作品情報
酒を断てない人生の切実さを、笑いと死の気配のあいだで描く。
『今夜、すべてのバーで』は、中島らもの代表的長編で、山本周五郎賞候補および吉川英治文学新人賞受賞作として知られる。酒を飲み続ければ命に関わると告げられながらも断てない主人公が、入院先で出会う人々との会話や現実との対峙を通して、自分の生を見つめる。新装版は講談社文庫、368ページ。
レビュー要約
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重い題材を扱いながら、会話の面白さと人物の可笑しみによって読みやすさを保つ点が支持されている。依存の苦しさを直視しつつ、乾いた笑いが作品の救いになっている。
書籍情報
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 2020-12-15
- ページ数
- 368ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 10.8 x 1.5 x 14.8 cm
- ISBN-13
- 9784065220979
- ISBN-10
- 4065220971
- 価格
- 814 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
どうしても酒を飲まずにはいられない人生について。 「この調子で飲み続けたら、死にますよ、あなた」 それでも酒を断てず、緊急入院するはめになる小島容。 ユニークな患者たちとの会話や担当医師との対話、 ときおり訪れる、シラフで現実と対峙する憂鬱、 親友の妹が繰り出す激励の往復パンチ―― 「飲む人間は、どっちかが欠けてるんですよ。 自分か、自分が向かい合ってる世界か」 劇作家、ミュージシャン、放送作家、ラジオパーソナリティ、小説家…… 尼崎に生まれ、独創的なユーモアで幅広く活躍した中島らも。 実体験をベースに、生と死のはざまで揺らぐ人々を描き、 吉川英治文学新人賞に輝いた著者の代表作が新装版になって再登場! 没後20年を経ていまなお読者の心をつかんで離さない、 すべての酒飲みにささげるアル中小説のロングセラー。
1952年、兵庫県尼崎市に生まれる。大阪芸術大学放送学科を卒業。ミュージシャン。作家。『今夜、すべてのバーで』で第13回(平成4年)吉川英治文学新人賞を、『ガダラの豚』で第47回(平成6年)日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞した。2004年7月26日、転落事故による脳挫傷などのため死去。享年52。
レビュー
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アル中にはなりたくない
さまざまな文献を参考にしているだけあり、アル中描写がとてもリアルで生々しいところが非常に良かった。 主人公・小島容のなんともな人間味。小さいことにもプライドがあり、誘惑には負けてしまう。酒はそこまで得意ではないが、かなり感情移入して読むことができた。 終盤、タイトルを回収したところはグッとくるところがあった。 私はちびちび酒を飲んでいこうと思う。
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寝る前の読み物に
アル中の主人公の物語。基本的に読みやすい。酒飲みにありがちな世間への批判的考えが、著者の風刺を反映させている。 ハッピーなきもちにはなれない。 あなたが大酒のみ、酒に溺れるタイプなら、読むと面白いかも知れない。 これを読むとすぐに眠くなる、睡眠導入にも。
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酒と病気と様々な愛の話
下戸の自分には想像し難いお酒の話に、まつわる病気の話を軸に進みます。ミステリーではなく、ファンタジーでもなく、ジャンルを例えられませんが、惹き込まれる内容でした。感慨深く読ませてもらいました。
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全ての酒好き必読の良書
全く事前知識がなく、楽しいお酒の物語かと思ったら、アル中患者のリアルな闘病記でびっくり。書籍タイトルやお洒落な表紙デザインに完全に騙された…。でも有名作のようで、単に自分の勉強不足を恥じるばかり。 ウイスキー好きで毎日飲まずにいられない自分にとって、かなり身につまされる作品。酒飲みの浅ましさがイヤというほど生々しく描かれている。 酒の害について医者に理屈で語られても全く響かないが、著者の自伝的小説ということで、言葉のひとつひとつがやたら心に刺さる。己のウイスキー・ライフを見直すいい機会となりそうで、大いに感謝したい気分だ。 エンタテイメントとしては、アシスタント女性との関係がいい感じで描かれていて、ラスト1行でしっかりタイトル回収されるのもとても良い。
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この本は私の飲酒バイブルです。
これ、私のお酒バイブル文庫本です。禁酒もしかり、痛飲もしかり。 結局お酒がうまいのは(お酒とは:ビール、ワイン、焼酎、酎ハイ、日本酒など全般ね) 健康が基本ですね。第一に胃、第二に肝臓。 又、食べながら飲むことは大切です、胃をいたわりましょう。
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飲みながら読む
健康を気にしながら不健康に生きるのは、仕方がない。 けれど、せっかく先人が身をもって人生の症例提示をしてくれているのだから、目は通しておきましょう。 読んだからと言って酒量が増えるわけでも減るわけでもありませんが。
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身体感覚を共有できる
町田康さんのつながりで久しぶりに読書をしてみたくなって手に取った。 以前から作者はテレビで見たことがあったが、本を読んだのは初めてだった。 実体験に基づくと思われ、半分私小説、半分創作かなと思いつつ読み進めていった。 文章が読みやすい。作者の身体感覚を共有しやすいように感じた。
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人間に通底するものを射貫く
才気にみちた文体で、人間とは何かを問いかける。筆者は高校から酒びたり、ドロップアウトし、売文家として生きる。その生きざまが、文体に斬れ味を増し、滋味を添える。アル中文学の傑作と評判だが、52歳で階段から転落して、亡くなる。中島らもは、YouTubeでも人気。人間に通底するものを射貫く力は、いつまでも読みつがれるだろう。
関連する文学賞
- 山本周五郎賞 第4回(1991年) ・候補