日本の文学賞

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三月の招待状

島清恋愛文学賞

三月の招待状

角田光代

『三月の招待状』は、離婚パーティの招待をきっかけに、学生時代から続く男女の関係が揺れ直す連作長編。年月を経た友情と恋愛のずれを描く。

友情結婚離婚恋愛

作品情報

招待状は、終わったはずの関係をもう一度動かし始める。

集英社刊。三十代を迎えた男女の集まりを軸に、結婚、離婚、同居、新しい出会いが交錯する群像劇として展開する。

レビュー要約

  • 会話の温度や関係のずれをすくう筆致が好まれている。大きな事件よりも、生活の選択が人を変えていく静かな手触りを読む作品として支持される。

書籍情報

出版社
集英社
発売日
2008-09-05
ページ数
288ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784087712452
ISBN-10
4087712451
価格
2439 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

新たな門出を祝う34歳の離婚式。 友人の風変りな離婚パーティで顔を合わせた5人の男と女。動揺、苛立ち、虚しさ、自分を取り戻そうとするのだが、揺れるこころが波紋をなげる。それぞれが見つける新たな出発を描いた長編小説。

1967年、神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。1990年『幸せな遊戯』で海燕新人文学賞を受賞。96年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、98年『ぼくはきみのおにいさん』で坪田譲治文学賞、03年『空中庭園』で婦人公論文芸賞、05年『対岸の彼女』で直木賞、06年『ロック母』で川端康成文学賞、07年『八日目の蝉』で中央公論文学賞を受賞。

レビュー

  • 出会いと別れの妙

    いくつかのカップルが登場して、それぞれ別れたり結ばれたりする。 それぞれのカップルに起きた出来事が面白い小説です。 いつの世も、男と女は出会い、別れ、そしてまた出会い・・と繰り返していくのだなと納得しました。

  • 出会って15年揺れる姿

    女性3人、男性2人、大学時代の友人5人の物語、出会って15年それぞれの揺れる姿、 そして通り杉田いくつもの光景を思いだしながらの流れるような濃やかな心理描写がこの 作品を惹きたててる、''無関心とやさしさをはき違えたり'%剞緒鰍ノ角田ワールドが入っ ておりお薦めの一冊である。

  • これが時代の気分なのか

    初めはいわゆる団塊ジュニア世代のための小説なのか?と思いましたが、世代論的なキャラクター造形は全くしていません。登場人物たちには、大学を出て自由業に就き学生時代の雰囲気をずっと引きずり続ける人々特有のにおいがし、むしろこれは著者周辺の人間模様をそのまま描いている私小説的なものではないでしょうか。 角田さんの小説における登場人物たちはたとえ結婚していても、子供を持っていてもそこには旧来の「名前のついた役割」を持っていないことが多いように感じます。この作品中でも、「名前のついた役割」に殉じようとしていた人物の結婚関係は破綻しかけ、離婚したカップルは他人になりきれず、だらだらと知人であり続けようとしています。結果、特別なカタルシスも破綻もないまま作品は終わります。 友人として横のつきあいを維持しようとし続ける人間と対比的に、役割の無い人間関係への恐怖からその価値を認めず、夫婦や家族という「役割のある人間関係」を求める人物が登場してきます。彼女のモノローグはあっというまに終わってしまうのですが個人的には作品中におけるトリック・スターとなるであろう彼女をもっとクローズアップさせてほしかった。 テーマは悪くないのですが全体に漂う雰囲気が自家中毒的であるのが不満なので☆3つです。

  • これ、新品なんですね

    話題の作家ものをアマゾンさんで見つけて新品かどうかも確認せずに注文しました。他の本と同時に届きましたが、梱包は簡素でしたが問題なく、本自体も綺麗でした。作品は期待した通りの物で、妻は3日足らずで読了しました。

