の娘が読書感想文を書くために図書館で借りてきた本です。娘曰く、いい本だから手元に置いておきたいというので注文し、私も読みました。 話の内容は、あおいという小学生の女の子が、親の都合でカナダに留学することになり、英語もあまり得意でない中で奮闘するというお話です。カナダの学校の日常、家族の中でおきたちょっとした事件、そして、新しい学校で出会った新しい友達との親交が淡々と描かれます。特に派手な展開があるわけではなく、スカッとする結末があるわけでもありません。日本の教育に比べてカナダの教育の方が良い、と力強く主張するわけでもありません。 でも、読書感想文に何を書いたらいいかと娘と話をすると、一つ一つのエピソードについて強く印象に残っていることに気づかされます。結局、娘は、あおいと友達の友情を中心に感想を書いたようですが、先生の話もかきたかった、お隣さんの話も書きたかった、いじめっ子の話も書きたかったと、なかなか書くことを絞れなかったようでした。 読んでいる我々にとっては淡々とした日常に見えるけど、あおいにとっては毎日が重大事件の連続のようなもの。そのあおいの心の動きが我々の心を静かに揺さぶっているように思いました。

  • 私の感じていること、ととてもリンクしていて主人公の気持ちが理解できたし、自分の理解にも繋がりました。

    まず、表紙の絵がとても気に入って手に取りました。 作中の物語もカナダの学校の様子がく分かり、そして日本の学校との大きな違いに驚きと羨ましい気持ちが生まれました。 主人公の行動が私にはよく理解でき、それとも共に不安や恐怖が些細なきっかけ(一人でもいいので分かってもらえるという事)で和らぎ、その後変化していく様子は読んでいてとても嬉しかったです。

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