作品情報
混乱と哀しみのなかで、世界は少しずつ奇妙なやさしさに包まれていく。
集英社文庫版は2010年刊。友人に崖から突き落とされてバスケットボールを失った少年の前に、奇妙な科学少年やオカルト少女が現れ、世界の輪郭が変わっていく。第19回小説すばる新人賞受賞作として、日常と幻想が交差する独特の青春小説になっている。
レビュー要約
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不穏な出来事の連なりと、少年の喪失感を同時に抱えた読み味が好意的に受け止められている。奇妙さだけで押し切らず、青春小説としての切なさや余韻が残る点に魅力があるという声が多い。
書籍情報
- 出版社
- 集英社
- 発売日
- 2010-01-20
- ページ数
- 328ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 10.5 x 1.4 x 15.2 cm
- ISBN-13
- 9784087465273
- ISBN-10
- 4087465276
- 価格
- 628 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
ぼくを混乱と哀しみに突き落とし、あいつは町から消えてしまった──。 中学生の幸彦は、友人綾瀬に崖から蹴り落とされて、大好きなバスケができない身体になってしまう。無気力な日々を送るなか、やがて奇妙で不可解な現象が起こり始め……。繊細にして圧倒的スケールの青春小説! 第19回小説すばる新人賞受賞作。
レビュー
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10代の青少年に読んでほしい
子どものころに誰もが一度は感じた苦い経験や埋められない溝ができてしまった気まずさなど暗くなりすぎず上手く表現されてると思った。 また登場人物がみんな魅力的で大好きです。 高校生の時に読みましたが共感できる部分に加えSFやファンタジーが絡み読んでいると不思議で美しい光景が頭の中に浮かびます。 最初から最後まで飽きる事なく読める 美しくて儚い友情の物語です。
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がっかりです。
どなたかも書いてましたが、確かにこれで本当に受賞作なのかと疑ってしまいました。 正直文章は稚拙ですし、無駄なセリフが多い気がしました。 始まり方は事件性に満ちているし、キャラクターは個性的で良かったのですが、 展開がどうもダラダラとしていてテンポが悪く、あまり先を読みたいと思いません。 せっかく買いましたし、最後まで読まずに判断するのもどうかと思いましたが、 途中から苦痛になり、断念せざるを得ませんでした。 残念です。
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なんとなく覚えのあるもの。
中学・高校生の頃は、同性の友達がなにより大切で、家族でした。 ごく自然に守り、守られて過ごしていたように思います。 ごくあたりまえに相手を想い、想われ、あたりまえのように 今からおもえば、いきすぎた執着。 それが、清涼な空気の中に矛盾もせず、反発もせず、純粋に存在した時代。 この本を読んでそれを思い出しました。 ユキと中川、ユキと綾瀬。二人の関係の対比がおもしろかったです。 綾瀬の葛藤を、ユキは成長の中で体感し、中川によって気づかされる。自らが気づくべきもの。 しかし、気づいたときには、綾瀬はもうケリをつけていた。 自己完結して、終わらない未来に駒を進めてしまっていた。 ユキにはそれが歯がゆく、しかし綾瀬のことを逃さない。 自らも逃れない。 「またいつか」は、その先にある。 再びユキと綾瀬として、二人が友達として、接する日。 闇にいるようなものだ。太陽はそんな二人を照らしてくれない。 ただかりそめの光が満ちている。「でかい月だな」。 ・・・なんだか懐かしくて、おもしろかったです。
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奇人と変人の物語?
主人公の「ボク」や、主人公を蹴落とした親友?の綾瀬、そして科学オタクの中川、邪眼のカゴメと、 主な登場人物が、かなりの奇人変人揃いだ。そして、主人公が見たものは、幻想・妄想だったのか? 舞台は普通の?中学校で、主な登場人物も中学生なのだが、変わった人物が次々と登場する、 なんとも変った物語だと思った。
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SFちっくとは言ってもオーソドックスな話
好き嫌いが別れる作品です。 理由はキャラクター。他の方がエヴァンゲリオンに似ていると指摘されていましたが、 確かに近年のアニメのようなキャラクター作りだと思います。 私は馴染めませんでしたが、読書量の少ない若年層か女性には受けそう(まぁ、私も女性ではあるのですが)。 こういう中学生が、「いたらいいなぁー」と思えるか、「いるわけないって」と思うかで面白さが違ってくるのかな。 作品自体は、途中、かなり間延びする感はありますが、展開としてはオーソドックスです。 起承転結がわかりやすく、上手くまとまっていると思います。 途中のSF的展開は、もっと手前で伏線を張っておけば、もう少しすんなり受け入れられたかなと。 見えない魚?という存在で作品テーマを強調することは、アリかなと思うのでそこが残念でした。。 好き嫌いで言えば私は苦手なタイプの小説でした。 ただ、好きな人がいるのもわかるかなぁ、っていう作品です。 クドイと感じる部分やダレる展開もありましたが、 新人賞を獲られただけあり、作者が描きたい世界観は伝わってきました。
