日本の文学賞

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Cocoon 修羅の目覚め (講談社文庫 な 98-1)

小説現代長編新人賞

Cocoon 修羅の目覚め (講談社文庫 な 98-1)

夏原エヰジ

天明の江戸・吉原を舞台に、花魁の裏の顔を持つ女が鬼退治に挑む滅鬼アクション。

江戸吉原鬼退治アクション

作品情報

第13回小説現代長編新人賞奨励賞受賞作。『Cocoon』はのちに『Cocoon 修羅の目覚め』として刊行された。

書籍情報

出版社
講談社
発売日
2020-08-12
ページ数
272ページ
言語
日本語
サイズ
10.8 x 1.1 x 14.8 cm
ISBN-13
9784065206270
ISBN-10
4065206278
価格
693 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品

時は天明。江戸では、夜になると「鬼」と呼ばれる異形の怪物が出没するようになっていた。 強い恨みを抱いて死んだ人間の成れの果て、鬼。並の人間では歯が立たないほどの力を持ち、人々を襲う。 そんな江戸、吉原にある大見世の黒羽屋には、花魁として名を馳せる瑠璃という女性がいた。 ひとたび道に出れば、あらゆる人を虜にするほど美しい瑠璃。 しかし、瑠璃には鬼退治の闇組織「黒雲」の頭領という裏の顔があった。 四人の仲間とともに、瑠璃にしか抜けない刀「飛雷」で鬼を斬り倒し、密かに江戸の平和を守っているのだ。 だがある日、瑠璃の遊女仲間で唯一の理解者の津笠が失踪。 動揺を隠せない瑠璃に無慈悲な運命が襲いかかる。 激しい熱が迸る圧巻の滅鬼譚、開幕。

1991年千葉県生まれ。上智大学法学部卒業。2017年夏、突如思い立って本作を書き、勢いで応募。第13回小説現代長編新人賞奨励賞を受賞し、いきなりシリーズ化が決まる。石川県在住。

レビュー

  • 処女作なのにすんなり世界観に入れる文章力に脱帽

    これが処女作なのが信じられないくらい文体がスッキリしているし構成もしっかりしている。 不可思議なことと人情や悲哀にテンポの良さが丁度良い。江戸ものが好きなら刺さるのではなかろうか? シリーズ化が決まってはいるが読者が知りたいと思う謎を基本的には先延ばしにせずある程度本作にきちんとおさめてくれているのも良い。 但し帯の紹介文はどうだろう? 十二国記は未読なため分からないが、しゃばけほど妖は活躍しないし陰陽師はそもそもアクション感なんてない。陰陽師を本当に読んだことあるのだろうか?映画の陰陽師を観ただけなのではないかと思う。 西條奈加や宮部みゆき寄りの作品に近い雰囲気があるかと考える。仁木英之に近いものもあるがそこまで回りくどくない。

  • 江戸の花魁が鬼退治!異色の時代小説

    江戸時代を舞台に、美しい花魁の瑠璃が鬼退治に奔走する物語。千住に出没する鬼退治の依頼があった。瑠璃は、髪結いの錠吉、料理番の権三、そして結界を張ることができる幼い双子の豊二郎・栄二郎といった個性豊かな仲間たちと共に、この難事に立ち向かっていく。 本作の見どころは、華やかな花魁の世界と、陰惨な鬼退治という一見相反する要素を巧みに融合させた世界観だ。物語が進むにつれ、瑠璃の過去や、彼女が背負う悲しき宿命が徐々に明かされていく。これらの要素が、単なる娯楽作品を超えた奥行きを本作に与えている。

  • 表紙も内容も素敵!!

    書店でたまたま5巻が発売されていて、「あ!マツオさん!!」と好きなイラストレーターさんの絵に吸い寄せられました。絵がこれだけ出来上がっているのでイメージ先行しちゃうかと若干心配しましたが、ご無用。 これこの通り、美貌の極みともいえる黒羽屋の花魁「瑠璃」の物語。 瑠璃は楼主とお内儀が請け負う裏稼業の頭首として顔がある。 恐ろしい身体能力、そして再生能力を持つ瑠璃の謎。 そうかと思うと、可愛らしい瑠璃のひねくれた孤独感が人間らしさにあふれていて決してサイボーグのような主人公ではない。軽やかに読めると思いきやテーマはなかなか深い。 物語の絵が想像出来るほど細やかに鮮やかに描かれている物語なので、是非これは映像化してほしい。 既存の時代劇ジャンルではなく、この表紙を持ってきたことで読者層も広がるのではないでしょうか。 出版社のチャレンジ精神を感じます。良いです!!