  • ここに書いてあるのは自分のことだ、と思わせるうまさ

    充留(みつる)は芸能関係のライター。けれど実は芸能人なんかに全然興味はない。本当はまじめなノンフィクションライターになりたいのに、食べていかねばならないので思うにまかせない。そんな充留のマンションにはボーイフレンドの重春が同居している。重春はウェブデザイナーらしいが、たいていゲームばかりしている。そこへ届いたのは大学の同級生同士で結婚した正道と裕美子の離婚パーティ招待状だった・・・。 登場人物は7名。この充留&重春カップルと正道&裕美子カップル、そして正道の新しい彼女で演劇をやっている遙香。他のみんなが34歳なのに対して彼女だけは25歳と若い。そして大学当時、同じグループにいた麻美と宇田男。麻美は安定した会社員の夫を持つ専業主婦で子供はいない。宇田男は大学生の頃から才能ある新進作家として派手にもてはやされたものの、今ではニート同然に落ちぶれている。 充留はいつもうちにいて、のほほんとゲームなどやり、それしか作れないパスタばかり食べさせる重春にちょっとうんざりしている。正道と裕美子のカップルは大学当時から何度も別れと再縁を繰り返していた。とうとう離婚することになり、裕美子は正道がいない世界を知り、思いがけずそこには楽しいことがいっぱいあるのだとわかる。正道の方は、なし崩し的に遙香との同居に持ち込まれ、「離婚して私を選んでくれた」風に感激されたことに白けている自分にとまどう。そして、離婚パーティで久々に再会し、宇田男にホテルに誘われた麻美は、自分でもよくわからないままについていって関係を結んでしまう。 角田さんの作品に接するのはまだ3つめ。「東京ゲストハウス」、先日NHKで放送していたドラマ「紙の月」、そしてこの「三月の招待状」だ。発表された順に読んできたわけでもなく、まだどんな作風の方かも把握しきれていないのだが、どれもうまいなあと思うのは、いつも「ここに書いてあるのは自分のことだ」と思わせてしまう人物、もしくは言葉があることだ。たぶんこの世に100%幸せな人などいなくて、みんな日常生活の中で、ちょっとした不安や、騒ぎ立てるほどでもない不満、または直視したくない現実を抱えて生きている。読んでいると、自分の心の中にあるその種のものをずばり言い当てられたような気がして、なんとも居心地の悪いような、腑に落ちたような、そんな気持ちになってしまう。「三月の招待状」もまさにそんな感じで、読み終わると、ため息とともに「まいった・・・m(_ _)m。」と脱帽、感心、降参という気持ちになってしまった。 学生時代の仲間の卒業後を描いた作品は今までにもいろいろあった。その元祖といえば古いところではドラマ「愛という名のもとに」や「天体観測」、海外では映画「セント・エルモス・ファイア」など。成功した者、落ちぶれてしまった者、過去に好きだった人への気持ちをいまだに引きずっている者、一見幸せそうに見えても、どこか心に空洞を抱えている者・・・彼らが再会した時、何年もたつのに自分がまったく成長していないことに気づいて愕然とする。 麻美は、当時いつも感じていた「華やかな同級生たちの中にあっていつも自分だけが浮いている感じ、自分だけが場違いでイケてないことをみんなに知られてしまうのではないかという不安と劣等感」を持ったままだし、充留は「コラムを書き、中古マンションを買い、海のそばの別荘購入まで考えた、それはかつての同級生たちにそうしている自分を見せたいからだと考えていた。そうではない、彼らに、ではなく、ただ1人、宇田男に見せたかったのだ。」と、いまだに、そしてずっと彼を思っていたことに気が付いてしまう。 「私たちはみな、自分がこうしたい、と、相手にこうしてほしい、を混同させながら生きてるんだ、(中略)変わってない、なんにも変わっていない、体の一部、まだ学生だった頃のままだ、(中略)私はいつ大人になるんだろう」これらの言葉がいちいち心にぐさぐさ入ってくる。自分は登場人物たちよりもずっと年上だけれど、しみじみ共感できてしまう。年齢を重ねても中身はいつまでも変わらない、成長できない部分を抱えたまま生きている、それは世代に関係なく同じなのかもしれない。読後感は少し重いけれど、味わい深い作品だと思う。

  • 読みやすいです

    読みやすいです。 多くの人なら普通に漢字をあてるところが、 角田さんの小説は、あえてひらがなで表記することが多いので。 すらすらと読みやすく、村上春樹さんのように料理や食べ物の描写が多く またそれが美味しそうです。 話の内容は、林真理子さんが書きそうな男女数人が織りなす、 腐れ縁的な、ゴチャゴチャした恋愛というか駆け引きというか・・ 「いつまでも大学時代を引きずった、なにかといえば集まりたがる こんな子供っぽく暇な大人たちいるのかなあ?」 が、正直な感想。 他のレビュワーさんで、ふぞろいの林檎たちに似ていると指摘がありましたが たしかにそのとおりだと思いました。 でも、真似たとか意識して作ったわけではないでしょうし、 もちろん角田さんオリジナルですし、 感覚や言葉なんかもイマドキで、もっとずっとリアルで共感できます。 特に会話が上手。セリフっぽくなくて自然です。 ああ本当にこういう言い方しそう、ありそうと思える会話ばかり。 登場人物たちが、自分たちのちょっとした心の機知に対して、 それを細かく冷静に自己分析し、心の中で吐露するシーンが多いですが、 それが本当に、読み手の心の痛いところも同時についてくるというか、 グサッとこちらに突き刺さったり、思わず「そうそう」と共感、感心します。 彼ら彼女らがやっていること、ふるまいに関しては到底共感できないし 「いい大人たちがバカみたい」なんですが、 ふとしたところに共感ポイントがひそんでいる、そんな物語でした。 本の裏表紙のあらすじには「青春小説」と書かれていますが、 ちょっと違う気がします。恋愛小説でも青春小説でもないです。 じゃあ何小説なんだろう?ということになりますが、なんなんでしょうね。 恋愛と呼ぶにはドライすぎるし、青春と呼ぶには加齢臭が。 あえていうなら「うだうだ小説」でしょうか。 最初に、恋人がパスタをつくるシーンの描写がとにかく美味しそうで その日の夕飯がトマトソースパスタになったほど。 角田さんは料理や食べることが心から好き(得意)な 作家さんなんだろうなと思いました。

  • めんどくさいヤツら

    わちゃわちゃやりながら1年間を描き切る力業はお見事。心の微妙な揺れ動きを自然な形で表現するのはさすが女性ならではのきめ細かな演出です。 いつまでも学生時代の集まりが本当にウザい。私の周りにもいます。毎年同窓会とかやって、いつまでも学生時代の頃の話ばっかして、全く成長のないヤツら。全く感情移入しない。そして、それは作者のまさに狙い通りなのでしょう。ずっと若い遥香や重春のほうをずっと大人に描いて、5人の子供らしさを引き立ててる。いい加減、大人になりなさい、ということを彼女の読者たちに言いたかったのかもしれません。

  • 離婚式から始まる同級生達の恋と友情

    ■蒲生充留は澤ノ井正道・坂下裕美子夫妻から離婚式の招待状を受け取る。二人とも大学の同級生だ。 ■その風変わりな離婚式の3次会で主婦の松本麻美は遊び人の宇田男の誘惑を受け後に肉体関係におぼれてゆく。 ■やがて麻美が失踪し、同級生仲間が集まって対策を相談する―。 ■大学の同級生仲間たちのそれぞれの恋愛や友情や結婚生活が描かれ、最終章には充留の結婚式が配置される。大人の恋愛小説。

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