作品情報
第14回小説現代長編新人賞奨励賞受賞作。独特のリズムで殺人と破滅への道程を描いたデビュー作。
書籍情報
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 2020-09-16
- ページ数
- 251ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 13.7 x 2.4 x 19.5 cm
- ISBN-13
- 9784065203309
- ISBN-10
- 4065203309
- 価格
- 1650 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
なんの捻りもないコメントだけれど、捻る間も惜しんで勧めたい。 とにかく読んでください。自分が書いたことにしたいくらい大好きな作品。 ーー尾崎世界観 (クリープハイプ) 29歳、戦慄のデビュー。第14回小説現代長編新人賞 奨励賞受賞作。 関西弁で押し進めるテンポが軽やかで、少年期を関西圏で過ごした私には妙に納得が行くリズムと“間”があって、この作者の声が聞こえて来る気がした。少年期の多感な情熱と、不安、悩みもよくうかがえた。これは文章における才能である。 ーー伊集院静 一番に推した。(略)全体として密度が高く、エモーションや怒りのようなものが持続し、台詞も臨場感のあるものだった。また、永山則夫と比較される覚悟を感じ、その点に特に好感を抱いた。 ーー宮内悠介 【内容紹介】 ある日、死刑囚・中村は、出版社の社員から、これまでの半生について手記を書くよう手紙で促される。そこで中村は自身の半生と、因縁の男・島田との関係を綴り始めることになった。困窮した家庭に育った中村と、地元でも有数の実業家一族の島田の二人は、一度は中学で同じ不良グループに属していたが、島田の度重なる裏切りに業を煮やした中村が殴り合いの喧嘩の末、島田と縁を切ることに。 その後、上京して会社員となり、結婚して幸福な生活を送っていた中村は、父の重篤の報を受け、看病のため久しぶりに帰郷する。そこに一族の経営会社を引き継いだ島田が現れ、二人は十数年越しに再会を果たす。直後に襲った株価暴落もあり、過去の蟠りを払拭して彼の会社に入社することを決意した中村だったが、そこにはなんと犯罪や不貞が横行する世界が待ち受けていたのだった。島田に妻を寝取られ、またしても裏切りにあった中村は、遂に怒りを爆発させ、凶行へとひた走るーー。
1991年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。YMCA学院高等学校卒業後、色々な職を転々とする。本作で第14回小説現代長編新人賞奨励賞を受賞した。
レビュー
-
饒舌体で語られる死刑囚の人生。軽快なリズムと絶妙な間の文章が素晴らしい。
死刑囚の独白が延々と続く小説。小学校、中学校、高校での悪友たちとの交流、そして社会人になり、最後は殺人に至るまでをすべて主人公の独白で描いている。 読み始めて、この独白につきあえるかな、と思った。会話が少なく、ひとつの文章が長いので、読みにくいかな、と思ったのだ。でも、それは杞憂だった。10ページほど読みすすんだら、むしろこの独白が心地よくなった。延々と続く独白だけど、長い文章も句読点の打ち方が絶妙で、軽快なリズムと絶妙な間のある音楽を聴いている感じ。饒舌体、ともいえる文体だけど、太宰治ほど自意識過剰でなく、野坂昭如ほど戯作的、偽悪的でない。死刑囚が振り返る人生は、とりたててドラマチックな人生ではないけど、なにか自分の青春時代を思い出しながら楽しく読めた。なお、最後の犯罪を犯すというところはちょっとリアリティがなかったけど、独白という構成上、死刑囚にしたかったのだろうか。 本書は著者の最初の小説、小説現代の長編小説新人賞の応募作で、新人賞は受賞できなかったけど、伊集院静と宮内悠介が強く推し、特別に奨励賞を受賞した作品。やたら改行が多かったり、会話ばかりで構成している「ページ数かせぎ」のようなライトな小説が氾濫しているなかで、このような文章を書く素晴らしい作家が誕生したことを喜びたい。次回作を期待します。
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