書籍情報
- 出版社
- 集英社
- 発売日
- 1988-07-01
- ページ数
- 244ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784087493580
- ISBN-10
- 408749358X
- 価格
- 2266 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
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レビュー
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もっと注目されてよい名著
日韓併合後、朝鮮の実家を10代で家出し、朝鮮人であることを隠し、九州で洋服仕立て人として貧しいながら日本人の妻と3人の子を養った寡黙な父。その長男である主人公の海軍兵学校不合格の理由が戸籍上の問題であったことから、父は息子のために意を決し、30年間いちどの便りも出していない実家を訪れ、母国の肉親のなかに犯罪歴を持つ者がおらず、自分の系譜が汚れていないという証をたてる。父の死後、長男はソウル在住の親族を初めて訪ね、その時の父の様子や、「家出」の理由を親族に尋ねようと試みる。 ちなみに、著者は朝鮮人に対する創氏改名や内地連行の「強制」などが周知の事実であるとし、朝鮮人が戦前、日本人から多大な不利益を被った、という立場で本書を著している。その「強制性」はなかったことが明らかになっている現在、本編をとおして表現される著者の被害者意識は慰安婦問題のそれを彷彿させてしまう。 しかし、そのことを差し引いても、本書が名著であることは否定できない。寡黙な父の心の中についつい想いを巡らしてしまう、そんな力を感じさせる。なかでも、主人公が父の位牌を胸にソウルの親族と会う場面は、ある意味、圧巻。20年ぶりの再読だったが、胸に込み上がってくるものは、当時と変わることはなかった。
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