作品情報
ありえない出来事の前で、家族の秘密が露わになる。
第35回すばる文学賞受賞作。2012年に集英社から単行本刊行。
書籍情報
- 出版社
- 集英社
- 発売日
- 2012-02-03
- ページ数
- 136ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784087714401
- ISBN-10
- 4087714403
- 価格
- 1507 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
19世紀末のベルギー。農夫のアダン氏はある日突然「妻がフラミンゴになる」という不条理な出来事に遭遇する。忌み者扱いを避けるため家族の秘密にするが…。極限状況での人間心理を暴く! 奇想天外な第35回すばる文学賞受賞作!
レビュー
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ハードルを越えた小説
妻が、そして村の女たちが、フラミンゴになってしまうという話。 こうしたテーマは、小説ではすでのありふれたものである。 ゆえに、それでも読ませるためには、一定以上のクオリティーが要求される。 要は、読者のハードルが上がるということだ。 だがこの小説は、シリアスな滑稽さと、外堀の的確さによって、力強くハードルを乗り越えていると思う。 こうした小説で300Pはちょっとつらいが、120Pなので最後まで十分に楽しめる。 文章もうまく、かつ、気取ってもいないので共感が持てた。 これが20代前半の人の小説なのだから、たいしたものだ。 似たテーマはいくらでもある。けれど、それを独自にアレンジするというのはそれはそれで相当に困難だ。 まして、今やテーマの重複は物語の世界ではある程度避けられない部分もある。 そんな中で、普遍的なテーマを著者なりにうまく拡張したというのは立派だ。 ジャケもいい。 おすすめ!
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第35回すばる文学賞受賞作品。
文章は重厚だがリーダビリティに優れている。文章そのものも味わうことができる小説。 ある事件が起こった村に対する取材をもとに、その事件とも村とも関わりのない第三者が想像を交えながら事件について語り進める、というスタイル。このため真相は定かではない。「藪の中」を若干思い出させる。 この小説を読んで私のフラミンゴの認識がすっかり艶めかしいものになってしまった。今度動物園に行った時改めてじっくり眺めてみたい。 村人たちはフラミンゴを家族として愛し続け、全力で守ろうとする。なんて愛が深い人々だろう、と思った。フラミンゴになったところで愛があっさり冷めるとか、フラミンゴになるならない関係なく愛のない夫婦もいてもいいと思うのだが、村人は皆家族を強く愛しているようだ。そこに感動と奇妙さを同時に覚えた。真相は「藪の中」スタイルなので、実際はそんなにひたむきに愛を貫いた村人ばかりではなかったかもしれないと想像をひろげることもできる。 良いマジックリアリズム、ですね。
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精緻な筆が光る幻想小説
これぞ純文学という世界の美しさ、不可思議さ。昔話のように語られるのは、ありえないようであったかもしれない世界の話。翻訳小説のような独特の静けさがたまらないです。
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評価の難しい小説
文章は読みやすく、全体としても100Pほどと短いのですぐ読み終えることができる。 だが、内容をどう捉えればいいのか非常に難しい。 ストーリーを要約すると、とある小さな村の女性の大半が、突然フラミンゴに姿を変えてしまった。 それを村人は外部に隠そうとする。 次第にさまざまな問題が生じ、その対処を巡って村人同士で対立や諍いが起こる……といった感じ。 純文学である以上、この手の作品はストーリーそのものの評価はさして重要ではないのだろう。 実際、荒唐無稽な内容であることは確かで、小説にリアリティを求める人には購入をお勧めしない。 この小説は、もしもこのような現実が存在したら……という、一種の仮想世界を描いた作品といえる。 現実社会に対する皮肉(特に性に対する)を多分に見出すこともでき、この独特のアプローチは一読に値すると思う。 ……もっとも、あまり面白いとは思わなかったが。
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フラミンゴって。
なんでフラミンゴをチョイスしたんだろう カフカは虫を、ジャンニは猫をチョイスしていたが どうしてフラミンゴ? 私は風にたつライオンしか思い浮かばないのに、それに変身するなんて もう、それだけで面白い 導入部分に「青い鳥」という言葉が出てくる 時代背景、舞台設定を説明するのに、これほど洒落ている物はないだろう 青い鳥に対して、ピンクのフラミンゴ やっぱり、面白い ここからはネタバレになるけれど あの旦那が犬になってしまった、唯一残っている夫人 よく魔女裁判にかけられなかったな・・・私が村人なら、彼女のせいだ!と思うだろう
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カフカだと思ったら、違った!
ある日突然、妻がフラミンゴになってしまう! カフカのような小説かなと思って、読み始めたら、まったく違う面白さ。内容は、ねたばれになるので、書かないが、どきどきわくわく感を持続させるような展開がリズムよく続く。フラミンゴダンスのリズムに最後までノセられた心地よさが残った。
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怖いもの見たさに、読者にぐいぐい読ませる力はある
アダン氏の妻が突然フラミンゴになったが、実は村のほとんどの女がフラミンゴになっていたというサスペンスがコメディ的に展開する。鶴の恩返しとカフカの「変身」 「砂の女」をヒントにして書いたのではないだろうか。構想は良かったが、謎が謎のままに中途半端に終わった気まずい感じがあった。 s社やk社の新人賞ものはとても読んでいられないほど非道いものだったが、この本は怖いもの見たさに読者にぐいぐい読ませる力はある。 もっと読者に訴えかけるような主張があっても良かったと思う。定価は1000円以下にすべきだっただろう。
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