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溶け残っちゃうほど、特別な子供ではないかもね
(ネタバレありです。気をつけて) たまたま手に取る機会があり、なんの先入観も持たずに(あらすじさえ読まずに)貪るように読みふけること2時間。 先ほど読了しました。 レビューを見てみたら、ふむ、スバル文学賞ですか。 おお、たしかに裏表紙に書いてありますね。 ははあ、なるほど…。 賛否両論。 …正直、どちらの気持ちも分かります。笑 この物語の中で、私は人生で初めて『ツンデレ』キャラ(なのでしょうか?かごめは。)に遭遇しました。 ライトノベル的なものは読んだことがないので、これが噂のツンデレか!と衝撃。 まあ、デレてはいなかったような気もしますが。 このように万事に経験不足の私ですから、この話の奇抜な人物造形や、ファンタジー的な要素は、読んでいて、確かに不可解ではありました。 ユキの目線で語られる不条理で不思議な世界。 不可解ですが、私は好きです。 魚と月とイタコ(笑)に、ある種のリアリティーさえ感じました。 そう感じさせる作者の力量(まあ、力業かもしれませんが)に舌を巻きつつ、 ああ、でもこれは苦手な人もいるだろうな、とも思いました。 被害者である思春期の少年が、周囲や家族との軋轢を抱え、それでも自分を取り巻く世界となんとか折り合いをつけたいと願ったとき。 厳しい現実をいきてゆく少年を描いたまっとうな青春小説ならば、そこに魚と月とイタコが出てくるのはやはり反則なんでしょう。 それにしても、主人公のユキはほんとに不思議な子ですねえ。 綾瀬に蹴り落とされているまさにその瞬間にも、月が綺麗、なんてのんきに考えているんですから。 大物です。 だから、命のスープにもとけ込めず、一人残ってしまったのかしら。 個人的には、ユキにも溶けて欲しかったですけどね。 だって寂しいじゃない。 ほんとうに、ほんとうは、人はひとりだけれど、心で思っているのと、実際に溶け残っちゃうのとでは寂しさの質が違うものね。 それに、あそこでユキを溶け残させるほど、ユキを特別な子供にして欲しくなかった、という思いもある。 …ので、★4つ。 レビューなのに、ながながとすいません。
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タイトルとペンネームで選んだけど私は楽しめなかった
他の方も書いておられるが、キャラクターがどれもセンチメンタルな感じで、家族の反応なども斬新さがなく、感情移入できなかった。 ストーリーについては「キャラバン」(やさしさをもたらす超常現象)もとってつけたような感じで、「でかい月だな」という最初と最後(クライマックス)のせりふにも感動しなかった。 話が起承転結の「転」に来るまで我慢して読んだが、この話は超常現象を述べたいのか、ただの学園ドラマなのか、傷つきやすい若者の青春物なのか、わからなかった。とても退屈だった。 クライマックスで加害者の少年と、主人公の少年が語り合い、主人公の少年が「花火とバーベキュー」をこれから提供してくれよな、と言うところはしらっとした。たかが「崖から突き落とした」くらいで二人の友情は壊れるべきではない? それこそ「キャラバン」がもたらした雰囲気で、主人公の少年が本の前のほうで言っていたように「気持ちが悪い」。 上手に書けているから新人賞を獲ったのかもしれないが、私の人生には関係ない話だし、娯楽としても楽しめなかった。 ひとそれぞれ感じ方はあるので、他の評価の高いレビューのように「はまれる人ははまれる」のだろうが、私はぜんぜんダメだった。タイトルとペンネームから期待したものとは違う話だった。
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珠玉の作品!
最初は極普通に読み進めていた、しかし途中から「何、これ…凄い!」と、なかば興奮気味に夢中になって読んだ。 何が凄いかと言うと、文章が非常にシンプルで洗練されており、一切の無駄が無かったからである。(意図的なのか、異常に削ぎ落とされた文章だと感じた) 故に情景や台詞の一つ一つに深さと重さが感じられるのだ。 ミステリーを好んで読んできた私には、行間を深読みする悪癖がある。ついでに想像力も逞しい。深読みした行間が、後に正しい解釈だった喜びは、抜けていたパズルピースがハマって行く快感に似ている。気分は最早探偵だ。 「状況説明求む!」と困惑気味の方には、つまらなく感じられる作品かもしれない。だが一読の価値はある、果敢にチャレンジしてほしい。 かつて私にも、思春期特有の危なっかしいさがあり、他者からの心無い一言に激しく動揺し「いっそ校舎の屋上から飛んでしまおうか」と、よく自暴自棄になったものだ。状況が少しでも悪く傾いていたなら本当に飛んでいただろう。 そんな思い出をオーバーラップさせて読んだものだから、予想以上の相乗作用があった。 かくして当然のごとく「お気に入り」となった。特に、古傷有る者にお薦めだ。 PS、私は一般人なので、上記の「技術的評価」のくだりは信憑性に欠けるだろうが、作家志望の息子が(冒頭の同箇所を)絶賛していたので、重複するが敢えて言いたい。 「是非、沢山の方々に読んで頂きたい」と。 ※内容に触れなさ過ぎたので、追伸。内容に関しては、2007/7/14記載の↓ ★★★★★「他のひとの評価そんな高くないですが…」の(まるも)さんと同意見なので、其方を御覧下さい。 他力本願でスミマセン。
関連する文学賞
- 小説すばる新人賞 第19回(2006年) ・受賞