  • 面白いです、

    江戸の香りはしませんが「しゃばけ」が江戸ものと感じられる人には問題ないでしょう 表紙がいただけません 最近はこういう装丁増えてますが何歳ぐらいの読者を狙ってるのですか?

  • 文庫で続きの販売を期待

    楢紅(ならく)の登場の仕方が巧妙。恐ろしさと不気味感底知れぬ強さは、姿を想像しがたいくらいインパクト有り

  • 今までにない世界観。

    吉原の花魁が鬼退治をする。 既存の吉原を舞台とした小説には全くなかった新しい切り口にワクワクした。 主人公はさることながら、花魁を支え守る若い衆、賑やかな妖怪、悲しい存在の鬼も、キャラクターがどれも魅力的で互いに調和を生んでいる。 笑いあり、涙あり、アクションありの内容で、聞き慣れない専門用語も多いがテンポよく引き込まれた。吉原の影の部分と鬼が抱く影がシンクロしていく展開は見事。終盤で急展開が起こるが、読了後にサブタイトル(?)を見直すと、なるほどこういうことかと。シリーズものということらしいので次作にも大いに期待が持てる。狸が可愛い。

  • 題材は流行りのものですが

    いくらなんでもここまで自由な花魁はおらんやろどんだけ緩々やねん…というのが、そこそこ時代小説を読んできて時代劇も観てきた者の第一印象だった(勿論吉原関連のことも素人が調べられる範囲で調べたこともある)。 見世いちばんの売れっ妓だからといっても特殊な女性だからといっても、吉原のおんなとしての悲哀も気概も何も感じられない。つまり薄い。 それにしても。 作者さんの勢いと思いが強すぎてなのか、これでもかこれでもかといっぱいに詰め込まれていて、却ってガチャついたイメージの作品だったように感じる。 吉原や登場人物の描写が親切丁寧すぎ、その結果スルスル読めてしまう。情景を咀嚼する間もなかった。人物像を想像する間もなかった。そういう意味では一気読み出来る作品だった。 「この本読んで吉原の事もっと知りたくなった!ほかの作者さんの本や特集されたムック本とか読んでみよう」くらいの余地を残しておいてもらった方が、こちらとしては有難かったのだがそれは余計なお世話、というものだろうか。 蛇足だが、池波正太郎氏の「幕末遊撃隊」を同時期に偶々読んでいて、巻末の重里徹也氏の解説がとてもとてもこころにストンと落ちた。 「文章とは形容詞から腐っていくものだというのは、私の敬愛する作家、開高健がいっていた。形容詞はきらびやかで、口当たりのいい甘さがあって、時に目にまぶしい。しかし時間が経つと真っ先に腐乱していく。」 「池波は形容詞をあまり使わずに人間模様を描き出していく。人物を描く時に、形容詞を使わずに形容する。だから池波正太郎の文章は腐らない。いつも、みずみずしく新鮮なのはこのためでもあるのだろう。」 力量はとてつもないものを持っておられると思う。 無駄を排した、キレのある作品をもっと読んでみたいと感じた。

  • ファッション花魁、だがそれが良いのか

    闘う花魁が主人公。朋輩の間夫すら魅了してしまう美しさ、冒頭の戦闘で仲間たちがかすり傷すら付けられない敵相手に「退屈だからそろそろ終わりにしていい?」と言えてしまう余裕、およそ欠点がほとんどないキャラクターには「僕が考えた最強の主人公」感が否めない。ペンネームは男性的だが、仮に作者が男性であれば、理想の女性像をそのまま主人公に投影しているのだろうか。 さらに主人公は見世でも超の付く特別待遇である。そのため、一般的な吉原物に見られる花魁の悲愴さは主人公に関しては一切なく、それ故に感情移入はしづらい。最強主人公物でスカッとしたい人にはハマるが、胸を打つ切なさや花魁たちの美しくも儚い悲壮感を求める人には合わない。装丁や、キャラクターデザインに力を入れているところを見ると、題材に反して、かなり若者向けの作品である。 そして、気になるのが帯のあおり。「しゃばけが好きなら」とあるが、妖怪たちの登場はごく一部であり、作品全体としては「しゃばけ」のような人情溢れる話ではない。妖怪の一つ一つは作り込まれているが、あくまで妖怪たちは最強主人公の添え物にすぎない。これで「しゃばけ」を引き合いに出すのはいかがなものか。 さらに、単純にフォントが見辛い。平仮名のみ特殊なフォントを使っているようで、平仮名がちの文章はミミズがのたくったようになっていて酔ってしまいそうだった。 続き物のようなので、先に述べた点はこれから描かれることなのかもしれない。それならば読みたいとも思うが、平仮名のフォントだけは改善してくれねば、この歳ではなかなか手が出にくい。

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